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損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」を徹底分析

掲載: 

2014年の合併により、単体では国内最大の損保会社となった損保ジャパン日本興亜。この商品は、旧損保ジャパンの火災保険「ほ~むジャパン」をベースに、リニューアルされたものになります。

主な補償内容

プランと主契約

種類 プラン
ベーシック(I型) ベーシック(II型) スリム(I型) スリム(II型)
火災・落雷・破裂・爆発
風災・ひょう災・雪災
水災 選択可能 選択可能 ×
落下・飛来・衝突 × ×
水濡れ × ×
騒じょう × ×
盗難 × ×
破損・汚損 × × ×
自己負担額 なし※/1/3/5/10万円より選択 3/5/10万円より選択

※自己負担額なしを選択した場合も、「破損・汚損」は自己負担額1万円

火災に風災をプラスしたものをミニマムな補償とし、水災の有無で段階をつけたスリムプランと、その他の補償を追加したベーシックプランに大きく分かれます。ベーシックプランは破損・汚損をつけるかどうかでふたつのタイプがあり、さらに、水災の有無も個別に選択できます。

やや複雑に感じられますが、要は絞り込んだ補償と、充実した補償の2つで、そこに水災や破損・汚損をつけるかどうかで考えればわかりやすいでしょう。自己負担額を段階的に選ぶことができます。

特約

種類 主な内容
地震保険 地震による倒壊・火災・津波などで被った損害を補償
個人賠償責任特約 第三者に負った賠償費用を補償 1事故につき保険証券記載の保険金額を限度 示談交渉サービスつき
施設賠償責任特約 保険の対象である施設に起因する事故などで第三者に負った賠償費用を補償
携行品損害特約 自宅から持ちだした家財が事故により損害を負ったときの修理費用を補償 自己負担額1万円
類焼損害特約 自宅からの出火により近隣等第三者の所有物に類焼し、類焼先の火災保険で復旧できない場合、修復費用の不足分を補償 1億円まで
家賃収入特約 建物が損害を受けた結果、家賃収入の損失が生じた場合、復旧期間内(上限あり)に生じた家賃の損失額を補償
地震火災特約(地震火災30プラン・地震火災50プラン) 地震等が原因の火災で以下の損害を受けたときの費用。支払限度額の25%~45%(地震火災費用保険金と合算で30%~50%)
■建物:半焼以上
■家財:家財を収容する建物が半焼以上または家財が全焼
建物電気的・機械的事故特約 建物の機械設備に電気的または機械的事故が生じ、故障した場合の修復費用を補償
事故再発防止等費用特約 事故再発防止等のために負担した費用を補償 1事故につき、20万円まで
営業用什器・備品等損害特約 保険の対象である建物に収容されている、業務用の什器・備品等に生じた損害について補償 自己負担額1万円
商品・製品等損害特約 保険の対象である建物に収容されている、商品・製品等に生じた損害について補償 自己負担額1万円
借家人賠償責任補償 賃貸で貸主に負った賠費用を補償(※自動セット)
修理費用補償 賃貸で借主が応急修理をしたときの費用を補償 自己負担額3,000円

さまざまな特約がオプションとして用意されています。注目は地震火災特約です。地震保険は最大でも火災保険の50%までの保険金額しか受け取ることができず、この点がしばしば問題視されます。地震費用保険金によって5%は上乗せされますが、その程度では心許ないと言えます。地震火災特約は、30プランの場合は25%、50プランの場合は45%、地震保険にプラスして補償されるようになります。費用保険金の5%を足すことで、50プランなら100%の補償も可能になるという仕組みです。

費用保険金

種類 主な内容
損害防止費用 損害の発生および拡大の防止のためにかかった費用
地震火災費用保険金 地震等が原因の火災で以下の損害を受けたときの費用。支払限度額の5%
■建物:半焼以上
■家財:全焼
残存物取片づけ費用保険金 家財の燃えかすや燃えた建物の残骸の片付費用
水道管修理費用保険金 凍結によって損壊を受けた水道管の修理費用
※建物が保険の範囲の場合のみ。区分所有は含まない
臨時費用保険金 保険金が支払われたとき、保険金の所定の割合を費用として支払い

この商品では、上記の費用保険金はすべて自動付帯されています。臨時費用保険金だけは、「なし」から損害保険金×30%、限度額300万円まで、段階的に補償内容を設定できます。

その他

種類 主な内容
すまいとくらしの
アシスタントダイヤル
24時間365日受付のサービス 原則予約制のサービス
・水まわりのトラブル応急サービス
・かぎのトラブル応急サービス
・防犯機能アップ応援サービス
・健康・医療相談サービス
・介護関連相談サービス
・住宅相談サービス
・法律相談サービス
・税務相談サービス

付帯サービス「すまいとくらしのアシスタントダイヤル」が必ず付帯します。中でも「水まわりのトラブル応急サービス」「かぎのトラブル応急サービス」は水道・トイレのトラブルの応急処置や、鍵紛失時の鍵開けなどが、所定の業者に無料で依頼できるというもので、いざというときは重宝しそうです。

保険料

払込方法等

割引 ・新築割引
・長期分割割引
・公有物件等割引
払込方法 ・月払(1年)、一括払(5年以下)、長期月払(2~5年の整数年)、長期年払(2~5年の整数年)、長期一括払(2~10年の整数年)
・口座振替、クレジットカード、コンビニエンスストア、郵便局、銀行振込 (※クレジットカードは一括払・長期一括払のみ)
評価 再取得価格

払込方法は、補償期間によって選べるものが変わってくる仕組みです。

実際の保険料はどうでしょうか。条件を変えて見積もってみました。

契約例1.専用住宅

《見積もり条件》
環境:東京都、建築年月10年以上、1年契約
プラン等:ベーシック(Ⅰ型)、建物2,000万円、家財1,000万円、自己負担額なし、臨時費用保険金30%(限度額100万円)

項目 金額等
構造級別 T構造 H構造
建物+家財の保険料 3万1,890円 5万8,070円
建物のみの保険料 1万7,970円 3万4,120円
払込方法 一括払

契約例2.マンション

《見積もり条件》
環境:東京都、建築年月10年以上、1年契約
プラン等:ベーシック(Ⅰ型)、建物1,000万円、家財1,000万円、自己負担額なし、臨時費用保険金30%(限度額100万円)、水災なし

項目 金額等
構造級別 M構造
水災の補償 なし あり
建物+家財の保険料 9,890円 1万1,870円
建物のみの保険料 4,600円 5,410円
払込方法 一括払

専用住宅の保険料は他社と比べても標準的。マンションはやや割安感がありますが、特段に安いという印象でもないようです。

総合まとめ

どちらかといえば充実タイプの保険で、費用保険金が含まれていることや、付帯サービスなどを考えると、総合的には割安感もあります。特に、地震火災特約によって地震の補償が拡充される点は強みです。ただし、地震保険に契約し、特約もつけると、保険料は高くなっていきますので、地震補償を厚くしたい場合は、必ずしもお値頃な保険とは言えないかもしれません。それでも、地震補償を重視する人には検討する価値が高い商品です。

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