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医療保険の給付金の受け取りに際して、「請求の仕方が意外にややこしかった」という声が少なからず聞こえてきます。
一昔前に比べると随分わかりやすくなったとは思いますが、自分発信でしないといけないことに変わりはないため、ここでは、給付金の請求方法や注意点について確認することにします。
入院したり、手術を受けたりして、給付金を受け取る理由ができたら、「保険証券」や「ご契約のしおり・約款」などで契約内容・保障内容を確認したうえ、保険会社に連絡しましょう。そのとき、話がスムーズに進むように、必要な情報を準備しておきます。
連絡先の電話番号は保険証券等に書いてありますし、公式サイトでも調べられます。ネット上だけで請求を完結できるケースもありますが、よくわからなければ電話で相談してみても大丈夫です。保険証券を手元に置いておくといいでしょう。
保険会社に連絡すると、手続きに関する書類が送られてきます。送られてきた給付金請求書に記入するとともに必要な書類を準備します。書類に不足があると、手続きが完了するまでに時間がかかるので注意しましょう。
医師が書いた診断書が必要となるケースが多いですが、取得にかかる費用は自分で負担しなくてはなりません。
書類の準備ができたら保険会社に送り、問題がなければ1週間程度で指定した銀行口座に給付金が振り込まれます。保険会社から給付金等の受け取り内容や金額の明細書が郵送されるので、間違いがないか確認しましょう。
一部の保険会社では、診断書も写真に撮ってアップロードするなどして、給付金の請求をすべてネットで完結できるサービスも開始しています。その場合は2~3日で給付金を受け取れることもあるようです。このような、「InsurTech(インシュアテック)」と呼ばれる先進テクノロジーを活かしたサービスは今後増えていくでしょう。
複数の契約がある場合や、請求を行う時期の重なりなどで、請求漏れが起こることがあります。気付かずに放置しておくと、貰い損ねてしまうので要注意です。次のようなケースは気をつけてください。
この他、被保険者が入院中に亡くなった場合には、相続人が請求すれば給付金を受け取ることができます。保障内容を確認し、保険会社に問い合わせてみましょう。
時には、被保険者本人が自ら給付金の請求をできないケースも考えられます。たとえば、病気やケガで寝たきり状態になり意思表示ができない場合や、「がん」などで余命宣告されていることを本人が知らない場合に、自分で請求するのは無理です。
ところが、基本的に保険会社は、本人以外のからの給付金の請求を受け付けてくれません。そのようなときに頼りになるのが、指定代理請求制度です。
指定代理請求制度とは、入院給付金などの受取人となる被保険者に特別な事情があり自ら請求できない場合には、あらかじめ契約者が指定しておいた代理人が請求することができる制度です。一般に、「指定代理請求特約」を保険契約に付け、指定代理請求人を指定しておくと、いざというときに指定代理請求人による給付金の請求ができます。
指定代理請求特約は、契約時だけでなく途中で付加することや、指定代理請求人を変更することもできます。また、指定代理請求人に指定できる人は、基本的には被保険者の戸籍上の配偶者や3親等以内の親族などですが、保険会社によって指定できる人の範囲が少しずつ違い、同性のパートナーを指定代理請求人として認めている保険会社もあります。詳しく知りたい場合は、「ご契約のしおり・約款」や各保険会社のホームページで確認してみましょう。
指定代理請求人には、保険会社名、契約内容、保険証券をしまってある場所などを伝えるのはもちろん、いざというとき自分の代わりに請求してもらえる準備を整えておきましょう。
給付金の請求方法や注意点についてご説明しましたが、給付金を受け取るような病気やケガをしなければ、それが何よりです。生活習慣病などはしっかり健康管理をすることで防げることもあります。病気になったときに困らないように備える一方で、病気にならないよう気を付けて生活することも大切です。