収入保障保険の月額はいくらが適当か?一例からシミュレーション

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収入保障保険の受取方は数種ありますが、その名の通りお給料のような形式で毎月受け取るのが標準的です。では、毎月いくら保険金が下りれば安心して暮らせるでしょうか。

これは、遺族基礎年金、遺族厚生年金、夫婦の働き方などで大きく違ってきます。今どのくらい収入があり、どのくらい生活費を使っているか。お子さんは何人か。学校は私立か公立か。住宅ローンがあるのか賃貸住まいなのか。変動要素は沢山あります。

このページでは、考えられる例を挙げながら妥当な月額をシミュレーションしたいと思います。


例1)あるサラリーマン家庭の想定

  • 保険契約者、被保険者は「夫」とします
  • 受取人は妻とし、子どもは2歳とします
  • 夫は現在30歳で年金受給年齢の65歳まで35年間働くものとします

生活費はいくらかかるか?ですが、総務省が平成30年2月16日に発表した資料によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計支出は約31万円です。これは教育費や住居費も含んだ数字です。子供を1人としたのは、平成29年の合計特殊出生率(※)が1.43(東京は1.21)だからです。(※ここでは家庭の子供の数と考えて使っています)

とすると、この例での生活費は [ 31万円 × 12か月 × 35年 = 1億3,020万円 ] かかる計算になります。もちろん多くかかる時期と少ない時期とがあると思いますので、あくまで平均値で考えます。

遺族年金はいくら程もらえるか

必要な生活費から、遺族基礎年金、遺族厚生年金、妻の労働収入などを差し引いた額が、保険で準備する額になります。

サラリーマンの想定ですので、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されます。保険料の未納などがない場合で、遺族基礎年金は子の加算含め100万3,600円です。これは子どもが18歳の3月になるまで支給されます。

遺族厚生年金は保険料が300月未満の納付の場合、300月納付したものとみなして計算されますので、その間の平均月収を35万円(年収420万円の1/12。正しくは標準報酬月額を算出して求めます)とすると、概算で年間約48万円弱受け取れます。遺族期基礎年金が終了すると、代わりに妻が40歳から65歳まで、遺族厚生年金の中高齢の加算額58万4,500円が出るようになります。

35年間を計算すると、

遺族基礎年金(約100万円 × 16年)+ 遺族厚生年金(約48万円 × 35年)
+中高齢加算(約58万円 × 19年)= 約4,382万円

妻の労働収入を加えて合計する

子どもが小学校卒業までは8万円/月、中校生から大学生までは12万円、それ以降は10万円とすると、

8万円 × 72月(6年)+ 12万円 × 120月(10年) + 10万円 × 228月(19年) = 4,296万円

以上からの必要保障額は…

生活費 1億3,020万円 -(遺族年金4,382万円 + 妻の労働収入4,296万円)= 4,342万円

これを35年間の月額にすると、10万円強という答えが出ます。

例2)ある自営業者の家庭

  • 夫婦で飲食店を経営している家庭で、子どもの数は1人・2歳とします
  • 保険には主たる経営者の夫が入ります
  • 現在30歳で年金受給年齢の65歳を超えても働けますが、とりあえず同じように35年間とします

生活費は同様で 31万円×12か月×35年 = 1億3,020万円 です。

遺族年金は

遺族厚生年金がありませんから、遺族基礎年金だけです。これは国民年金から出るので、サラリーマン家庭と同じく100万3,600円です。他にはありません。 合計は同じく、子供が18歳になるまでの16年間で[ 100万円×16年=1,600万円 ]です。

妻の労働収入を加えて合計する

世帯年収をサラリーマン家庭の例に合わせて 35万円×12月=420万円 とし、夫が220万円、妻の専従者給与を200万円とします。 夫が亡くなっても人を雇って自営業を続けることができると仮定します(あくまで仮定です)。その分の人件費が200万円/年増えたとしても、今まで通りに経営できれば収入は減りません。このケースでの妻の収入は420万円になるものとします。35年で 1億4,700万円となりますね。

以上から必要保障額は…

生活費 1億3,020万円 -(妻の労働収入 1億4,700万円 – 人件費7,000万円)= 5,320万円

これを35年間の月額にすると12万円強になります。

厚生年金がない分、サラリーマン家庭よりは厳しいですが、その分は妻の労働収入でしっかり確保してこそのシミュレーションです。65歳以降でも、健康なうちは働いて収入を得られるので、年金の繰り下げ受給などで引退後の年金を少しでも増やすことを考えましょう。

自営業はいろいろなパターンがあるので、かなり大雑把な試算だということを最後に付け加えておきます。

今回の試算のまとめ

  • サラリーマン(遺族厚生年金がもらえる場合):10万円/月
  • 自営業(妻が人を雇って今まで通りの収入を得られる)12万円/月

この額を定期保険で用意すると4,000万円、5,000万円を超える大きな保険に加入することになります。保険料は安いネット保険でも1万円強、2万円弱の金額になります。収入保障保険ではその半額以下ですので、余った分を積み立て貯蓄(投信でも)に回して、いざというときに何にでも使えるお金を用意しておくことも可能です。

以上、念押しですが、大雑把な試算ですので参考程度に見ていただけますと幸いです。

2019年保険のプロが本気で評価した保険はどれ?

収入保障保険人気ランキング
FPが選ぶ収入保障保険人気ランキング2019
25人のFPにおすすめの収入保障保険を挙げてもらい、ランキングにまとめました。保険料のほか、条件による割引、病気になったときの払込み免除など、見るべきポイントは幅広くあります。プロの視点を参考に、収入保障保険選びに役立てていただけると幸いです。[...]

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