顔面神経麻痺になったことのある人が一般の保険に入るには?
今後の病状について医学的な見通しが良く、中枢系顔面神経麻痺でないことが重要です。
顔面神経麻痺は、表情筋を動かしている顔面神経が損傷し、顔の表情が動かなくなる病気です。多くは突然に、顔の右あるいは左半分に起こります。痛みは無いため、鏡を見て顔がゆがんでいることで気付く場合もありますが、額にしわを寄せられない、眼を閉じられない、口角が垂れ下がる(よだれが垂れる)などの症状が出て自覚することもあります。
また、麻痺している側の聴覚が過敏になり、音が大きく響くように感じることもあります。顔面神経麻痺の多くは特発性で原因不明の「ベル麻痺」と言われています。
告知の際のチェックポイント
顔面神経麻痺の既往症のある人が、保険に加入する際に告知をする場合は以下を記入するとよいでしょう。
- 治療開始期と症状の詳細
- 原因と正式診断名
- 治療内容(手術の有無)
- 後遺症の有無
- 診療機関名
1.治療開始期と症状の詳細
いつ、どのような症状が出て受診したのか、詳細の告知をしてください。顔面神経麻痺の多くは、ある日突然、片側に起こるのが特徴です。
2.原因と正式診断名
顔面神経麻痺には「末梢性」と「中枢性」があります。
抹消性顔面神経麻痺の場合、手足の痺れなどの症状が出ることは通常ありません。原因不明のものにはベル麻痺があります。その他の原因としては、ハント症候群(帯状疱疹ウイルス感染によるもの)、側頭骨骨折、慢性中耳炎、聴神経腫瘍、顔面神経鞘腫、耳下腺腫瘍、糖尿病性神経障害などがあります。
中枢性顔面神経麻痺の場合の特徴は、手足の麻痺など、顔面神経麻痺以外の症状を併発します。脳血管疾患、脳腫瘍等が原因の場合があります。
いずれにせよ、原因疾患に基づいた査定が行われます。
3.治療内容(手術の有無)
顔面神経麻痺のなかで一番多いベル麻痺では、マッサージや温熱療法(暖かいタオルで顔を温め、血行を促す)などの治療を行います。
星状神経節ブロックといって、星状神経節と呼ばれる自律神経の神経節に局所麻酔剤を注入し、顔面神経への血液の流れを改善させる治療を同時に行うこともあります。目や口を閉じることが困難といったような重症例に対しては、ステロイド治療もおこなわれます。また、ボツリヌス毒素を皮膚に数カ所注射するボトックス注射で治療する場合もあります。改善をみない例では、顔面神経管開放術などの手術的治療の対象となることもあります。
4.後遺症の有無
後遺症がない場合は「後遺症無し」と記載しましょう。ある場合には、症状の詳細を記入してください。治癒が完全でない場合、顔面麻痺や顔面痙攣が残ることがあります。また、再生した顔面神経が本来の支配先と異なった筋を支配してしまった場合には、異常連合運動といって、口を閉じると眼が一緒に閉じたり、熱いものや冷たいものを食べたときに涙が出たりすることがあります。
顔面痙攣が残る場合もあります。後遺症の有無については、今後治療の必要があるかどうかを確認するためです。
5.診療機関名
告知の際には、受診している医療機関名を告知しましょう。クリニックか、がんセンターか、大学病院か医療センターか、保険会社は医療機関と病名との整合性を確認するためです。
残念ながら一般の保険に加入できない場合
これまで述べたポイントを踏まえても加入できない場合、次の手段として、「引受基準緩和型」または「緩和型」と呼ばれる保険の審査を受けてみるのも一手です。持病や病歴のある人でも加入できるよう、審査基準をやさしくした保険のことで、保険料は少し割高になりますが、それでも入りたいという人は意外に多いことから、保険会社が力を入れつつある分野の一つです。
特徴的なのは、この手の保険の審査基準が保険会社によってまちまちな点。A社ではダメだったものがB社では通ったり、逆にB社ではNGな症状がA社では問題視されていなかったり、各社でスタンスが異なります。つまり、「保険に入っておきたい」という目的を叶えるなら、数撃ちゃ当たる作戦が功を奏する可能性が高くなるということです。
引受基準緩和型保険でも加入を断られた場合、最終手段として「無選択型」と呼ばれる告知なしの保険に頼るという手もありますが、当サイトではあまりお勧めしていません。「告知なし=誰でも加入できる」というだけあって、保障が限定的であったり、保険料がずば抜けて高かったりと、さほどメリットを見出だせないと考えているためです。
もちろん、保険は安心を買う商品でもありますから、真っ向から否定はしませんが、無選択型保険を選ぶ場合は、緩和型保険以上にその保障内容をきちんと理解したうえで加入するようにしましょう。
ところで:なぜ顔面神経麻痺だと保険の加入が難しくなるのか?
顔面神経麻痺の大部分は予後が良いベル麻痺ですが、中枢性との鑑別が重要となります。中枢系では、脳腫瘍等、重篤な疾患が原因となっているためです。中枢性顔面神経麻痺と思われる場合には、保険の加入は難しくなります。末梢性であっても、たとえば糖尿病性の場合は、糖尿病に順ずる査定といったように、原因疾患に基づいた査定となるため、原因によっては保険の加入は難しくなります。
(注)あくまで当サイトの考察であり、保険に加入できるかどうかの判断基準は保険会社により異なる点、ご留意ください。
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