医療補償の次に加入しておきたいのが携行品の補償です。治安のいい日本ではさほど注意を払わず持ち歩いていますが、スマホデジカメも海外では盗難に遭いやすい代表的な携行品です。これらの携行品に「もしも」が発生した場合に頼りになるのが「携行品損害補償」です。大切な物や高価な物を失った場合にサポートしてくれる重要な補償です。
では、海外旅行保険における携行品とは何を指すのか、どんな補償なのかを確認しましょう。
携行品とは具体的に何を指すのか
主に「携行品」とされるものは、被保険者が所有(旅行出発前に、その旅行のために他人から無償で借りた物を含む)かつ携行する身の回り品をいいます。
具体的には、スマホやデジカメ、タブレットや時計、カバン等が挙げられます。ですが、自分が携行品だと思っていても補償対象外な物もあります。下記に、主な補償の対象物と対象外の物をまとめました。
携行品損害補償対象物 | 携行品損害補償対象外 |
---|---|
バッグ(カバン)・スーツケース | 現金 |
スマートフォン・携帯電話 | 小切手 |
タブレット | 株券・手形等 |
ノート型パソコン | 印紙・切手等 |
デジタルカメラ | 定期券 |
ミュージックプレーヤー | 預貯金証明書 |
Wi-Fi(個人名義) | クレジットカード |
時計 | 稿本 |
衣類・靴等 | 設計書 |
旅行券(宿泊券・観光券・航空券等) | 船舶 |
乗車券(定期券を除く) | 自動車・原動機付自転車以外の運転免許証 |
旅券(パスポート等) | 自動車 |
眼鏡 | オートバイ |
財布(現金やクレジットカードを除く) | 山岳登坂など危険な運動等を行っている間の、その運動のための用具 |
貴金属(宝石やアクセサリー等) | サーフィン等のスポーツ用具 |
旅行のために友人や知人から無償で借りたもの | 義歯、義肢 |
現地で購入した携行品等 | コンタクトレンズ |
その他、携行するもの | 動植物 |
商品・製品等、業務目的のみに使用される設備、什器、データ、ソフトウェア、プログラム等 | |
被保険者が携行していない物 |
携行品が何を指すのかの判断が難しいところですが、主に「身に付けている物」「持ち歩いている物」という認識です。しかし、義歯やコンタクトレンズは含まれないので注意が必要ですね。
契約時には補償対象の確認をしておく
保険会社が提示している補償対象が今後もずっと補償されるとは限らないので、契約の際には念のため、どんな携行品が補償対象なのかを確認しましょう。
また、現金やクレジットカードは補償対象外なので、財布を盗られても中身は補償されません。この場合の補償は「財布そのもの」と考えておきましょう。保険会社によっては「通貨盗難補償」といった特約もありますので、心配なら検討してみてください。
他にも、Wi-Fiは自身の所有物(もしくは友人などから旅行の前に借りたもの)なら携行品損害補償が適用ですが、現地でレンタルしたWi-Fiであれば「個人賠償責任補償」の適用になります。
補償金額は「時価」か「再調達価額」かで差が出る
携行品の補償で支払われる保険金は、保険会社によって「時価」のものと「再調達価額(新価)」のものがあります。時価とは、買った時の金額ではなく今の価値のことです。再調達価額(新価)とは、同等の物を今買うのに必要な金額の事を指します。
補償時の支払についてですが「時価(または再調達価額)と修理費のどちらか低い方を一つにつき、10万円(旅券・乗車券は5万円)を限度に支払う」という仕組みになっています。たとえば、数年前20万円で買ったノートパソコンの現在価値(時価)が5万円で、修理費用が8万円だとすると、時価払いの契約なら5万円が保険金として受け取れるということです。
時価払いか再調達価額かは保険会社によって違いがあるので、どちらを採用しているのか確認しておきましょう。ジェイアイのt@bihoやエイチエス損保は再調達価額で、AIUや損保ジャパンのoff!は時価払いです。ちなみに、旅行期間中を通して何度も不幸に見舞われたとしても、契約した補償額が上限になります。
渡航先によっては保険料が倍になる場合も
では、渡航先によって保険料は違うのか見ていきましょう。旅行期間1週間、携行品損害補償30万円の同条件で訪問先を変えて、ジェイアイのt@bihoたびほ(再調達価額払い)で調べてみました。
訪問先 | 特約保険料 |
---|---|
ハワイ | 460円 |
ヨーロッパ | 990円 |
アジア | 710円 |
アフリカ | 1,400円 |
地域によって2~3倍も保険料に差があることに驚きです。保険料が高い国は、それだけリスクの高い地域だということですね。時価払いか再調達価格かどちらに加入するにしても、自分が行く渡航先の治安や情勢を確認しながら補償額や保険料を考える必要があります。
一方、行き先がどこであっても保険料が変わらない会社がAIU(時価払い)です。1週間の旅行で30万円の補償の場合、1,460円でした。このように保険会社によってもさまざまなのです。
なお、携行品損害補償は盗難や置き引きは補償されますが、紛失や置忘れは補償されません。
保険金を請求するためには「事故証明書」を取得する必要がある
もし盗難に遭ったら、まずは保険会社のコールセンター(サポートダイヤル)を利用しましょう。今後の対応を的確に指示してくれますし、日本語で相談できるというのは心強い限りです。現地の人とのやり取りに対応してくれる場合もあります。
そして、必ず現地の警察に届け出て「事故証明書(ポリスレポート)」を取得してください。後日保険金を請求するために必要なので、忘れないようにしましょう。