脂肪肝になったことのある人が一般の保険に入るには?
肝機能と脂質の数値に異常がないことが重要です。
脂肪肝とは、肝細胞の中に脂肪(中性脂肪)が多量に蓄積した状態-いわゆるフォアグラ状態のことです。
脂肪肝には「飲酒」が原因のタイプと、「過食」が原因のタイプがありますが、近頃では過食が原因のタイプが増えています。肝臓は沈黙の臓器ともいわれ、脂肪肝には特に自覚症状がないため、ほとんどが健康診断で発見されます。
ここでは、告知された内容を保険会社がどう見るか?という視点から、告知のポイントを考えてみましょう。
告知の際のチェックポイント
脂肪肝の既往症のある人が、保険に加入する際に告知をする場合は以下を記入するとよいでしょう。
- 治療歴の有無とその内容
- 初めて指摘された時期
- 肝機能検査の数値(GOT、GPT、γ‐GTP)、コレステロール値、中性脂肪値
1.治療歴の有無とその内容
脂肪肝は、健康診断で初めて指摘されることがほとんどです。通常、脂肪肝の治療の基本は食事療法と運動療法です。ただし、脂質異常(高コレステロール血症)を合併している場合、コレステロール値が高いままだと治癒しにくいため、LDLコレステロール値を下げるために薬を服用することがあります。また、脂肪肝炎を発症した場合などは、服薬治療を行います。通院して治療を行っている場合は、服薬している薬剤名(肝臓のための薬なのか、コレステロールのための薬なのか判断するためです)、いつから服薬しているのかを告知しましょう。
2.初めて指摘された時期
初めて脂肪肝を指摘された時期を告知しましょう。
3.肝機能検査の数値(GOT、GPT、γ‐GTP)、コレステロール値、中性脂肪値
肝機能検査(GOT、GPT、γ‐GTP)の数値に問題がなければ、特に問題ない場合が多いのですが、脂肪肝はメタボリック・シンドロームの部分症状ともいえる状態なので、その他、脂質(コレステロール、中性脂肪)、肥満度にも問題がないことが重要です。数値に異常のないことを示すために、人間ドックや健康診断結果の提出をするとよいでしょう。
4.診療機関名
告知の際には、受診している医療機関名を告知しましょう。近所の診療所なのか、医療センターなのか、保険会社は医療機関と病名との整合性を確認するためです。
残念ながら一般の保険に加入できない場合
これまで述べたポイントを踏まえても加入できない場合、次の手段として、「引受基準緩和型」または「緩和型」と呼ばれる保険の審査を受けてみるのも一手です。持病や病歴のある人でも加入できるよう、審査基準をやさしくした保険のことで、保険料は少し割高になりますが、それでも入りたいという人は意外に多いことから、保険会社が力を入れつつある分野の一つです。
特徴的なのは、この手の保険の審査基準が保険会社によってまちまちな点。A社ではダメだったものがB社では通ったり、逆にB社ではNGな症状がA社では問題視されていなかったり、各社でスタンスが異なります。つまり、「保険に入っておきたい」という目的を叶えるなら、数撃ちゃ当たる作戦が功を奏する可能性が高くなるということです。
もちろん、これまで述べてきたように、脂肪肝でも引き受けてくれる蓋然性は高いとは言えません。
そこで、引受基準緩和型保険でも加入を断られた場合、最終手段として「無選択型」と呼ばれる告知なしの保険に頼るという手もありますが、当サイトではあまりお勧めしていません。「告知なし=誰でも加入できる」というだけあって、保障が限定的であったり、保険料がずば抜けて高かったりと、さほどメリットを見出だせないと考えているためです。
もちろん、保険は安心を買う商品でもありますから、真っ向から否定はしませんが、無選択型保険を選ぶ場合は、緩和型保険以上にその保障内容をきちんと理解したうえで加入するようにしましょう。
ところで:なぜ脂肪肝だと保険の加入が難しくなるのか?
肝臓は沈黙の臓器といわれ、脂肪肝には特に自覚症状がありません。また、脂肪肝の多くは、お酒の量を減らしたり、体重を減らしたり、食事内容を見直したりすることで改善が期待できます。しかし、症状がないため放置しがちであり、悪化すると肝炎や肝硬変、肝臓がんに進行することもあるので、保険の加入が難しくなる場合があるのです。
最近注目されているのが、NASHという「非アルコール性脂肪性肝炎」で、飲酒を原因としない脂肪肝(過食などによる脂肪肝)ですが、この中に、数年のうちに肝細胞の壊死や炎症などを生じるものがあり、中には肝硬変や肝臓がんに至るものもあります。
メタボリック・シンドロームの増加が懸念されている現在、肝障害の中でこのNASHの割合はますます高くなるだろうと予想されています。
(注)あくまで当サイトの考察であり、保険に加入できるかどうかの判断基準は保険会社により異なる点、ご留意ください。
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