審査が厳しい業種・雇用形態は?外国人や障害者も住宅ローンを組めるのか?

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芸能人は住宅ローンを借りられないという話を聞きますが、職種や雇用形態を理由に、住宅ローンを断られることがあるのでしょうか? また、日本国籍を持たない外国人、身体にハンデキャップがある人、犯罪歴がある人が、住宅ローンを借りることができるのでしょうか? 

パートや契約社員でも住宅ローンは借りられる?

住宅ローンの審査では、どの銀行も安定収入が続くことを重視します。その判断材料となるのが勤務状況です。年収が高いことよりも、雇用形態や勤続年数、安定性の高い職業に就いていることが有利となります。

無職が対象外なのは当然として、アルバイトやパート勤務も、民間銀行のほとんどが申し込みを受け付けていません。契約社員や派遣社員は借り入れの検討が可能ですが、契約期間が終了すると失業する可能性が高く、収入の安定性という面から、正社員よりも審査が厳しくなります。ただ最近は、雇用形態の多様化に伴って、非正規雇用形態で働く人にも柔軟に対応する銀行が増えています。また、正社員であっても、勤続年数が3年以下と短い場合や転職歴が多いと、審査通過が難しくなります。

年収が高くても融資を断られるケースとは?

たとえば、芸能人やスポーツ選手は、浮き沈みの激しい職種です。今は売れっ子で所得が高くても、5年後、10年後までその人気が続くとは限りません。スポーツ選手だと、ケガで選手生命が短くなることもあるため、将来の収入が保証されないという理由から、住宅ローンの借り入れを断られることがあります。ただし、音楽活動や出版による印税収入があったり、本業以外の副収入があると、見方も変わってくるようです。

個人事業主や自営業者が不利だと言われるのも、収入が不安定だと判断されやすいからです。固定給をもらっているサラリーマンとは違い、自営業者は会社の業績次第で収入が激減することがあります。雇用保険を払っている会社員なら、会社をクビになっても失業手当が支給されますが、自営業者が病気で働けなくなった場合にそのような保証はなく、無収入になる危険があります。「フリー○○」とつく職業、いわゆるフリーランスで仕事をしている人にも同じことが言え、スキルがあって年収は高くても、収入金額が一定でないことから審査は厳しくなります。

審査で不利となる業種

タクシードライバーや保険販売業のように、出来高や業績に応じて給料が支給される歩合給制の業種、流行り廃りのある業種、年間を通して繁忙期と閑散期の差が大きい業種は、収入の安定性に不安を持たれることがあります。ほか、マイナス評価をされやすいものとして、離職率の高い業種、危険物の運搬や危険現場で働く仕事、属性の調査が難しい珍しい業種も、審査では厳しい目で見られる可能性があります。

審査を通過するための対策

住宅ローンの審査は、さまざまな属性を調査して総合的に判断するので、勤務形態や職種がマイナス材料となる場合は、購入物件の資産価値、個人信用情報、健康状態、頭金の額など、ほかの属性で高評価を得てカバーする必要があります。また、収入の安定性を指摘されても、貯金や副業の収入によって、お金をコントロールできる状態であることが証明できれば、前向きに検討してもらえる可能性が高まります。

銀行の住宅ローンが難しい場合は、フラット35を検討するのも1つの手です。民間銀行の審査は、申込者がどんな人なのかを慎重に調べますが、フラット35では募集条件をクリアしていることが重要であり、人よりも物件が重視されます。勤務形態による区別がなく、個人事業主や自営業者もサラリーマンや公務員と同じ条件で扱われます。保証会社を利用しないため、民間銀行よりも審査が緩く、年齢や返済負担率など一定の基準をクリアできれば審査を通過することができます。

外国人は住宅ローンを組むことができるのか?

住宅ローンは、日本人に限定したものではありません。融資目的が「自分や家族が住む家の購入資金」なので、日本国内に定住していることが前提となりますが、外国人でも住宅ローンを組むことができます。ただし、クリアしなければならない条件がいくつかあり、なかでもポイントとなるのが日本国籍と永住権です。

国籍とはその国の国民であるという証で、さまざまな国民の権利を有し、社会保障を受けることができます。一方、永住権は在留期間の制限なく永住することが許可された資格で、「国籍→パスポート、永住権→(永住)ビザ」の違いです。

外国人に対する住宅ローンでは、ほとんどの銀行が日本国籍または永住権を有することを条件としています。日本国籍を取得していれば、審査では日本人と同じ扱いで行われますが、永住権の場合は、国籍を取得している場合と比べて審査基準は厳しめになります。返済期間中に自分の国に帰ってしまったり、永住権が取り消されて国外追放となり、連絡が取れなくなっては困るため、完済まで日本に住み続け、きちんと返済してくれる保証のある人かどうか、慎重に審査を行います。

永住権がない場合は諦めるしかない?

永住権がないと、住宅ローンを借りるのは絶対ムリかと言えば、そうでもありません。ほとんどの銀行が、永住権を持っている外国人に限定していますが、永住権がなくても住宅ローンが借りられる銀行もあります。ただし、一般の住宅ローンよりも審査基準が厳しく、頭金を多めに用意することを要求されたり、金利が高く設定されていることがあります。

また、日本の銀行を利用するのではなく、日本に支店がある本国の銀行の住宅ローンを利用する方法もあります。言葉の壁で悩むことなく、手続きがスムーズに行え、何より母国の銀行だと安心感があります。

日本国籍の配偶者がいると、前向きに検討してもらえることも

配偶者が日本人なら、住宅ローン契約者の夫婦が返済期間中に出国してしまい、連絡が取れなくなっても、配偶者の実家に問い合わせるなどして本人と連絡を取る手段が確保できるため、配偶者を連帯保証人にする条件で、住宅ローンが承認されることがあります。その場合、連帯保証人となる日本人配偶者は、「日本での在留期間が7年以上」であることが条件です。

障害者の住宅ローンについて

障害者手帳を持っていることが理由で、住宅ローンを断られることはありません。住宅ローンを借りられるかどうかは、団体信用生命保険(団信)に加入できるか?がポイントとなります。民間銀行のほとんどが、住宅ローンの借り入れ条件として、団信の加入を義務づけています。障害があっても健常者と変わらない生活を送っているのであれば、審査への影響は少ないと思われますが、障害の内容や程度によっては団信に加入できず、融資を断られることもあります。

対策としては、団信が任意加入のフラット35を利用するという方法があります。障害年金の収入のみの人でも申し込むことができます。

前科があると住宅ローンは断られる?

犯罪歴は個人信用情報のように、銀行が直接調べて分かるものではないため、前科があるからと言って住宅ローンが借りられないことはありません。ただし、何かのきっかけで犯罪歴が知られてしまった場合は、銀行側も再犯のリスクを考えて、融資を躊躇する可能性が出てきます。

また、反社会的勢力の構成員や、反社会的団体と交流がある人は、住宅ローンの申し込みだけでなく、口座を開設することも認められません。現在は反社会的勢力への排除がとても厳しくなっていて、どの銀行も反社会的勢力とは一切関わらないとする基本方針を公式サイトに明記しています。

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