年金について、ちょっと気になるあれこれについて、Q&A形式でまとめました。
Q:年金保険料を払わなかったらどうなる?
A:もらえる年金の額が減ったり、もらえなくなってしまうかも。
厚生年金は給与からの天引きですから、払わないという選択は基本的にはできません。一方、国民年金は自由意志のため、やりくりが苦しい月は払わない……という選択は可能です。ほかに、保険料を口座振替などにしていない場合は、「つい払うのを忘れてしまった」ということも起こりえるでしょう。
国民年金は、20歳から60歳までの間に、通算10年以上支払っていないと、年金が受け取れなくなってしまいます(平成29年8月1日より)。期間が満たない人のために、60歳以上65歳未満の5年間、「任意加入」することで期間を稼ぐこともできます。
とはいえ、受給資格は満たしていても、保険料を納付してきた通算年数が低い場合、受け取れる年金額に影響します。
Q:生活が苦しくて保険料が払えないんだけど……?
A:免除申請をしましょう。
先のQで述べたように、年金保険料を支払わない期間がありすぎると、年金がもらえなくなってしまいます。 そうは言ってもお金がなくてどうしようもないという場合は、免除申請をしましょう。地域の担当窓口に申請して認められれば、次の段階で減額になります。
- 全額
- 4分の3
- 半額
- 4分の1
認められるかどうかは、実際に収入(所得)がどれくらいあるかによります。ただ、このときの所得は前年のものをもとに計算しますので、昨年は働いていて、今年は仕事を辞めて収入がなくなった、といった場合などは注意が必要です。 所得の要件と減額・免除の関係は以下のとおりです。
全額 | (扶養親族の数+1)×35万円+22万円以下 |
---|---|
4分の3 | 78万円(扶養親族がいる場合1人につき+38万円)以下 |
半額 | 118万円(扶養親族がいる場合1人につき+38万円)以下 |
4分の1 | 158万円(扶養親族がいる場合1人につき+38万円)以 |
免除申請によって減額・免除になった期間は、たとえ全額免除されたとしても、受給資格期間には算入されますので、将来、年金が受け取れるかどうかには影響しません(ただし、もらえる年金の額には影響します)。また、後述しますが、あとで払えるようになったとき、10年以内なら受付けてくれますので、払えないときは放置したりはせず、必ず申請を行うようにしたほうがいいでしょう。
Q:払い忘れた保険料を後から払える?
A:払えます!
保険料を支払い忘れたけれども、お金がないわけじゃないときは、あとから納めれば問題ありません。
あとから納めることを「追納」と言い、国民年金の保険料は10年前までさかのぼって追納することが可能です。ただし、3年以上前のさかのぼる場合は加算金が必要になります。
Q:会社に年金手帳を預けろと言われたのですが……?
A:嫌な場合、従う義務はありません。
最近はあまりないようなのですが、昔は大企業を中心に、社員の年金手帳を総務部などが預かるという会社もありました。これは年金関係の手続きがやりやすいようにするのと、紛失を防ぐ目的があります。が、本来は手帳は本人が管理すべきもの。会社に預けなくてはならない義務はありません。
もし預ける場合は、自分の年金番号は控えておいたほうがいいでしょう。なにかで必要になる場合があります。
Q:自分が国からいくら年金をもらえるか調べる方法は?
A:年金機構のサイトでシミュレーションが可能です。
いちばん簡単なのは、日本年金機構が運営している『ねんきんネット』に登録をして利用することです。インターネットで自分の納付状況などが確認でき、将来の受取見込額などを確認できます。
計算式を用いて、自分で計算をしてみることもできますが、これはなかなか複雑です。
国民年金の場合、受給資格期間を満たし、保険料をすべて納めていれば、年額約78万円になります。
厚生年金は、会社員時代の給与額によって変わってきますが、平均月収が30万円だった人が40年間働いていた場合、年額約79万円程度です。
合わせると157万円程度ですので、月額では13万円前後ということになるでしょうか。実際には物価の状況も加味した調整が入ります。
Q:もし年金制度が破綻したらどうなる?
A:年金以外の社会制度も破綻して大変なことになっている可能性大です。
そうした「タラレバ」はよく耳にしますが、年金制度が破綻する確率は極めて低いと予想します。もし、保険料を継続的に納めていたにもかかわらず、まったく年金が受け取れないという状況になれば、国家として危機を迎えていると言って差し支えないでしょう。暴徒が起こってもおかしくないほどの事態だと思います。
もちろん可能性はゼロではないので、年金以外の資産も準備しておいたほうがいいでしょう。具体的には、株式、債権、コモディティ(エネルギー類、貴金属類、農作物類)などに分散投資しておくことです。
民間の保険会社も選択肢に入りますが、一国家の年金制度が破綻するような状況下で、民間の保険会社がノーダメージで存続しているかどうかは疑問です。