胃潰瘍になったことのある人が一般の保険に入るには?
とにかく治療内容の詳細な告知が重要です。
胃潰瘍は、胃から分泌される胃酸と胃壁を守る胃粘膜の増殖因子など防御機構とのバランスが崩れ、胃壁に潰瘍や穴ができて痛みが生じたり、出血したりする病気です。原因には、ストレス、ピロリ菌、薬によるもの、不規則な食生活(暴飲暴食・早食い等)、嗜好によるもの(喫煙・飲酒・コーヒー・刺激の強いもの)などがあげられます。現在ではほとんどが薬による治療となりました。
重症度にもよりますが、多くは半年以内に治癒します。しかし再発率も高いので、治癒後の長期の維持療法も重要です。
告知の際のチェックポイント
胃潰瘍の既往症のある人が、保険に加入する際に告知をする場合は以下を記入するとよいでしょう。
- 治療を開始したきっかけ、発症時期と完治時期
- 再発の有無
- 服薬した薬の名前
- ピロリ菌の除去の有無
- 入院の有無、手術の有無
- 診療機関名
1.治療を開始したきっかけ、発症時期と完治時期
人間ドックで発見されたのか、痛みがあって医療機関を受診したのか、治療を開始したきっかけを告知してください。また、それがいつなのか、告知してください。治療内容との整合性を確認するためです。
2.再発の有無
胃潰瘍は再発しやすい疾患です。治療内容との整合性を確認するためにも告知があるとよいでしょう。再発を繰り返したり重症だと思われたりする場合には、加入時に、なんらかの条件がつく可能性があります。
3.治療内容(薬剤名)
服薬治療の場合は、薬剤名を告知しましょう。
4.ピロリ菌除去の有無
胃潰瘍の 9割以上が、ピロリ菌の感染がみられるといいます。除去をしていない場合には、再発の可能性も考えられるため、重症度によっては、加入の際に条件がつく場合もあります。
5.入院の有無、手術の有無
入院した場合には、入院となった経緯、入院日数を告知してください。
現在の日本では、胃の手術適用の場合(胃の穿孔[せんこう]など)でも内視鏡による手術がほとんどで、開腹手術となるのは胃穿孔や大量出血などの場合に限られます。最近では早期胃がんについても、日帰り・内視鏡の手術で済むようになったため、胃かいようか胃がんかの鑑別が重要となります。
胃潰瘍で開腹手術を受けた場合は、その理由を記入し、胃がんを否定するために、診断書(病理組織診断の記載があるもの)の添付をするとよいでしょう(保険会社から求められるでしょう)。
6.診療機関名
告知の際には、受診している医療機関名を告知しましょう。がんセンターか、大学病院か医療センターか、保険会社は医療機関と病名との整合性を確認するためです。
残念ながら一般の保険に加入できない場合
これまで述べたポイントを踏まえても加入できない場合、次の手段として、「引受基準緩和型」または「緩和型」と呼ばれる保険の審査を受けてみるのも一手です。持病や病歴のある人でも加入できるよう、審査基準をやさしくした保険のことで、保険料は少し割高になりますが、それでも入りたいという人は意外に多いことから、保険会社が力を入れつつある分野の一つです。
特徴的なのは、この手の保険の審査基準が保険会社によってまちまちな点。A社ではダメだったものがB社では通ったり、逆にB社ではNGな症状がA社では問題視されていなかったり、各社でスタンスが異なります。つまり、「保険に入っておきたい」という目的を叶えるなら、数撃ちゃ当たる作戦が功を奏する可能性が高くなるということです。
もちろん、これまで述べてきたように、胃潰瘍でも引き受けてくれる蓋然性は高いとは言えません。
そこで、引受基準緩和型保険でも加入を断られた場合、最終手段として「無選択型」と呼ばれる告知なしの保険に頼るという手もありますが、当サイトではあまりお勧めしていません。「告知なし=誰でも加入できる」というだけあって、保障が限定的であったり、保険料がずば抜けて高かったりと、さほどメリットを見出だせないと考えているためです。
もちろん、保険は安心を買う商品でもありますから、真っ向から否定はしませんが、無選択型保険を選ぶ場合は、緩和型保険以上にその保障内容をきちんと理解したうえで加入するようにしましょう。
ところで:なぜ胃潰瘍だと保険の加入が難しくなるのか?
現在、胃潰瘍と診断された場合には、ピロリ菌の除去や服薬による治療が一般的です。よって、入院や手術の告知がある場合には、胃がんが疑われます。初期の胃がんであれば、日帰り手術ということもあるので、胃がんを否定できることが重要となります。
ちなみに、胃潰瘍で手術の適用となるのは下記のような場合です。
- 出血:潰瘍が深く出血した場合(内視鏡的止血療法で、多くは止血可能)
- 穿孔:胃壁に穴があいて、腹腔内に胃の内容物が出て腹膜炎を起こした場合(緊急手術の適用)
- 狭窄(きょうさく):胃潰瘍を繰り返して瘢痕(はんこん)化が進み、狭窄を起こした場合
(注)あくまで当サイトの考察であり、保険に加入できるかどうかの判断基準は保険会社により異なる点、ご留意ください。
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