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東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険」を徹底分析

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「トータルアシスト住まいの保険」は、東京海上日動が販売する火災保険です。同社では、生命保険・損害保険両方に渡って、必要な保障(補償)を組み合わせて契約できる総合保険商品「超保険」が販売されていますが、「トータルアシスト住まいの保険」は「超保険」の、住まいに関する補償部分を単品販売したものと言えます。

「トータルアシスト住まいの保険」は単品でも、「超保険」の一環として契約しても、基本的な補償内容は同じです。ただし、「超保険」では、一部、補償を拡大することができる部分があります。以下は、「トータルアシスト住まいの保険」単品の内容を紹介しますが、「超保険」の補償拡大部分についても、合わせて解説したいと思います。

主な補償内容

プランと主契約

種類 プラン
充実タイプ スタンダードタイプ マンション向けタイプ
火災・落雷・破裂・爆発
風災・ひょう災・雪災※1
水災※2 ×
落下・飛来・衝突
水濡れ
騒じょう
盗難
破損・汚損 ×
地震
自己負担額 なし/5,000円/3万円/5万円より選択※3

※1:風災は自己負担額10万円または20万円を設定可能
※2:水災は支払限度額の縮小が可能
※3:自己負担額なしを選択した場合も、「破損・汚損」は自己負担額5,000円

この商品の補償は、フルセットが基本と言えます。充実プランとスタンダードプランの差は破損・汚損だけで、それとは別に、水災のニーズが薄いマンション向けのプランがあるだけです。しかも、地震保険も、原則、必ず契約する形で提供されており、火災保険単体での販売はないことになります。

保険料を抑えたい人向けに、風災・水災については、自己負担額を設定したり、補償を縮小するオプションがあります。

「超保険」の場合

「超保険」を契約して、住まいの補償をつけた場合、その補償内容は、この「トータルアシスト住まいの保険」と基本的に同じです。ただし、超保険の場合にだけつけられる特約(地震危険等上乗せ補償特約)によって、通常、最大でも火災保険の支払限度額の50%までしか補償されない地震の損害を、+50%上乗せし、100%の補償とすることができます。

地震保険が火災保険の最大50%までしか補償されないことは、以前より問題視されることが多く、この特約の意義は大きいと言えます。最近は、他社でも、地震補償を100%とする特約がある場合もありますが、超保険はこのような特約を初めて用意した商品でした。

特約

種類 主な内容
個人賠償責任特約 第三者に負った賠償費用を補償 1事故につき1億円、国内であれば無制限 示談交渉サービスつき
借家人賠償責任補償 賃貸で貸主に負った賠費用を補償 1事故あたり500万円~1億円
類焼損害特約 自宅からの出火により近隣等第三者の所有物に類焼し、類焼先の火災保険で復旧できない場合、修復費用の不足分を補償 1億円まで
建物管理賠償責任補償特約 保険の対象である建物の管理不備に起因する事故などで第三者に負った賠償費用を補償 1事故あたり1000万円~5億円まで
臨時費用保険金 保険金が支払われたとき、保険金の所定の割合を費用として支払い
建物付属機械設備等電気的・機械的事故補償特約 建物の機械設備に電気的または機械的事故が生じ、故障した場合の修復費用を補償

個人賠償責任特約は、国内であれば補償額無制限となっています。ほかの特約も賠償責任に関するものが充実しています。補償額は段階的に選択できます。

費用保険金

種類 主な内容
残存物取片づけ費用保険金 家財の燃えかすや燃えた建物の残骸の片付費用
損害拡大防止費用保険金 損害の発生および拡大の防止のためにかかった費用
失火見舞費用保険金 近隣等第三者の所有物に損害を生じさせたときの費用 1事故1世帯あたり50万円まで(※ただし支払限度額の20%を限度)
地震火災費用保険金 地震等が原因の火災で以下の損害を受けたときの費用。支払限度額の5%
■建物:半焼以上
■家財:全焼
水道管凍結修理費用保険金 凍結によって損壊を受けた水道管の修理費用
修理付帯費用保険金 損害が生じた保険の対象を復旧するために必要な調査や点検など、諸々の周辺的な費用
請求権の保全・行使手続費用保険金 他人に損害賠償の請求ができる場合、その請求権の保全または行使に必要な手続きをするための費用

上記の費用保険金はすべて自動セットです。一部、特約によって外すことができるものもあります。

その他

種類 主な内容
自動セットされるもの 事故防止アシスト 専用サイトで以下のような情報を提供
・日常の事故の予防情報
・交通事故防止、安全運転の情報
・防犯、防災情報
メディカルアシスト 24時間365日対応の電話窓口で、以下のような相談・サービスを提供
・緊急医療相談
・専門医相談(予約制)
・医療機関案内
・転院・患者移送手配 ・がん相談
オプションでセットできるもの 住まいの選べるアシスト 保険金が支払わる場合、以下のような、事故再発防止策を提供(1事故につき20万円相当ぶんまで)
・火災などの再発防止策(IHクッキンヒーターの設置、家庭用スプリンクラーの設置など)
・盗難の再発防止策(防犯カギ・補助錠などの設置、防犯カメラ・センサーの設置など)
・その他(防火金庫の設置など)
緊急時助かるアシスト 24時間365日対応の電話窓口で、以下のような応急処置サービスを提供
・カギのトラブル対応サービス(1年に1回限度。交換を要した場合、部品代のみ実費が必要)
・水回りのトラブル対応サービス(1年に1回限度)

4つの付帯サービスがあります(うち2つは特約によるオプション)。商品名にも「トータルアシスト」とあるとおり、ある意味、この付帯サービスがこの商品の目玉とも言えます。 内容的には、損害保険にはありがちなものですが、かなり手厚いものが用意されており、これらが無料で利用できると考えると、幅広い安心感があるでしょう。

保険料

払込方法等

割引 ・築浅割引
払込方法 ・月払、年払、一時払
・口座振替、クレジットカード、コンビニエンスストア、郵便局、銀行振込 (※月払・年払は口座振替かカードのみ)
評価 再取得価格

契約例1.専用住宅

《見積もり条件》

環境:東京都、建築年月10年以上、1年契約

プラン等:充実タイプ、建物1,500万円、家財1,000万円、自己負担額3万円、住まいの選べるアシスト特約、臨時費用補償特約

項目 金額等
構造級別 T構造 H構造
建物の保険料 1万1,960円 2万5,670円
家財の保険料 1万1,170円 2万4,100円
住まいの選べるアシスト特約 2,000円 2,000円
払込方法 一時払
保険料 2万5,130円 5万1,770円

※この保険料は地震保険分を含まない

契約例2.マンション

《見積もり条件》
環境:東京都、建築年月10年以上、1年契約
プラン等:マンションタイプ、建物1,000万円、家財1,000万円、自己負担額3万円、個人賠償責任特約、臨時費用補償特約

項目 金額等
構造級別 M構造
建物の保険料 4,260円
家財の保険料 7,250円
個人賠償責任特約 1,360円
払込方法 一時払
保険料 1万2,870円

※この保険料は地震保険分を含まない

保険料は安いとは言えませんが、飛びぬけて高いわけでもなく、全般的な補償の手厚さ、付帯サービスの充実などを勘案すると値頃感はあると言えます。

総合まとめ

補償を厚くしたいという人には向いた保険です。反面、補償を絞り込んで保険料を抑えたい人には適さないでしょう。補償を厚くしたいといっても、なんでもかんでも、特約を盛ればいいというものではないので、必要なものとそうでないものの見極めは大切です。付帯サービスなどは、「あったら便利そう」と思ってしまいがちですが、果たして本当に必要なのか、利用頻度はどれくらいありそうか、冷静に検討されることをおすすめします。

地震保険の補償を上乗せできる「超保険」の特約は、地震補償をつけるうえでは有用性が高いです。公式サイトの説明からは、超保険を契約して、住まいの補償だけを選択することを排除する文言は見当たりませんし、超保険に入ることのデメリットも見当たらないので、地震保険にも入るなら、単体のトータルアシストではなく、超保険で入ったほうが良いと思われます。

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