アクサ生命の「アクサの「資産形成」の変額保険 ユニット・リンク」を徹底分析

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一定期間の死亡保障を兼ねながら、運用次第では満期保険金の受取額が変わるアクサ生命の変額保険です。定額の保険と比べると難しく、理解するには金融商品に対する相応の知識が必要となります。

今回取り挙げるユニットリンクにはどんな特徴があるのか。調べてみました。


《これだけは押さえる》保障内容の特徴

アセットアロケーションされた特別勘定とユニークな投資対象

10種類の特別勘定のうち、あらかじめアセットアロケーションされた2種類の特別勘定が用意されています。複数の特別勘定を組入れしなくても、アセットクラス(資産配分)ベースで分散投資が可能です。

2種類のうちひとつは安定成長バランス型で、内外株式・債券が均等に配分されています。もうひとつは積極成長バランス型。株式に重点を置き、高い収益性が期待できます。もちろん、リスク特性が異なる複数の特別勘定を5%刻みで組入れることも可能です。

また、特別勘定のうちユニークな投資対象として、オーストラリア債券型や新興国株式型などがあります。どちらも特定の地域に特化しているので、他の特別勘定とは異なるリスク特性があります。一方、短期金融商品を投資対象にしている金融市場型は、投資リスクを軽減し手堅い運用成果が期待できます。

なお、特別勘定には特別勘定運営費用や保険契約に係るコスト、運用が投資信託の場合、信託報酬のコストがかかります。

保険料の払込を止めても積立金だけで特別勘定の運用できる

保険料の払込を途中でやめた場合でも、その時点の払戻金(いわゆる解約返戻金にあたるもの)として所定の手続きを行えば、「ユニット・リンク払済保険」に変更することができます。この場合、払戻金を基本保険金とし(変更前の基本保険金額を払戻金が上回る場合、上回った部分は契約者に支払われます)、特別勘定による運用は継続できます。

なお、保険料払込期間が10年未満の場合、解約控除額が控除されます。また、契約条件に関する特約を付加している場合で、特別保険料払込期間中または保険金削減支払期間中の場合は、ユニット・リンク払済定期保険への変更を行うことはできません。

健康状態に不安があっても条件付で加入できる場合がある

健康状態に不安がある場合でも、「契約条件に関する特約」を付加することで、条件付で加入できることがあります。この場合、一定期間特別保険料を支払うか、保険金が一部削減されて支払われます。なお、特別保険料は特別勘定には運用されません。

基本情報と主な保障内容

あくまで概要ですので、詳細はパンフレットや公式サイトなどでお確かめください。

契約情報

契約可能年齢 0~70歳
払込期間 ・50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳満了
・10年、15年、20年、25年、30年満了
払込方法 月払(口座振替払、送金払、クレジットカード払、集金払、店頭払、団体扱)

主契約

種類 主な支払条件・保障内容
保険種類 ユニット・リンク保険(有期型)(変額保険)
基本保険金額 200万円~7億円(10万円刻み)
※保険料建ての場合、1,000円刻み)
死亡保険金 被保険者が死亡した場合、基本保険金額、死亡日の積立保険金額のいずれか多い金額が支払われる
高度障害保険金 被保険者が傷病により、所定の高度障害状態になった場合、死亡保険金と同額または所定の高度障害状態になった日の積立保険金額のいずれか多い金額が支払われる
満期保険金 保険期間が満了した場合、積立保険金額が支払われる

特別勘定

種類 運用方針 資本資産配分
安定成長バランス型 国内外の株式、債券を投資対象とする投資信託に投資。中長期的に安定運用を目指す
※原則として為替ヘッジなし
日本株式20%、外国株式20%、日本債券30%、外国債券30%
積極定成長バランス型 国内外の株式、債券を投資対象とする投資信託に投資。株式に積極的に投資しつつ中長期的に安定運用を目指す
※原則として為替ヘッジなし
日本株式25%、外国株式35%、日本債券20%、外国債券20%
日本株式型 主として国内に上場している株式を投資対象とする投資信託に投資。TOPIXに連動した投資成果を目指す 日本株式100%
日本株式型プラス 国内のバリュー株とグロース株をそれぞれ50%ずつの配分を基本とした積極的な私募投資信託に投資 日本株式100%
外国株式型プラス 日本を除く海外市場に上場している株式に投資する私募投資信託に投資。MSCIコクサイ指数をベンチマークとしてこれを上回る投資成果を目指す
※為替ヘッジなし
外国株式100
世界株式型プラス 世界各国の株式、株式投資信託と、国内の公社債、金融商品を投資対象とする投資信託に投資。中長期な成長を目指す 世界株式100
新興国株式型 ベンチマークをMSCIエマージングマーケットとし、世界の新興国株式市場の動きに連動する投資成果を目指す
※為替ヘッジなし
新興国株式100
世界債券型プラス 世界各国の投資適格債(格付けでBBB以上)を投資対象とし、積極的な投資成果をめざす。
※為替ヘッジなし
世界債券100
オーストラリア債券型 オーストラリア国債、州政府債、事業債などの公社債に投資。ブルーンバーグオーストラリア国債インデックスをベンチマークとし、安定収益の確保と信託財産の着実な成長を目指す オーストラリア債100
金融市場型 円建ての短期公社債や短期金融商品に投資。安定運用を目指す 短期金融資産100

特約・特則

種類 主な支払条件・保障内容
年金払特約 ・死亡保険金等が年金形式で支払われる
・選択できる年金種類:10年保証期間付終身年金(定額型・逓増型)、確定年金(3・4・5・10・15・20年から選択)
年金払移行特約 ・契約の一部または全部を年金払いに移行する
・移行可能年齢等:55歳以上80歳以下でかつ契約期間が10年以上
※年単位の契約応当日から移行される
・年金種類:10年保障期間付終身年金(定額型、逓増型)確定年金(5・10・15・20年から選択)
・年金移行した部分は特別勘定での運用は行わない
保険料払込免除 ・不慮の事故により180日以内に所定の状態状態になった場合、以後の保険料の払込が免除になる
契約条件に関する特約 ■健康状態等で引受基準に適合しない場合に、特約により以下の条件で引受けることがある
 ・特別保険料の付加:特別保険料は特別勘定には運用されない
 ・保険金の削減支払:死亡等の保険金支払事由に該当した場合、基本保険金の一定額を削減して支払われる
 ・ただし、不慮の事故のよる死亡等の場合は、削減はなし
 ・また、基本保険金額より積立保険金額が多い場合は、積立保険金が支払われる

加入するなら

実際に加入する場合の保険料例を調べました。

保険料例

  • (主契約)30歳契約
  • 基本保険金額:901万円
  • 保険期間:30年
  • 特約付加なし
払込方法 男性
月払(30年払済) 2万円

運用成果(単位:万円)

  1年 5年 10年 20年 30年(満期)
払込保険料 24 120 240 480 720
払戻金 運用実績 -3% 0 77 161 238 365
0% 1 84 187 312 558
3% 1 91 218 509 901
6% 1 99 255 712 1,538
死亡保険金 901 901 901 901 901

死亡については、基本保険金を下回ることはありませんが、満期保険金や解約返戻金については、運用実績によって金額に差があります。また短期で解約した場合も、払込保険料を下回りケースが多くあります。運用実績が3%を継続すれば、20年経過した時点で払込保険料の総額を、払戻金(解約返戻金)を上回り、満期を迎えた時は満期保険金額が、基本保険金額と同額になります。

知っておきたい、3つのポイント

満期保険金の受け取り方法を選択できる

満期保険金の受け取り方法は、(1)一時金(2)年金(年金払特約の付加が必要)、(3)(定額)終身保険へ移行の3つから選択することができます。終身保険へ移行する場合、健康告知等は必要ありません。

なお、終身保険や年金払のいずれの場合も特別勘定による運用はできません。満期時点のライフプランに合わせた受け取り方法が選択できます。

10年以内の解約(減額含む)には、解約控除額がかかる

特別勘定の組入れ比率の変更は保険料払込期間中であれば5%刻みで変更することが可能です。また、積立金の移転も月1回であれば無料で行うことができます。なお、同じ月に2回以上、積立金を移転する場合は、費用(書面の場合2,300円、インターネット経由の場合800円)かかります。

特別勘定の見直しはいつでもできる

一定の年齢に達した場合や、出生・結婚等の家族が増えた場合、買増権保証特約を付加することで、その時点の健康状態に関係なく保険を買増することができます。

買増権が行使できるのは契約後2年経過した以降で、25、28、31、34、37、40、43、46歳に達した場合(普通買増事由)または、出世や養子縁組等で戸籍上に子供が記載されたとき、婚姻により戸籍上に配偶者が記載されたとき(特別買増事由)です。

特別事由により権利行使された場合は、その直後の普通買増事由は行使できません。買増を場合の保険料率は、買増した時点の年齢のものが適用されます。

なお、保険料免除事由に該当する場合、この特約は消滅します。また、この特約そのものには、保険金や給付金はありません。

この保険でよく頂く質問

当サイトによくお問い合わせいただく内容をまとめました。なお、パンフレットなどに記載のある内容もありますので、もっと詳しく知りたい場合はそちらをご覧ください。

Q1.契約者貸付は利用できる?

解約返戻金の一定の範囲内において、契約者貸付を利用することはできます。ただし、解約返戻金は特別勘定の運用成果によって変動するので、注意が必要です。

Q2.積立金の一部を途中で引き出すことは可能?

積立金の一部を途中で引き出すことはできませ払済保険に変更することは可能ん。まとまった資金が必要な場合は、契約者貸付を利用するか、基本保険金の減額等の手続きが必要になります。

Q3.払済保険に変更することは可能?

可能です。定額の払済保険またはユニット・リンク払済保険に変更できます。

Q4.保険料払込猶予期間が過ぎたらどうなる?

「自動払済定期保険」に自動的に変更されます。この場合、特別勘定による運用を行うことができません。なお、変更されてから3ヶ月以内に所定の手続きを行った場合は、変更がなかったものとして取り扱われます。

全体を通して

「ユニット・リンク(有期型)」のパンフレットには、契約者の投資に対する考え方を質問形式にして、その解答が特別勘定の組入れ比率等のヒントになるようなコーナーがあります。もちろん、資産運用への知識やリスクについてのコーナーも用意されています。

特別勘定を10種類とし、うち2種類はあらかじめ資産配分が決められているものがあり、組入れ比率に迷う人でも選択できるものがあります。また、海外株式や新興国株式で運用するものから、短期金融商品のみで運用するものも用意されていて、運用リスクに対する選択肢はハイリスク・ハイリターンのものから、元本保証に近いローリス・クローリタンのものまでバラエティに富んでいます。

「ユニット・リンク(有期型)」では、運用成果が上がり、基本保険金額を上回る場合であっても、途中で引き出すことができません。運用よりも保障に厚みを持たすことに重点を置いていると考えられますが、保険期間中でも積立金(運用成果)の一部を引き出せるような仕組みがあればとも思います。

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