自営業のための生命保険の選び方

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保険はもしものことがあった場合に備えて用意するリスクヘッジのためのものです。ケガや病気、万一の出来事は、誰にでも起こり得ますが、そこから発生するリスクは誰もが同じというわけではありません。

たとえば、養う家族がいる人といない人では、準備しておきたい保障内容は変わってきます。本人の状況によって抱えているリスクは違う、というわけです。

中でも、会社員として雇用されている人と、自営業の人は、リスクを考えるうえで大きく状況が異なります。おもに社会保障の面で違いが大きいからです。

ここでは、自営業の人にとっての生命保険の考え方を整理してみましょう。


自営業と会社員、万一の場合の社会保障はどう違う?

日本は皆保険制と言って、すべての人が公的な保険制度に加入しています。ですが、自営業と会社員では、公的保険の内容が違っています。

公的保険は、大きく「年金」「医療」「介護」「労働」に分かれていて、それぞれ、公的保険制度があります。自営業と会社員の公的保険制度は次のようなものです。

  会社員 自営業
年金 厚生年金+国民年金 国民年金
医療 健康保険 国民健康保険
介護 介護保険 介護保険
労働 労働者災害補償保険と雇用保険 (なし)

このように、公的保険の制度が違うことで、もしものときに得られる保障内容も違ってきてしまいます。結論から言いますと、自営業の人は、会社員の人に比べて、保障の面で不利になっています。

  会社員 自営業
亡くなった場合 厚生年金により、現役時代の標準報酬月額をもとにした遺族厚生年金が支給。子のいない妻にも支給される。子がいればそれに加えて国民年金の遺族基礎年金も支給。 国民年金により、子どもがいる場合に限り年額100万円程度(子の数により増額)の遺族基礎年金を支給。
重度の障害を負った場合 厚生年金により、障害1~3級の級に応じて、現役時代の標準報酬月額をもとにした障害厚生年金が支給される。1~2級の場合、配偶者が入れば加算。さらに国民年金の障害基礎年金も支給。 国民年金により、障害1~2級の場合、年額77.8万円の障害基礎年金を支給。子がある場合の加算はなし。障害3級の場合は支給されない。
業務上の原因で亡くなった場合 労働者災害補償保険により、遺族に年金または一時金が支給。 (なし)

やはり差が大きいのは公的年金の制度の違いです。会社員も自営業も、国民年金に加入していて、会社員はそれに加えて厚生年金があります。

万一の場合、遺族に支給される遺族年金、障害を負って働けなくなってしまった場合の障害年金は、国民年金・厚生年金をもとに支給されるため、国民年金からしか補償を受けられない自営業者は、国民年金・厚生年金の両方から補償を受けられる会社員に比べてかなり心もとないですね。

自営業の人はどんな保険に入ればいい?

このように、自営業と会社員では公的保険から得られる保障が違いますので、保険に入る場合も、その点を考慮しておく必要があります。

具体的には、遺族年金の額が少ないぶん、死亡保障は厚めにしておかなくてはなりません。生命保険の種類自体はなんでもいいのですが、高額の死亡保障になることを考えれば、収入保障保険を利用して合理的に保険金を準備するのが適しているのではないでしょうか。

また、死なないまでも重度の障害を負って働けなくなってしまった場合に備える必要も高いと思います。障害年金が会社員より不足するうえ、自営業には有給休暇などはないのですから、働けなくなることは即、収入低下に結びつきます。貯蓄だけで対応できればいいのですが、医療費で貯蓄が削られないよう医療保険に入っていたり、働けなくなった場合に備えて所得補償保険を準備したりといった対策も検討しておくべきでしょう。

保険はリスクに備えるためのもの。会社員よりもリスクの高い自営業者にこそ、保険の役割は大きいのです。

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