60歳以降の保障はどの程度目減りする?老後の医療共済を徹底比較

安い掛金ながら保険に負けず劣らずの保障を確保できる共済ですが、シニア世代以降、特に60歳や65歳など高齢期に達すると保障が目減りしていくのが欠点。終身型を選ばない限り保障期間も限られているため、一生涯の医療保障を望む人は、医療保険に乗り換えるか、終身型を販売している医療共済に入り直す必要があります。

では、シニアタイプに移行することによって、一般タイプの医療共済からどれくらい目減りしていくのでしょうか? 共済で人気の3団体である都(道・府・県)民共済、全労済、コープ(CO・OP)共済の3つを調べてみました。

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目次

3大共済・医療保障の比較

まずは全国生協連から。代表として都民共済で比較しました。

都民共済・生命共済

プラン名入院保障2型熟年入院2型
保証期間18~60歳60~65歳65~70歳70~80歳80~85歳
掛金(月)2,000円2,000円
入院日額事故(1~184日目)1万円7,500円5,000円3,500円2,000円
病気1万円(1~124日目)7500円(1~124日目)5,000円(1~124日目)3,500円(1~44日目)2,000円(1~44日目)
通院日額(14日以上~90日)事故1,500円1,500円
手術2.5万円・5万円・10万円1万円・2万円・4万円1万円・2万円・4万円1万円・2万円・4万円
先進医療1~150万円1~75万円1~75万円1~75万円
死亡・重度障害交通事故・不慮の事故・病気10万円5万円5万円5万円3万円

60歳から5歳ごとに約70%カットされていく設計です。通院にいたっては65~70歳以上は保障対象外。70歳からは入院日額の支払限度日数が80日も短縮されてしまいます。80~85歳になると、入院と死亡・重度障害以外は保障してもらえなくなります。

全労済・こくみん共済

プラン名医療安心タイプシニア医療タイプ移行タイプ
掛金(月)2,300円2,000円2,000円
保障期間0~59歳60~70歳71~80歳
入院日額事故6,000円
(1~180日目)
3,500円
(5~180日)
1,500円
(5~180日)
病気
通院日額事故2,000円
(1~90日 ※不慮の事故は14日以上から適用)
手術一律6万円一律1万円
先進医療~600万円
死亡・重度障害(1・2級と3級の一部)交通事故50万円50万円50万円
不慮の事故
病気10万円10万円
後遺障害(3級の一部~14級)交通事故・不慮の事故36万円~16.万円36万円~16.万円

60歳から10歳ごとにカットされていく設計。医療安心タイプと両シニアタイプとの差は明らかで、入院日額保障の減額率は5割強です。一方で、死亡・重度障害の保障額はさほど変わらない部分があったり、事故の後遺障害(3級の一部~14級)も保障したりと補強してあるところも見られました。

コープ共済・医療コース

プラン名《たすけあい》医療V2000円コース《たすけあい》シルバー70コース《あいぷらす》ゴールド85 3型《あいぷらす》ゴールド85 医療2型《あいぷらす》ゴールド85 医療3型《あいぷらす》ゴールド85 医療5型
掛金(月)2,000円1,200円 or 3,000円女性:3,483円女性: 1,840円女性:2,473円女性:3,737円
男性:5,808円男性:2,711円男性:3,669円男性:5,584円
保障期間0~64歳65~70歳71~80歳
入院日額事故5,000円
(1~184日目)
1,200円:1,000円
3,000円:3,000円
(1~184日目)
3,000円
(1~180日)
2,000円(1~180日)3,000円(1~180日)5,000円(1~180日)
病気
通院日額事故1,500円
(1~90日)
長期入院(270日以上の連続入院)30万円1,200円:6万円
3,000円:18万円
18万円12万円18万円30万円
手術2・4・8万円
死亡・重度障害(1・2級と3級の一部)交通事故10万円+100万円1,200円:30万円
3,000円:60万円
60万円10万円10万円10万円
不慮の事故
病気10万円
事故後遺障害4~100万円
(事故日から2年以内)
住宅災害(火災・風水害等)3・15・30万円1・5・15万円

(※)シルバーコース、《あいぷらす》ゴールド85は、《たすけあい》V2000コースから健康状態にかかわらず移行できるものを表示。上位プランは公式サイトで要確認

65歳以上からシルバーコースに移行することで保障がガクッと落ちていますね。現役時代よりも掛金が高いS3000円コースもありますが、肝心の保障内容は6割ほどカットされています。もちろん、年齢を考えると十分安い範疇に入りますが……。

他の2共済と異なるのは、70歳以降も継続を望むなら別の商品に入り直すという点。そのため、《たすけあい》と《あいぷらす》とでは掛金の設定が根本的に違います。特に《あいぷらす》ゴールド3型と医療5型の掛金は男性で5,000円を越えており、他の共済よりもぐんと高め。そのわりに保障が充実しているかというと、そうでもなく、契約の続行が可能だからといって受動的に移行するのは考えものかもしれません。

なお、《たすけあい》に2年以上加入していること、移行専用の告知事項に該当していないことを条件に、下表の《ずっとあい》終身医療コースに移行することもできます。

コース・月掛金
終身払65歳
入院日額
2,000円コース
入院日額
3,000円コース
入院日額
5,000円コース
女性:2,636円男性:3,524円女性:3,954円男性:5,286円女性:6,590円男性:8,810円
病気入院・
事故(ケガ)入院日額
(1~180日分)
2,000円3,000円5,000円
手術2・4・8万円3・6・12万円5・10・20万円

まとめ

老後の医療保障については、別記事老後の医療保険は必要?で述べているとおり、現行制度下では公的医療保障と貯蓄で対応するのがベストだという見解ですが、それでも不安な場合は、民間の医療保険や医療共済に頼らざるを得ないと思います。

ただ、医療共済は、ご覧のように60歳や65歳を過ぎると明らかに目減りしていく設計なので、その点をきちんと理解したうえで契約しましょう。安い掛金のまま簡単に移行できるとはいえ、いざというときのピンチに対応できない保障なら意味がありません。

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