民間の保険会社で加入しなくとも、自転車関連の活動組織に入会することで自動的に加入できる自転車保険もあります。
ここでは、「JCA自転車総合保険」と「TEAM KEEP LEFT会員自転車総合保険」の2つを紹介します。
JCA自転車総合保険とは
サイクリングの普及・振興を目的に活動する(公)日本サイクリング協会(通称JCA)は、自転車を取り巻く環境整備の一貫として、入会者全員にさまざまな会員特典を付与しています。
自転車総合保険はその一つで、多額の損害賠償金を伴う事故を回避すべく、個人賠償責任保険に重きを置いた補償内容になっています。
具体的な内容を見てみましょう。通常のJCA賛助会員特典のほか、有料の追加保険があります。
種類/補償内容 | 傷害補償 | 個人賠償責任補償 | 保険料(年会費) | ||
---|---|---|---|---|---|
死亡 | 後遺障害(限度額) |
入院 | |||
自転車総合保険 (JCA賛助会員特典) | 213万円 | 213万円 | なし | 5,000万円 | 5,000円 |
傷害総合保険(追加保険) | +340万円 | +340万円 | +4,000円(※1) | 同額 | +3,000円 |
※1:事故発生日からその日を含めて1000日以内の入院日数に対し1日あたり支給
ご覧のように、個人賠償責任保険は、通常特典でも追加保険でも変わらないため、傷害保険を手厚くしたい人だけ上乗せするといいでしょう。サイクリングに限らず、日常生活における自転車の搭乗中に起きた事故すべてが補償対象になります。
なお、追加のタイミングは新規取得時または更新時のみ受け付けており、後日加入はできないため注意してください。
利用するには
Web会員または各都道府県にある協会の所属会員になる必要があります。どちらのルートで加入しても問題ありませんが、都道府県協会はJCAと提携状態にある独立した団体なため、地域によっては別途会費が必要な場合があります。
純粋に自転車保険の加入が目的ならWeb会員の方がいいでしょう。オンラインなので新規登録・資格更新(年1回)、会員情報の変更が素早く行えるほか、保険請求の有無の告知も可能です。
その他の特典
JCA会員になると自転車保険の他にも以下のような特典がついてきます。
特典 | 内容 |
---|---|
サイクルイベント参加・交流 | JCA主催の自転車レースやロングライド・ツアーなどで全国の会員と交流できる |
JACの季刊誌を無料購読 | 年4回(春・夏・秋・冬)の情報誌「CYCLING JAPAN」が届く |
各都道府県サイクリング協会への所属 | 希望する都道府県協会に所属することができ、所属地域のイベントへの参加資格が優遇されることがある |
指導者要請講習会などの受講資格 | サイクリングリーダー、サイクリング・インストラクターおよびサイクリング・ディレクターの指導者養成講習会などを受講できる(検定料は別途必要) |
サイクルスポーツセンターへの入場料割引 | 日本サイクルスポーツセンター (静岡県伊豆) 、関西サイクルスポーツセンター (大阪府河内長野) の入場料が優待される |
休暇村の施設割引 | 全国36ヵ所の休暇村(ホテル)での1泊2日の食時料金が10%割引 |
自転車の輸送費を割引 | サイクリングヤマト便を特別料金で利用できる(別途サイクリングタッグの申込が必要) |
年会費の5000円にはこれらの特典も含まれているため、純粋に自転車総合保険の加入だけを考えるなら他の保険の方が割安でお得かもしれません。自転車を愛し、生涯スポーツとして末永くかかわっていきたい人には魅力的な制度でしょう。
//www.j-cycling.or.jp 日本サイクリング協会
TEAM KEEP LEFT(チームキープレフト)会員自転車総合保険
TEAM KEEP LEFT(以下TKF)とは、スポーツ自転車のイベントを運営するサイクルモード運営事務局と、NPO法人自転車活用推進研究会とが共同で発足させたプロジェクトです。その名のとおり、正しい交通ルールの遵守やマナーアップの向上を目的に、2009年よりさまざまな活動を行ってきました。
TKFの理念に賛同し入会すると、会員特典として自動的に自転車総合保険に加入することができます。補償内容を見てみましょう。
種類/補償内容 | 傷害補償 | 個人賠償責任補償 | 保険料(年会費) | |
---|---|---|---|---|
死亡 ※ | 後遺障害(限度額 ※) | |||
自転車総合保険(TKL会員特典) | 360万円 | 360万円 | 1億円まで | 4,000円(一般)3,000円(ジュニア) |
入院補償や通院補償はないものの、最も肝心な個人賠償責任補償は1億円と安心の内容。他の会員特典もあるので単純比較はできませんが、補償内容や年会費だけを見るとJCAのよりもお得に見えます。
利用するには
TKLのホームページからオンラインで申し込むことになります。年会費は一般が4,000円、18歳以下はジュニア区分で3000円。
JCAと同じく会員資格は最長1年間で、引き続き資格を持続したい場合はホームページから更新手続きが必要になります。
その他の特典
自転車保険以外で得られる特典についても見ていきましょう。
特典 | 内容 |
---|---|
サイクルイベントのフリーパス | メンバーズカードの提示で毎年11月に開催される「サイクルモードインターナショナル」に無料で入場できる |
オリジナルグッズの割引 | TKLおよびサイクルモードインターナショナル等のオリジナルグッズを会員特別価格で購入できる |
自転車の郵送費を割引 | 自転車の輸送サービス「シクロエクスプレス」を会員特別価格で利用できる |
指導者要請講習会などの受講資格 | サイクリングリーダー、サイクリング・インストラクターおよびサイクリング・ディレクターの指導者養成講習会などを受講できる(検定料は別途必要) |
TKLサポーターによる会員限定サービス | 指定のチェックポイントを4つ以上回ると発行される「びわ湖一周サイクリング認定書」を会員価格で発行してもらえる |
JAC同様、独自の特典で協会員との交流を図っています。日本最大級のイベントであるサイクルモードインターナショナルのフリーパスは、毎年参加する人には嬉しいサービスでしょう。
//www.teamkeepleft.net/ TEAM KEEP LEFT(チームキープレフト)
さいごに
保険を扱っているのは民間の損保会社だけではありません。自転車保険のためだけに特定の団体に所属する人はあまりいないでしょうが、他の特典もセットで付いてくるので、知人同士で加入してサイクリングを楽しむのもいいと思います。