格安・手頃な値段で医療保険に加入する方法

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民間の医療保険は各社によって値段がバラバラです。保障内容が違うので当然ですが、どうせ加入するならお財布に優しい保険を選びたいもの。しかし「安かろう悪かろう」という言葉があるように、価格だけに固執すると質を保てなくなる恐れがあります。

できるだけ質を落とさず、価格も手頃な保険に入る方法はあるのでしょうか? 保険ソクラテス編集部が考える手段は次の3つです。

1.ネットで加入できる保険を選ぶ

医療保険に限らず、民間の保険はインターネットから入れる保険と、代理店を通してでないと加入できない保険とがあり、ネット保険の方が割安なことが多いです。代理店経由だと人件費などがかかってしまうため、どうしても保険料比較では不利になってしまうようです。

では、料金が抑えられているぶん、ネット保険は質が悪いのかと言えば、もちろんそんなことはありません。代理店経由で入る保険と比べて自由度が低い(パッケージ化されている)傾向はありますが、扱われている商品自体は同じです。保険のプロが選んだ医療保険ランキングでも、人気なのはネットからでも契約できる保険でした。

自分だけで契約を完結させるシステムなことから、アドバイザーと相談して決めたいという人には不向きですが、保険料を下げたいなら見積もりしてみる価値はあります。資料を取り寄せ、いろいろと調べてみることをおすすめします。

2.入院給付金日額を妥当な価格にする

医療保険の主契約は入院給付金日額なのが主流なので、この金額をいくらに設定するかで保険料がかなり変わります。

※某社 30歳男性 特約(通院保障)ありの場合

  • 5,000円→1,798円/月
  • 1万円→3,596円/月

ご覧のように5,000円と1万円とでは金額に倍近くの差が出ました。価格を重視すると5,000円のプランで決まり……と言いたいところですが、1万円から5,000円に落として「安かろう悪かろう」にはならないのでしょうか?

答えの目安として、 (財)生命保険文化センターが調査した「生活用保障に関する調査(平成28年度)」をみてみたところ、入院1日あたりの自己負担額の平均は1万9,800円でした。5,000円でも1万円でもまったく足りないことになりますね。

しかし、この統計は高額療養費制度を利用した人もそうでない人も一緒くたにしています。別ページで詳しく解説していますが、高額療養費制度を利用することで、たとえ1ヵ月に50万円請求されても自己負担は9万円ほどで済むケースが多いため、単純な割り算で1日あたり3,000円程度しかかからないことになります。

【参考】高額療養費制度を利用したときの自己負担額(70歳未満の場合)
適用区分 自己負担限度額(1ヵ月)
区分【ア】
上位所得者 年収約1,160万円以上
(健保:標準報酬月額83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円以上)
25万2,600円+(総医療費-84万2,000円)×1%
年4ヵ月目の多数該当より一律14万100円
区分【イ】
上位所得者 年収約770~約1,160万円
(健保:標準報酬月額53~79万円 国保:旧ただし書き所得600~901万円)
16万7,400円+(総医療費-55万8,000円)×1%
年4ヵ月目の多数該当より一律9万3,000円
区分【ウ】
一般 年収約370~約770万円
(健保:標準報酬月額28~50万円 国保:旧ただし書き所得210~600万円)
8万100円+(総医療費-26万7,000円)×1%
年4ヵ月目の多数該当より一律4万4,400円
区分【エ】
一般 年収約370万円未満
(健保:標準報酬月額26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下)
5万7600円
年4ヵ月目の多数該当より一律4万4,400円
区分【オ】
低所得者 住民税非課税の世帯
3万5,400円
年4ヵ月目の多数該当より一律2万4,600円

この調査では、「利用した」と答えた人が60.5%、「利用しなかった」人は29.2%、そして9.0%の人が「わからない」と回答しているので、この額をもとに妥当な平均額を割り出すのは難しいと思われます。

もちろん「1日あたり3,000円」が正解ではありません。ここに健康保険適用外の費用、たとえば食費(1食460円)や衣類、日用品類などの雑費が必要になるため、プラス2,000~3,000円ほどは見ておいた方がいいでしょう。入院給付金日額を5,000円にすると、ちょうどか、少し足りないくらいになります。

以上から、入院給付日額は5,000円に下げても特に問題なく、むしろ保険料とのバランスがとれた妥当な価格だということができます。差額ベッド費のことも考えるともう少し必要になりますが、医療費すべてを保険金で賄うわけでもないので、足りない部分は貯蓄で対応しましょう。

3.特約のグレードを落とす、または全面カット

次にメスを入れるのは特約部分です。特約は追加すればするほど保険料がかさむので、本当に必要だと思う特約だけを付加してください。

既に特約を付帯していて、どうしてもはずせないのであれば、そのグレードを見直しましょう。がんなど特定の病気に対して入院給付金を上乗せしている人は、その額が妥当かどうか考えてみることです。1万円から5,000円、5,000円から3,000円と下げていき、保険料とのバランスを見ていきます。

特約を「なんとなく不安だから」付けている人は、保険料を重視するなら思いきって切りましょう。試しに先ほどの見積もりで付帯していた「通院保障」をはずすとこれだけ安くなります。

  • 5,000円:1,798円/月 →1,510円
  • 1万円:3,596円/月 →3,020円

どんな特約を追加するかの選定は難しいですが、三大(特定)疾病保障特約のような、支払い基準が厳しい特約もあり、選ぶ際には注意が必要です。迷ったら先進医療特約だけでもいいでしょう。何百万円単位の先進医療技術費に対応できるうえ、月額は100円程度とコストパフォーマンスの高い保障です。

さいごに

入院給付金日額と特約の見直しができたら、後はひたすら各社商品の価格を比較するだけです。保障内容を統一しての比較なので容易にできるでしょう。余裕のある人は、入院給付金とセットになっている手術給付金の内容も比べてみてください。支払対象となる手術内容や保険金の設定額など、各社で微妙な違いがあるものです。

なお、あくまで「最低限の保障を維持した格安価格」で医療保険を探すのであって、「単なる最安値」を追い求め過ぎないよう注意してください。キープすべき保障はきっちりキープしたうえで価格を削っていかないと、万一のときに役に立たない保険になってしまいます。

保険料も手頃で保障内容も納得な保険については、当サイトが行った調査がありますので、具体的な商品名を知りたい人は参考にしてください。ご先ほど述べたようにネット保険が多いため、ご自分で資料を請求し、いろいろ調べてみたうえでもう一度読み返すと、またさらなる発見があると思います。

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