仮審査と本審査は何が違う?重要な審査項目と申込方法について

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住宅ローンの審査は2段階で行われます。希望物件が見つかり、住宅ローンを借りようと決めたら、まずは仮審査(事前審査)を受けます。購入物件が確定し、売買契約まで進めば、次はいよいよ本審査です。

仮審査と本審査では何が違うのか、審査内容や必要書類などの相違点を説明します。

本審査の前に仮審査があるのはなぜ?

ひと昔前は、住宅ローンの審査は本番一発勝負で、仮審査というものは存在しませんでした。自分が住宅ローンを組めるのか? 希望金額を借りることができるのか? 分からない状態のまま、物件の売買契約を結ばなければならなかったのです。

不安なのは、住宅ローン申込者だけではありません。住宅を販売する業者も、審査が通らず契約が白紙になってしまうと、売買契約を結んだ物件は別のお客さんに紹介できないため、集客の機会が失われることになります。このような不都合をなくすため、売買契約の前に簡易的な審査が行われるようになりました。

仮審査と本審査で審査基準が異なるのはなぜか?

仮審査の結果には拘束力はなく、仮審査にパスしても本審査で承認を得られないことは十分にあり得ます。審査そのものが厳しくなるほか、審査を行う会社が仮審査と本審査で違うため、審査基準が異なることも理由の1つです。

仮審査は銀行が行うのに対し、本審査は保証会社が行います。保証会社とは、万が一、住宅ローンが返済できなくなった場合に、住宅ローン契約者に代わって銀行に返済をする会社で、民間銀行のほとんどが保証会社の利用を住宅ローンの借り入れ条件としています。返済不能となった場合に損害を被るのは保証会社ですから、本審査では仮審査のときにはチェックされなかった項目まで慎重に見ていきます。

仮審査はお金を貸すプロである銀行が、返済能力の有無を中心に査定しますが、本審査は貸し倒れリスクを負う保証会社が、返済能力だけでなく、担保物件の価値や団信の加入が可能な健康状態であるかなど、返済ができなかった場合も想定した調査を行います。基本的な審査項目は、次のようになります。

【一般的な審査項目】

住宅ローン図解【仮審査と本審査は何が違う?】_03

返済負担率って何?

返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。年収とは、税込年収のことを指し、住宅ローンの返済額だけでなく、自動車ローンやカードローンなど、その他の借入金も含めて計算します。どの銀行も、返済負担率の上限を25〜40%に設定しており、希望借入額や借入期間にもよりますが、返済負担率が高いほど審査は通りにくくなります。

審査で返済額を試算する際に用いる金利のことを、審査金利といいます。将来、金利が上昇しても返済能力に問題がないか織り込んで判断するために、実際にどの金利タイプを採用するかは問わず、3.0%~4.0%といった店頭金利よりも高めの金利で計算します。

健康状態も本審査の評価対象に

仮審査では問われず、本審査で必要になる要素に、健康状態があります。民間銀行のほとんどが、団体信用生命保険(団信)の加入を必須条件としており、健康状態が悪く団信に加入できない場合は、審査を通過することはできません。通常、審査の申込時に医師の診断は必要ありませんが、告知書に病歴の記載がある場合は、診断書の提出を求められて、細かく調査されます。

告知書に病歴を記入したくない…、という気持ちは分からないでもないですが、虚偽の記載をするのは絶対にNGです。保険会社が調べればすぐにばれることですし、仮に審査に通過したとしても、返済中に借主が亡くなり、保険金の支払時になってウソが判明すれば、困るのは残された家族です。告知書は正確に記入しましょう。

本審査では担保物件の価値が重要視される

万が一、返済不能になって抵当権を実行した場合に、資金回収が可能かどうかを見極めるうえで、本審査では購入物件の価値も評価の対象となります。住宅ローンの借入可能額は、担保評価額を上限として決定するのが一般的です。新築物件の場合は、購入価格のほぼ100%が担保評価額となりますが、中古物件については購入価格を目安にしつつも、建物の築年数によって担保評価額が下がり、希望する借入額の融資が受けられないこともあります。

ここで、注意したいのが借り換えの審査です。新規で住宅ローンを借り入れた時は新築だった物件も、借り換えの審査では中古物件の扱いになるため、経過年数や建物の状態によっては、審査に通らなかったり、希望の条件で融資が受けられない場合があります。逆に、物件が再開発エリアにあるなど、将来的に居住ニーズが高まると予想される場合は、資産価値が高く評価されて有利になることもあります。

物的審査チェックされるのは、主に次のような項目です。

  • 建築基準法 →建蔽率(けんぺいりつ)や容積率において違反がないか?
  • 築年数 →住宅ローン完済年が法定耐用年数を超えないか?
  • 物件の権利関係 →土地が所有権か借地か?
  • 物件の価格査定 →価格が妥当かどうか?

審査の流れと申し込みのタイミング

仮審査は、何種類も書類を用意する必要はなく、インターネットで簡単に申し込みができます。仮審査の時点では、購入物件が確定していないことも多いため、おおよその借り入れ希望金額を提示して審査を受けます。

仮審査に通過すると次は本審査ですが、本審査の申し込みには、売買契約書や請負契約書などが必要になるので、土地付住宅やマンション購入の場合は物件の売買契約を結んでから、住居を新築する場合は工事着手から手続きをすることになります。

審査期間は、仮審査は1~3週間ほど、本審査は2週間~1ヶ月かかるのが目安です。結果の通知方法は、書類の郵送が一般的です。本審査を通過するまでに1ヶ月以上かかりますが、その間に退職、転職、離婚をしたり、新たな借り入れやクレジットの支払が遅れたりしないことが絶対条件です。

審査の申し込みに必要な書類

審査の申込時に提出する、主な書類をまとめました。提出書類に不備があると審査が長引くため、書類の発行有効期限やコピーしたものでいいかなど、申請前に金融機関に確認するようにしてください。

必要書類 備考
仮審査 仮審査申込書 銀行より入手
個人情報利用に関する同意書 銀行より入手
年収確認書類 【給与所得の人】
直近の源泉徴収票

【個人事業主】
直近の確定申告書、納税証明書

身分証明書 運転免許書、健康保険証、パスポートなど
物件書類 【購入の場合】 販売チラシなど
【新築の場合】 見積り書、間取り図など
(借り換えの場合に必要な書類) 購入時の売買契約書、重要事項説明書
登記簿謄本、土地公図、地積測量図
既存借り入れの返済予定表、返済用口座通帳
本審査 本審査申込書 銀行より入手
住民表 世帯全員分が記載されたもの
公的所得証明書類 住民税課税証明書など
年収確認書類 仮審査と同じ
身分証明書 仮審査と同じ
個人情報利用に関する同意書 銀行より入手
団体信用生命保険申込書兼告知書 銀行より入手
契約書類 【購入の場合】
不動産売買契約書、重要事項説明書、建物の間取り図

【新築の場合】
建築工事見積もり書、建築工事請負契約書、物件案内図、建築確認申請書、建築確認済証、建物図面(立面図、平面図、間取り図など)、不動産登記簿謄本、公図・地積測量図など

同時に複数の銀行で審査を受けることはできるか?

基本的に、どの銀行も審査は無料で受けられ、同時に複数社で申し込むことは可能ですが、気を付けておきたいことがあります。銀行や保証会社は個人信用情報機関に照会して住宅ローン申込者の個人信用情報を確認するのですが、その際に他の銀行でも住宅ローンの審査を受けた履歴が知られることになります。2、3社なら影響はないと思いますが、立て続けにたくさんの銀行に審査の申し込みをしていると、不安要素があるのではないかと疑われて、マイナス評価につながる恐れがあります。住宅ローンの審査を受けた履歴は6ヶ月間、個人信用情報に記録として残ります。他の銀行でも審査を受ける場合は、その旨を事前に伝えておくことをおすすめします。

本審査に落ちた場合、すでに支払った手付金は返金される?

本審査で不可となった場合に問題となるのは、物件の売買契約時に不動産会社に支払った手付金はどうなるかという点です。通常、契約書の文面には、「住宅ローンの借入ができない場合は手付金を返金する」という文言が入っていますが、手数料、印紙代、地盤調査代なども合わせて、どこまで返金してもらえるのか、事前に契約内容を確認しておくことが大切です。

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