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「建物更生共済むてき」はJA共済が扱っている火災共済です。地震の補償も含んでいるのと、満期金があるのが大きな特徴です。
JA共済は、本来は、農家の相互扶助組織であるJAのための共済ですが、「員外利用」という形で、農業従事者でなくても利用できます。他の共済組合同様、出資金を支払って組合員になる必要があります。出資金は窓口によって異なりますが、おおむね1,000円程度です。出資金は解約すると返金されます。
火災など (火災・落雷・破裂・爆発、物体の衝突、水濡れ、盗難、汚損・破損、騒じょう) |
○ |
台風・地震 (風災・水災・雪災・ひょう災・地震、地震による津波、噴火) |
○ |
ケガ・死亡 | ○ |
共済では、火災の補償と風水害の補償に分けていることが多く、JA共済でも同様です。風水害の補償には地震の補償を含んでいます。仕組み上、異なる補償とされていますが、風水害の補償を外すことはできず、実質、すべてが一体となったワンプランの商品になります。
ケガ・死亡についての補償もあり、死亡の場合1人につき共済金額の30%(1,000万円を限度)が支払われます。この傷害共済金については外すことも可能です。
さらに、建物更生共済むてきには満期金があります。満期金には配当にあたる割戻金がプラスされることもあり、積立保険の機能もあると言えます。満期金を、満期時に一括で受け取るだけでなく、契約期間中に、「修理費共済金」として少しずつ受け取る「ボーナスプラン」もあります。ただし、修理費共済金を受け取る場合は、満期時に受け取る満期金は少なくなります。学資保険にある祝い金と同じ仕組みです。満期金があるため、途中で解約した場合、返戻金が発生します。
補償の目的として建物・家財のほか、「特定建築物」にもかけることができ、これは「畜舎・堆肥舎」などが例として挙げられており、JAの本来の存在意義を思い起こさせられます。
種類 | 主な内容 |
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個人賠償責任共済 |
第三者に負った賠償費用を補償 5,000万円まで |
種類 | 主な内容 |
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臨時費用共済金 | 共済金が支払われたとき、共済金の30%を費用として支払い |
特別費用共済金 | 損害割合が80%以上の損害を受けたとき、共済金の10%を支払い |
残存物とりかたづけ費用共済金 | 家財の燃えかすや燃えた建物の残骸の片付費用を、共済金の10%まで支払い |
損害防止費用共済金 | 損害の発生および拡大の防止のためにかかる費用の実費を補償 |
失火見舞費用共済金 |
近隣等第三者の所有物に損害を生じさせたときの費用 第三者1人あたり20万円まで(※ただし支払限度額の20%を限度) |
盗難再発費用共済金 | 盗難による損害が発生したとき、再発防止に必要な費用として5万円を支払い |
費用共済金はすべて自動セットとなっていますが、外すこともできます。
割引 | - |
払込方法 |
・月払、年払 ・口座振替、集金・JA窓口での支払 |
評価 | 再取得価格 |
共済掛金振替払特約という特約によって、一般の保険でいう全期前納払にあたる払込を行うこともできます。つまり、全期分の掛金を一括で支払い、この払込金はJAが預かる形になって、順次、払込が行われたものとして充当されていくというものです。共済掛金振替払特約の際は、掛金の総払込額は、月払・年払よりも安くなります。
《見積もり条件》
環境:東京都、70平方メートル、保険期間10年、賠償責任共済あり
項目 | 金額等 | |||
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構造級別 | T構造 | H構造 | ||
保険の目的 | 建物 | 家財 | 建物 | 家財 |
掛金 | 17万4,802円 | 20万9,695円 | 16万9,231円 | 23万9,785円 |
払込方法 | 年払 | |||
満期共済金 | 149万円 | 179万円 | 126万円 | 179万円 |
《見積もり条件》
環境:東京都、40平方メートル、保険期間10年、賠償責任共済あり
項目 | 金額等 |
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構造級別 | T構造※ |
掛金 | 20万390円 |
払込方法 | 年払 |
満期共済金 | 171万円 |
※JA共済のサイト上のシミュレーションではM構造を選択できないため、延面積を40平米とし、T構造で試算しました。
通常の火災保険の感覚で試算すると掛金額に驚くかもしれませんが、満期金がある点に注意してください。計算してみると明らかなように、払い込む掛金総額の半分以上が満期金として戻ってきますので、実質的な掛金は半額程度と考えられます。
満期金の存在をどう考えるかで評価が変わってくるでしょう。掛金は高めではありますが、掛け捨てでないと考えると、貯蓄も兼ねて検討する意味は生じてきます。ただし、都度の負担は重いので、それに耐えられるかどうかが判断の分かれ目です。
注目したいのは、T構造とH構造の掛金差が比較的少ないことで、木造住まいの人は一度、保険料を比較してみるとよいでしょう。
地震補償がセットになっていて外せませんが、これも地震保険に入るつもりなら問題ないと言えます。死亡補償はムダに感じる人も多そうですが、これは外すことができます。カギ開けなどの付帯サービスがない点は注意です。