妊娠中はできるだけ安静にしておきたいものですが、授かり婚後の海外挙式やハネムーン、妊娠前から計画していた海外旅行など、やむを得ない事情で海外へ出かけるケースもあると思います。
ただでさえデリケートな時期に、飛行機に乗り、気候、食べ物、文化の違う海外で過ごすのですから、万一に備えての海外旅行保険は必須でしょう(それでなくても必須ではあるのですが)。
そこで気になるのが、妊娠中における海外旅行保険の補償内容です。
そもそも妊娠中に加入させてくれるの?
結論から言いますと、加入することはできます。できますが、妊娠・出産にかかわる疾病が生じて病院にかかった場合、その費用負担を補償してくれるかどうかは別です。
たとえば、損保ジャパン日本興亜の『新・海外旅行保険【off!(オフ)】』の「ご契約にあたってのご質問」ページには、次のようなQ&Aが記載されています。
Q.現在妊娠していますが、off!に加入できますか?
A.はい、妊娠中の方でもご加入いただくことができます。
ただし、妊娠・出産・早産・流産およびこれらに基づく病気が原因により生じた費用は、保険金をお支払いする対象とはなりません。
同じく、エイチ・エス損保の『スマートネッとU』の「よくいただくお問い合わせ」ページにも、次のように名言されています。
Q.現在妊娠中なのですが、契約は可能ですか?
A.ご契約いただけます。ただしネット海外旅行保険「スマートネッとU」では妊娠・出産・早産・流産およびこれらに基づく病気が原因で生じた治療費用等は保険金の支払い対象になりませんのでご注意ください。
やはり、妊婦の海外旅行にはリスクが伴うせいでしょうか、加入は許すが妊娠・出産にかかわる疾病の補償はしないというスタンスの会社がほとんどのようです。
妊娠・出産関連の疾病でも補償してくれる海外旅行保険は?
キーワードは「妊娠満22週未満」
妊娠中でも加入ができ、なおかつ妊娠・出産関連の疾病が補償対象の海外旅行保険もあります。代表的なのは、ジェイアイ傷害の『 t@biho(たびほ)』と、AIUの『海外旅行保険』です。以下、両社の公式サイトから抜粋して紹介します。
《t@biho(たびほ)》
Q:現在妊娠していますが、契約できますか?
A:はい、ご契約いただけます。
「t@bihoたびほ」では妊娠・出産・早産・流産およびこれらに基づく病気が原因により生じた治療費用等はお支払いの対象になりませんのでご注意ください。なお、保険期間31日以内のご契約の場合、妊娠初期の症状に対する保険金支払責任の変更に関する特約がセットされ、責任期間中に発生した妊娠初期の異常により医師の治療を開始した場合はお支払いの対象となります。詳細は保険約款によります。
31日以内の海外旅行に限られますが、ハッキリと「補償する」と明記してありますね。”詳細は保険約款による”とあるので、約款に目を通すと、次のように記載してありましたので抜粋します。
妊娠初期の異常:子宮外妊娠その他の日本国内の公的医療保険制度において療養の給付の支払対象となる症状に相当する妊娠に関する症状をいいます。なお、妊娠満22週以後に発生したものを除きます。
「妊娠初期」を満22週と定義付け、それ以降のケースは補償できないというスタンスです。
AIUはどうでしょうか。
Q.現在、妊娠中ですが、現地での出産に関する費用は補償されますか?
A.いいえ。海外旅行保険では、妊娠・出産・早産・流産およびこれらにもとづく病気が原因により生じた費用は、保険金のお支払い対象となりません。
ただし、保険期間が31日までの契約で、「治療・救援費用」「疾病治療費用」「救援者費用」のいずれかを含むプランに限り、「妊娠初期の症状に対する保険金支払責任の変更に関する特約」がセットされ、妊娠初期の異常(妊娠満22週以後の発生は除く)により医師の治療を開始した場合には、お支払いの対象となる場合があります。
AIUの海外旅行保険のQ&Aページにも、t@biho(たびほ)とほぼ同じ文言が確認できました。キーワードは「妊娠満22週未満」。ここまでの妊婦さんなら、海外旅行保険選びに苦労することは、そうなさそうです。
妊娠22週以後の妊婦さんは諦めるしかないの?
では、妊娠22週を過ぎた妊婦さんは無保険で渡航するしかないのでしょうか? 当サイトとしては、無保険での海外旅行は非常にリスキーですので、「なんとかして探す」ことをお勧めします。日本にはなくても、海外には妊娠23週以降でも補償してくれる海外旅行保険があるからです。
国外の海外旅行保険を探すとなると、英語での問い合わせがほぼ必須となり、ハードルが上がりますが、諦めたらそれまでです。英語が堪能な友人・知人にお願いするなどして、やっぱり「なんとか探す」ことをお勧めします。
もっとも、海外の旅行保険といっても26週くらいまでが最高クラスのようですし、飛行機にしても、32週以降の妊婦は搭乗できない、29週以降は医師の診断書が必要など、制限がかかるのが一般的です。前言と矛盾するようですが、保険会社や航空会社が”厳しい”と判断しているラインに差し掛かる場合は、海外旅行を延期するのも勇気だと思います。
自分の身体とお腹の中の赤ちゃんのことを第一に考えてください。