就業不能保険と収入保障保険の違い

就業不能保険(=所得補償保険)に非常によく似た名前で「収入保障保険」という保険があります。収入保障保険の方が取り扱う保険会社が多いので、どちらかと言えばこちらのほうをよく目にするかもしれません。

ですがこのふたつ、まったく違う保険です。収入保障保険とはどういうものか、比べてみましょう。

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名前は似てるがまったく別もの。収入保障保険は死亡保険の一種

就業不能保険と収入保障保険は、そもそも目的が違う別物保険です。

おおざっぱに、まとめると、こんなところです。

  • 就業不能保険……病気やケガで働けなくなったとき、自分の所得を補償する。
  • 収入保障保険……自分が亡くなった後、遺族のために収入を保障する。

どちらも、収入が途絶えるリスクを保障するものではあるのですが、就業不能保険が「生きてはいるけれど働けなくなったときに備える保険」であるのに対して、収入保障保険は「死亡またはそれに準じるような重い障害に備える生命保険(死亡保険)の一種」です。ここが大きな違いです。

収入保障保険の仕組みと保障内容

就業不能保険と同じく、月額○○円という形で保障内容を決めて契約します。収入保障保険も定期保険ですが、60歳までなど、比較的長期で契約する場合が多いです。養う家族のある人が入る保険ですので、子どもが独立する時期などが目安になります。

就業不能保険と違って、死亡した後、保険期間はずっと給付が続きます。ですので、契約後、早期に亡くなるほど受け取る保険金総額は多くなります。就業不能保険のような支払対象外期間(免責期間)はありません。逆に、保険期間満了まで残り少ない時期に亡くなると、受取額が少なくなるため、最低○年間は支払うという保証期間が付いていることがあります。

収入保障保険の具体的な商品内容を見てみましょう。オリックス生命の収入保障保険の契約例です。

契約者男性・30歳
保険期間55歳まで
保険金(保障内容)月額15万円(支払保証期間5年)
月額保険料3,390円

契約期間中(55歳まで)にこの人が死亡すると、以後、生きていたら55歳になったはずの期間まで、遺族に毎月15万円ずつ支払われます。上記は支払保証期間5年が付いているので、51歳~55歳までの間に亡くなった場合でも5年間は支給があります。

就業不能保険とはどう使い分ける?

収入保障保険は、生命保険の一種であって、自分に万一のことがあった場合に遺族の生活を保障するために使用されます。繰り返しになりますが、被契約者が生存している状態での、病気などによる就業不能状態を保障する就業不能保険とは似ているようで目的が異なります。そのため、「どちらが優れているか}」といった考え方は的外れと言えます。

収入保障保険に入っていれば遺族は安心ですが、生きてはいるけれど働けない状態には対応できません。就業不能保険は反対に、死亡してしまうと給付金がストップするので、遺族への保障はありません。

もっとも、最近の収入保障保険の中には、就業不能保険に近い機能を併せ持つ商品も登場しています。三井住友海上あいおい生命の総合収入保障保険などがそうで、従来の収入保障保険の保障内容に加えて、特定の高度障害状態・要介護状態になった場合も保険金が支払われます。公的年金の障害年金に近い内容の保険です。このような保険に入っている場合は、重ねて就業不能保険に入る必要はないでしょう。

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