併用できる?障害年金・障害者総合支援法と介護保険の関係

病気や怪我で体が不自由になる障害を負った人に対し、国は金銭的支援や就労支援を行なっています。これが障害年金や障害者総合支援法です。

【参考】
・障害年金の対象疾患  日本年金機構ウェブサイト
・障害者総合支援法の対象疾患  厚生労働省

障害状態にあると認定された人々は、それぞれの制度にそって支援を受けることができますが、介護保険との併用は可能なのでしょうか?

体が不自由であると同時に要介護状態になる可能性は十分に考えられます。特に、障害者総合支援法のなかには介護保険と同種のサービスも存在するだけに、両方利用できるのと一方しか利用できないのとでは大きな違いです。

目次

障害年金との併用は可能か

いきなり結論から申し上げると、介護保険と障害年金は併用することができます。

障害年金は、病気や怪我で一定の障害を負ったことで所得が減少、またはゼロになった人々やその家族に対して行う広い枠組みでの金銭支援であり、要介護者の介護費負担を軽減する介護保険とは棲み分けが異なるものだからです。したがって、「障害状態」かつ「要介護状態」の高齢者の場合でも双方の支援を受け取ることが可能です。

年金の額は、加入している年金制度(国民年金、厚生年金、共済年金)と障害等級(障害の重さを表す度合)、また配偶者・子どもの有無などにより異なります。

障害者総合支援法とはケース・バイ・ケース?

一方で、介護保険と障害者総合支援法のサービスを併用する場合は話が別です。

障害者総合支援法とは、障害を持つ人々の自立と共生を総合的に支えるために作られた法律のことですが(それまでの「障害者自立支援」が改正され平成25年4月1日より施行)、このなかには「訪問介護」や「居宅介護」など介護保険と同種のサービスが存在するため、利用者の意思で自由に併用することができないとされています。

出典:平生24年4月版「障害者自立支援法のサービス利用について」パンフレットより抜粋/厚生労働省

画像左上にあるオレンジの枠で囲まれた「介護給付」の欄をみてみると、介護保険でも受けられる同種のサービスがあることがわかります。たとえば、先ほども例で挙げた居宅介護は、介護保険でいう訪問介護と同義です。こうしたケースでは、介護保険が優先されるのが原則です。

ただし、介護保険では給付されないもの、たとえば就労支援サービスなどは、障害者総合支援法を利用してもいいことになっています。同様に、介護保険だけでは不十分だと認められるものについては障害者総合支援法によるサービスで補うことが可能です。

留意点として、介護保険はケアマネージャーがプランを作成しますが、障害者総合支援法は本人または家族が障害度に応じて市区町村に申請しなければなりません。利用額は応能(所得に応じての)負担となっている点も覚えておきましょう。詳細は居住する自治体の担当窓口にお問い合わせください。

参考:東京都墨田区

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