知らなきゃハマる、三大(特定)疾病保障特約の落とし穴

医療保険には多種多様な特約があることは、医療保険とは?医療保険の仕組みを徹底解説内の「特約とは」で解説しましたが、なかには支払条件の厳しいものもあるので、追加する際は注意しなければなりません。
ここでは、支払条件が厳しく、また加入者の多くが勘違いしがちな三大(特定)疾病保障特約について説明します。

目次

三大(特定)疾病保障特約とは?

三大(特定)疾病とは、「がん」「脳卒中(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞)」「急性心筋梗塞」の総称で、日本人の死因で特に多い疾病として知られています。

年齢がん
(悪性新生物)
心疾患脳血管疾患
男性0歳29.3414.208.06
65歳28.8914.328.17
75歳25.5814.698.35
90歳15.3916.147.96
女性0歳20.2117.289.43
65歳18.4117.919.63
75歳16.1818.399.81
90歳9.6419.199.66

※出典:厚生労働省『平成27年簡易生命表の概況・死因別死亡確率』(%)

これらの疾病に備える保障として販売されているのが三大疾病保障特約です。支払条件を満たせば契約に基づいた一時金が受け取れるのが一般的で、以降の保険料の払込が免除になる商品もあります。

国民にとって最も警戒すべき疾病ですから、非常に嬉しいオプションではありますが、注意しなければならないのが支払条件。少なからずの人が「三大疾病にかかったら保険金がもらえる」と思っているようですが、それは大きな間違いです。

注意すべき「支払条件」の落とし穴

三大疾病保障特約の支払条件は、多くのケースで以下のように説明されています。

三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)の所定の状態になられたとき、一時金として特約特定疾病保険金をお支払いいたします。

「所定の状態」と必ず書いてあるので、所定の状態がどんな状態かを必ず確認してください。これは各社により条件が異なりますが、概ね以下のように規定されています。

【がん】

  • 悪性新生物と診断確定されたとき

【急性心筋梗塞】

  • 急性心筋梗塞と診断確定されたその日から60日以上、労働の制限を必要とする状態が続いたとき

【脳卒中】

  • 脳卒中と診断確定されたその日から60日以上、言語障害、運動失調、まひ等の他覚的な神経学的後遺症および労働の制限を必要とする状態が続いたとき

どの文言に注目すべきなのか、順番に見ていきます。

がんの注意点

まず、がんですが、「悪性新生物で診断確定」と書いてあれば、上皮内新生物、つまり「軽いがんでは保障しませんよ」という意味なので注意が必要です。がんが見つかるのは軽い状態であることが多いため、加入するなら上皮内新生物でも保障してくれるタイプの方がいいという声が多いです。もっとも、それならがん単体の特約か、がん保険に入る方がいい気もします。

急性心筋梗塞の注意点

注目ワードは「60日以上」、一部で60日ルールと呼ばれているものです。厚生労働省がまとめた傷病分類別の平均在院日数によれば、心疾患全体の平均在院日数は20.3日で、急性心筋梗塞だからといって長いわけではありません。とても危険な病気なので数時間で亡くなる方も多いですが、危険な状態を脱すると、10日前後、長くて30日も経過すると退院を認められ社会復帰する人が多いです。

つまり、60日以上、社会復帰できない人は滅多におらず、保険金を受け取れる可能性はとても低いといえます。

脳卒中の注意点

脳卒中も急性心筋梗塞と同様、60日ルールに注意してください。また脳卒中といっても、支払対象になるのは「くも膜下出血」「脳内出血」「脳梗塞」の3種類のみであることが一般的です。他の脳血管障害になっても保障されないので事前に理解しておきましょう。

上記3種の傷病にかかり、動けない、話せない状態が60日間継続してはじめて保険金を受け取ることができます。

まとめ

支払のハードルが高いからといって「三大疾病保障特約はいらない」と言いたいわけではありません。支払条件の「所定の状態」に注意しなければならない特約は他にもあります。

請求する段階になってガッカリしないよう、保険金の支払条件はきちんと確認しておきましょう。

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