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ソニー生命の変額終身保険は、マネー誌などの保険特集で比較的高い評価を得ています。
「変額保険はコストが高い」「投資信託よりも運用成果が低い」などという批判も見られるなか、人気保険に選ばれる理由はどこにあるのか、調べてみました。
特別勘定の運用実績によって生じた変額保険金の取扱について、積立重視(オプションA)と保障重視(オプションB)のいずれかを選択することができます。
積立重視を選択した場合、変額保険金がプラスになっていれば、プラスの分だけ減額(引き出す)ことが可能です。保障重視の場合は、減額することはできませんが、死亡保険金や解約返戻金が積立重視よりも多くなります。
死亡保険金額や途中で解約した場合の解約返戻金相当額は、運用次第で受取額が変わります。予定利率(現在3.0%)を上回る場合は、保険金額や解約返戻金相当が増えます。たとえば、35歳男性、基本保険金額が1,000万円の場合、運用実績6%、経過年数10年の場合の死亡保険金は1,038万円(オプションA)または1,102万円(オプションB)になります。
死亡保険については、契約時に設定した基本保険金額を下回ることはありません。
国内外、株式債券などリスク特性が異なる特別勘定が8種類に分かれ、その組入れ比率は自由に設定できます。また、組入れ比率の変更(リアロケーション)も容易に行うことができます。さらに積立金の移転を年12回行うことができ、それまでの積立金の比率を当初のものに戻すこと(リバランス)することもできます。
つまり運用の状況に応じた組入れ比率の設定や変更、積立額の移転が可能です。
あくまで概要ですので、詳細はパンフレットや公式サイトなどでお確かめください。
契約可能年齢 | 0~85歳(一時払の場合、20~70歳) |
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保険期間 | 終身 |
払込期間 | 終身、10年、60歳満了、65歳満了 ※契約年齢により払込期間は異なる |
払込方法 | 月払、年払、半年払、一時払(口座振替払) |
種類 | 主な支払条件・保障内容 |
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保険種類 | 終身保険 |
基本保険金額 | 200万円~7億円 |
死亡保険金 | 被保険者が死亡した場合、「基本保険金額+変動保険金額」 ※基本保険金額を下回ることはない |
高度障害保険金 | 被保険者が傷病により、所定の高度障害状態になった場合、死亡保険金と同額 |
種類 | 運用方針 | ベンチマーク |
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株式型 | 上場株式(日経225型ETF)を主体にベンチマークを上回る運用成果を目指す | 日経平均株価 |
日本成長株式型 | 追加型株式投資信託「フィディティ日本成長株ファンドVA3)に投資、積極運用を基本とする | TOPIX(配当金込) |
世界コア株式型 | 追加型投資信託「ワールドエクイティファンドVL」に投資、ベンチマークを上回る積極運用を目指す ※為替ヘッジなし |
MSCIワールドインデックス (配当込・円ベース) |
世界株式型 | 有力なブランドを保有する企業に注目、さらにファンダメンタルズ分析を行い世界の株式に分散投資。 ベンチマークを上回る投資成果を目指す。 ※為替ヘッジなし |
MSCIワールドインデックス (配当込・円ベース) |
債券型 | 円建債券を中心に利息収入を確保しつつ売買益を獲得、安定運用を目指す。 | なし |
世界債券型 | 金利の分析により、高い実質金利、大きい長短金利差、経済環境の良好な国に投資、ベンチマークを上回る運用成果を目指す ※為替ヘッジなし |
FTSE世界債券インデックス (ヘッジなし。円ベース) |
総合型 | 円建債券の安定した利息収入を獲得しつつ、投資リスクに比べて期待収益率の高い資産に積極投資する | なし |
短期金融市場型 | 短期債券などの短期金融商品中心に投資、運用利回りの確保を目標に投資する | 短期金利 |
以下のいずれかを選択。オプションBからAへの変更は可能だが、AからBへの変更は不可。
オプション | 主な内容 |
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A(積立機能重視) | ・積立機能を重視 ・予定利率3%を上回る場合、オプションBより積立額が大きくなる(変額保険金額はBの方が大きくなる) ・変額保険金がプラスの場合、年2回減額(引出す)することができる |
B(保障機能重視) | ・保障機能を重視 ・運用実績が同日の場合、オプションAより変額保険金が大きくなる ・変額保険金の減額はできない |
種類 | 主な支払条件・保障内容 |
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平準定期保険特約 | ・死亡または所定の高度障害状態になった場合、主契約に上乗せして死亡保険金 ・喫煙リスク区分型の場合、1年以上喫煙歴がないことを所定の検査で認定された場合、特約保険料は非喫煙割引料率が適用され、特約保険料が割安になる |
無解約返戻型平準定期保険特約 | ・死亡または所定の高度障害状態になった場合、主契約に上乗せして死亡保険金。ただし、解約時の解約返戻金はなし ・非喫煙者割引特則を付加する場合、1年以上喫煙歴がないことを所定の検査で認定された場合、特約保険料は非喫煙割引料率が適用され、特約保険料が割安になる |
家族収入特約 | ・死亡または所定の高度障害状態になった場合、主契約に上乗せして特約家族年金 ・最低保証期間は2年または5年の選択 ・健康状態、喫煙の有無により、非喫煙優良体保険料率、非喫煙標準体保険料率、喫煙優良体保険料率が適用され、保険料が割安になる |
低減定期保険特約 | ・死亡または所定の高度障害状態になった場合、主契約に上乗せして死亡保険金 ・保険金額は保険期間の経過とともに低減する ・健康状態、喫煙の有無により、非喫煙優良体保険料率、非喫煙標準体保険料率、喫煙優良体保険料率が適用され、保険料が割安になる |
生前給付終身保険特約 生前給付定期保険特約 |
・がん、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になった場合に特約特定疾病保険金 ・死亡または所定の高度障害状態になった場合には特約死亡保険金 |
がん特約 | がんで所定の状態になった場合、1回限り以下の給付金等が支払われる ・がん診断給付金 ・がん入院給付金 ・がん手術給付金 ・退院後療養給付金 |
5年ごと利差配当付年金支払特約 | 死亡保険金、解約返戻金相当額(契約日から5年経過した契約に限る)を原資に一時金に変えて年金形式で支払われる |
保険料払込免除特約 | 以下に該当する場合、以後の保険料の払込が免除される ・がん、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になった場合 ・所定の障害状態になった場合 ・所定の要介護状態になった場合 |
実際に加入する場合の保険料例を調べました。
払込方法 | 男性 | 女性 |
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月払(60歳払済) | 2万6,690円 | 2万3,850円 |
予定利率3.0%、基本保険金額1,000万円(特約付加なし)の場合の保険料ですが、保険料は女性の方が安くなっています。また、総支払額が男性800万7,000円、女性715万5,000円です。
変額年金なので、解約返戻金は運用次第になります。ただし、基本保険金額は死亡時には終身保証されます。
特約に平準定期保険や収入保障、災害割増など特約を付加することができます。がん特約や特定疾病等にかかった場合に生前に保険金が支払われる生前給付保険特約もあります。
がん、急性心筋梗塞、脳卒中のいわゆる三大疾病にかかり、所定の状態になった場合、以後の保険料の払込が免除されます。
三大疾病以外にも所定の障害状態になった場合や、所定の要介護状態になった場合にも、保険料払込が免除されます。
なお、特約を付加しなかった場合でも、不慮の事故により所定の障害状態になった場合は、以後の保険料が免除されます。保険料払込免除が適用された場合、適用された月以降の契約応当日に保険料の払込があったものとして取り扱われます。
一定の年齢に達した場合や、出生・結婚等の家族が増えた場合、買増権保証特約を付加することで、その時点の健康状態に関係なく保険を買増することができます。
買増権が行使できるのは契約後2年経過した以降で、25、28、31、34、37、40、43、46歳に達した場合(普通買増事由)または、出世や養子縁組等で戸籍上に子供が記載されたとき、婚姻により戸籍上に配偶者が記載されたとき(特別買増事由)です。
特別事由により権利行使された場合は、その直後の普通買増事由は行使できません。買増を場合の保険料率は、買増した時点の年齢のものが適用されます。
なお、保険料免除事由に該当する場合、この特約は消滅します。また、この特約そのものには、保険金や給付金はありません。
当サイトによくお問い合わせいただく内容をまとめました。なお、パンフレットなどに記載のある内容もありますので、もっと詳しく知りたい場合はそちらをご覧ください。
保険料の払込猶予期間が過ぎても保険料の払込がない場合、それまでの解約返戻金を元に「自動延長定期保険」に変更されます。この場合、特別勘定への運用は行うことはできません。なお、あらかじめ「自動延長定期保険」に変更しない設定は可能です。いずれの場合も、自動振替貸付は適用されません。また、「自動延長定期保険」に変更されてから3ヶ月以内に所定の手続きをすることで、元の契約に戻すこともできます。
加入の申し込みは対面のみです。なお、契約後の保険金請求等のサービスはインターネットで行うことができます。
現況については毎月末を作成基準日として、ソニー生命のホームページで確認できます。決算については毎年3月31日を基準日として、7月末頃に契約者に郵送されます。
変額個人年金は、一時期、外資系を中心に多くの商品が販売されていましたが、運用実績が振るわなかった等によって、現在はその数がかなり減っています。ソニー生命の変額個人年金は、そのなかの数少ない生残り組といえます。
理由として考えられるのは、選択できる特別勘定の数やリスク特性のバランスが適切であること、リバランスやリアロケーションが容易にできること、販売チャネルが対面のみであることではないでしょうか。
変額個人年金のライバルにはiDeCo(個人型確定拠出年金)が思い浮かびますが、iDeCoにはある掛金の上限がないことや、中途解約が可能なこと、契約者貸付制度が活用できることなど、この保険ならではのメリットもあります。
いずれにしても、運用への理解をしっかり深めることが、変額個人年金に加入する時のポイントのひとつです。