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借り換えとは、既に借りている住宅ローンの残債を、別の金融機関で借り直して一括返済する方法です。もともとの契約より有利な条件で乗り換えることにより、毎月の返済負担や総返済額、金利上昇リスクを抑えることが目的です。
日銀のマイナス金利制作の影響を受け、住宅ローンの金利が固定金利を中心に急降下したことから、多くの人が借り換えに動きました。繰上返済と違い、手元の資金を減らすことなく効果が期待できるものです。
たとえば、A銀行で借りた住宅ローンが金利2.0%、ローン残高2,000万円、残りの返済期間が25年だった場合、これを金利1.5%のB銀行で借り換えすると、返済額が次のように変わります。
単純計算ではありますが、月額で約7,500円、トータルでは約230万円も安くなりました。このように、借り換えを活用すると月額・総返済額をカットすることができます。
借り換えは、新しく住宅ローンを借り直すのと同義ですから、金利タイプを変更することが可能です。もとは変動金利型で借り入れしていた人が、将来の金利上昇リスクを懸念して固定金利型で借り直す、逆に、当初固定期間(特約期間)が終了した人が、安さを求めて変動金利型に移行する、などの使い方ができます。
金利差がなくても、金利タイプが変わることで、満足度を得る人もいるでしょう。執筆時現在(2016年6月)は低金利が続いていますが、上がり下がりの激しい時代に変動金利型で借り入れている人は、良いタイミングで固定金利型に借り換えられると安心度が増すと思います。
ただし、金利変動の予測は専門家でも簡単なことではないので、目先のメリットだけで動くとせっかくの借り換えが裏目に出る恐れもあります。
繰り返しになりますが、借り換えも新規の借り入れも本質的に同じなので、契約するには事務手数料や保証料といった「諸費用」が必要になります。主な諸費用な次のようなものです。
多くの人がネックに感じるのは、やはり1,000万円あたり約20万円かかる保証料でしょう。借入額2,000万円だとそれだけで40万円、プラス諸々の諸費用となれば、トータルで60万円以上の別途費用が発生することになります。加えて、借り換え前のローンで保証料を「金利上乗せ型(内枠方式)」で支払っていた場合、借り換え実施時に未経過分を取り戻すことができません(一括支払型「外枠形式」の場合は僅かながら戻ってきます)。
諸費用は借り換え時に一括で支払ってもいいですが、手元資金を減らしたくないなら、借り換え残高に上乗せして借り入れることも可能です。また、借り換え時にリフォームを考えている場合、それも住宅ローンの金利に含めて借り入れることができます。このように、手元のお金はそのままで節約の効果が期待できる点が、繰上返済よりも秀でているメリットの一つです。
いずれの方法を採るにしろ、意外にかかる諸費用を差し引いてもメリットを得られるかどうかは、きちんと判断すべきです。目安として、「借入残高1,000万円以上」「金利差1%以上」「残存期間10年以上」でないとメリットがないと言われていますが、そうでないことも往々にしてあるので、あくまで一般論として捉えておきましょう。
超低金利時代の現在でも、得をする人とそうでない人がいます。借り換え時だからと飛びつくのではなく、基本知識と要点をきちんと理解したうえで、自分にとってメリットがあるかどうかを判断したいものです。