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「何歳までに借りて、何歳までに完済するか?」。住宅ローンは長期に渡って返済していくものなので、契約者の年齢は重要な要素です。融資条件として銀行ごとに年齢制限があり、年齢制限に引っかからないとしても、年齢が高いと借入時の審査で不利になることがあります。
年齢の壁だけは、自分の力ではどうすることもできません。将来マイホームを購入する予定の人は、何歳までに申し込めば住宅ローンが組めるのか、把握しておく必要があります。
住宅ローンの申込条件には年齢制限が設けられています。主要金融機関の年齢制限を調べると、申込時の年齢は20歳以上、64~71歳まで、完済時の年齢は75~82歳までとなっています。
金融機関名、住宅ローン商品名 | 年齢制限 |
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フラット35 | 満70歳未満、完済時80歳の誕生日の前日 |
三井住友銀行 | 20歳以上70歳の誕生日まで、完済時80歳の誕生日まで |
三菱UFJ銀行 | 20歳以上70歳の誕生日まで、完済時80歳の誕生日まで |
りそな銀行 | 20歳以上70歳未満、完済時80歳未満 |
みずほ銀行 | 20歳以上71歳未満、完済時81歳未満 |
みなと銀行 | 20歳以上65歳未満、完済時80歳以内 |
横浜銀行 | 満20歳以上、完済時満82歳未満 |
広島銀行 | 20歳以上71歳未満、完済時82歳未満 |
じぶん銀行 | 満20歳以上満65歳未満、完済時80歳の誕生日まで |
イオン銀行 | 20歳以上71歳未満、完済時80歳未満 |
楽天銀行 | 70歳未満、完済時80歳未満 |
新生銀行 | 20歳以上65歳未以下、完済時80歳未満 |
ソニー銀行 | 20歳以上65歳未満、完済時80歳未満 |
住信SBIネット銀行 | 20歳以上65歳未以下、完済時80歳未満 |
三井住友信託銀行 | 満20歳以上満66歳未満、完済時81歳未満 |
三菱UFJ信託銀行 | 満20歳以上満65歳以下、完済時満80歳以下 |
JA住宅ローン | 20歳以上66歳未満、完済時80歳未満 |
ろうきん(中央労働金庫) | 満20歳以上、完済時満76歳未満 |
※平成28年3月現在
基本的に、20歳未満の人は住宅ローンを組むことができません。返済能力が低いという前に、日本では民法上、未成年に契約行為が認められていないからです。気を付けたいのが、上限年齢です。
どの銀行も、80歳を目途に完済することを条件としています。なぜ80歳かと言うと、団体信用生命保険の保障期間が80歳までだからです。団体信用生命保険とは、返済中に住宅ローン契約者が死亡または高度障害になった場合に、死亡保険金で残高を清算する制度です。契約者に万が一のことがあったときに、貸したお金が戻ってこないのでは銀行も困るため、民間金融機関のほとんどが団体信用生命保険の加入と、保障期間内に住宅ローンを完済することを条件としています。
住宅ローン申込時の上限が70歳なのも、団体信用生命保険の申込年齢が70歳未満となっているためです。また、金融機関が個別に指定する保証会社の年齢基準を満たさなければ、借り入れできない場合もあります。
年齢制限はセーフでも、年齢が高ければ高いほど、審査では不利になります。同じ30年のローンを組んだとしても、30歳で借りた人は60歳の定年までに完済できますが、50歳で借りると完済年齢は80歳です。多くの人は年金収入からの返済となり、一般的に見て年齢が上がると収入が減るケースが多いため、銀行も返済能力の見極めを慎重に行います。
頭金が多い、退職金で繰上返済する予定である、定年までに完済できるプランであるなど、年齢の高さを払拭できるプラス材料があれば、審査通過の可能性は高まりますが、それが難しい場合は、親と子が2世代に渡って返済していく「親子リレーローン」と言う方法があります。
2015年7月~10月に住宅ローンを申し込んだ人を対象に、住宅金融支援機構が行ったアンケート調査よると、30代が全体の半分近い割合を占めて最も多く、続いて40代となります。
【2015年7月~10月 住宅ローン利用者年齢】
定年までに完済しようと思ったら、「30代、もしくは頭金を貯めてから40代」のタイミングでローンを組むのが現実的です。また、30代~40代は、結婚や出産で家族構成が決まり、将来を見据えたライフプランを検討する時期です。このまま家賃を支払って賃貸に住むか?それとも、マイホームを持つのか?を考えるライフステージと言えます。
しかし実際は、住宅ローン利用者の平均年齢は、年々上がっています。下のグラフは、2001年から5年以内に住宅ローンを利用した人の年齢比率ですが、数年前の方が、30代までの若いうちに住宅ローンを組む人が多かったことが分かります。
【2001年から5年以内 住宅ローン利用者年齢】
少子高齢化や晩婚化が住宅ローンにも影響していると考えられ、なかなか景気が回復しないことも、若い世代の住宅購入が伸び悩む原因のようです。また、グラフを見比べると、20代と50代の割合が増加しています。ライフスタイルが多様化したことで、マイホームを持つ人の年齢層が広がったと言えます。
住宅ローンには年齢制限があり、「家を買うなら若いうちに。働けるうちに返しておく」は基本ですが、住宅ローンを借りる適齢期は、時代とともに変化しているようです。