自動車保険の契約年数は「1年」を選ぶ人がほとんどなのですが、「 2年」「 3年」、長いものでは「 7年」という複数年契約もあるのをご存じでしょうか?
それくらいはさすがに知っていたとして、では、1年契約と複数年契約とでは、具体的にどんなメリット・デメリットがあることを説明できる人は少ないように思えます。
ここでは、複数年契約の仕組みを説明しながら、どんな人に向いているのかを考えます。
複数年契約の基本的なメリット
複数年契約は、保険代理店や車の購入時に代理店となっているディーラーで加入する商品で契約することがほとんどです。取り扱う保険会社によって違いはありますが、おおむね2年、3年、多くて7年契約の商品があります。
長期契約のメリットとして、以下の 3つが考えられます。
- 契約期間中に事故を起こした際の保険料の上昇が実質的に据え置かれる
- 保険料の一括払による割引がある
- 1年ごとの継続手続きが不要
一番のメリットは(1)でしょう。
契約期間中に事故を起こしてノンフリート等級が下がった場合、 1年更新の場合は等級数に合わせて翌年の保険料が上がりますが、複数年契約の場合は加入時に設定した等級やゴールド免許の割引の特約が継続されることがほとんどです(※保険会社によって異なることもあります)。
(2)は、(1)のメリットを享受したうえで、月払に比べて保険料を抑えることができるというメリットです。 20等級以上でそれ以上保険料が安くならない場合で、一括払に抵抗のない人はさらに保険料を下げることができます。
(3)はそのままの意味ですが、契約期間ごとの更新手続きを面倒に感じる人にはその手間が省けるというのもメリットの一つでしょう。
複数年契約のデメリット
もちろんデメリットもあります。
まず(1)の場合、保険料が据え置かれるということで、加入時に免許の色がブルーだったため保険料が高かった人は、契約期間中にゴールドになったとしても保険料が下がることはないという真逆のデメリットが生じます。
(2)は、初年度に多額の費用を払い込まなければならないということで、家計に余裕がない場合はあまり現実的とは言えません。また、そもそも代理店型の商品の保険料自体が高めということもあり、費用面だけを考えればあまりメリットはないかもしれません。
(3)は、ダイレクト型保険にありがちな更新時のインターネット割引が適用されないことですね。
以上から、おおむね複数年契約に向いている人は、
- 等級の下がる事故を起こす可能性がありそうだと自覚している人
- 一括払が可能な資金に余裕のある人
- 忙しくて1年ごとの更新手続きすら面倒な人
ということになります。
何年契約がベターなのか?
それでは、契約期間中に等級の下がる事故に遭った場合、具体的に保険料はどう変わるのでしょうか。
ノンフリート等級が下がるのは、事故を起こして保険会社から保険金を受け取った場合です(自身に全く被がない場合はノーカウント、または 1等級ダウンのケースもあります)。たいていの事故が 3等級ダウンになりますので、それを基準に、 10等級で加入した場合の保険契約中に事故を起こし、同一保険会社で 3年契約と 1年契約で更新を迎えたときの更新時の等級の推移を見てみましょう。
契約時 | 2年目 | 3年目 | 更新時 | |
---|---|---|---|---|
3年契約 | 10等級 | 11等級 | 12等級 | 9等級 |
1年契約 | 10等級 | 7等級 | 8等級 | 9等級 |
上の表で考えると、2年契約の場合は3年目が更新にあたります。
契約時 | 2年目 | 更新時 | |
---|---|---|---|
2年契約 | 10等級 | 11等級 | 8等級 |
1年契約 | 10等級 | 7等級 | 8等級 |
等級維持の効果は次年度しか使えないため、更新時の等級は 8等級となり、 3年契約の場合と比べると 3年目の据え置き分がありません。さらに、更新時には 3年契約の更新時の保険料と比べると 1等級分高めの保険料になってしまいます( 4年目には同じになりますが 1年分得し損ねるという結果に)。
7年契約は、 1社でかつ一括払時のみとなっており、あまり現実的でないためここでは割愛します。
あくまで同じ保険会社で契約の仕方を変えた場合は結論として 3年契約がベターであると考えられます。
ご自身の状況に合わせてメリットの多い契約方法を選択してください。