掲載:
「くらすプラス」は、”働けなくなったときの生活保障保険”と銘打たれた、チューリッヒ生命の就業不能保険です。通常の疾病だけでなく、精神疾患による就業不能状態も保障対象とする、他社でも珍しい商品です。
契約可能年齢 | 満20歳~60歳 |
---|---|
保険期間 | ・終身 (医療保険・入院給付金免責日数60日特約) ・55歳・60歳・65歳・70歳払済 (ストレス性疾病保障付就業不能保障特約) |
保険料払込期間 | 55歳・60歳・65歳・70歳払済(最低保険料払込期間10年) |
払込回数 | 月払・年払 |
払込方法 | 口座振替・カード払 |
保障内容 | ||
---|---|---|
主契約 | 無解約払戻金型終身医療保険 | 入院給付金:日額5,000円 ※1入院の支払限度日数:120日 通算支払限度日数:1,095日 |
特約 | ・入院給付金免責日数60日特約 | |
・ストレス性疾病保障付就業不能保障特約 | 就業不能年金:毎月10万円×年金支払期間 (2年、3年、5年、10年の確定年金) |
冒頭で「就業不能保険です」と紹介しましたが、主契約は「無解約払戻金型終身医療保険」となっているとおり、正しくは医療保険です。入院給付金が主契約の医療保険に、ストレス性疾病などを保障する就業不能保障特約がセットになっていると考えてください。「入院給付金免責日数60日特約」とは、”入院しても60日目までは保障しませんよ”という特約です。
入院61日目以降からしか給付金が出ない設計に対しては賛否両論あるでしょうが、その分、保険料は抑えてありますし、また”短期の入院には貯蓄や高額療養費制度で対応すべき”という意見もよく耳にするので、これは”長期入院に備える医療保険だ”と考えればいいと思います。もっとも、それにしては1入院の支払限度日数が120日間だけだったり、手術給付金がなかったりと、医療保障を単体で見ると頼りない気もします。
就業不能年金を受け取れるケースは次の4つ。
最も注目すべきは「4」です。”所定のストレス性疾病”という断りがあるものの、精神系の疾患で就業不能状態になっても保障してくれるというのは大きな特徴です。対象となるストレス性疾患を公式サイトから抜粋しましょう。
気分[感情]障害/統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害/神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害/摂食障害/非器質性睡眠障害/胃潰瘍/十二指腸潰瘍/潰瘍性大腸炎/過敏性腸症候群/更年期障害
うつ病を代表とするストレス性疾患は身近な病ですし、社会人なら誰もが罹患する可能性があります。ですので、それらを保障対象としている点は非常に好感が持てますが、少し引っかかるのは「入院をし」という条件。
厚生労働省の調べによると、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は年間320万人ほどで、そのうち入院にまで至るのは約30万人です。加えて、精神病床の入院患者数は減少傾向にあることから、給付のハードルは低くはないだろうという印象です。
くらすプラスの就業不能年金は、特定の疾病に対して備える性格が強いです。前述したストレス性疾患や、「1」で説明している5疾病での就業不能状態がそうです。通常の病気やケガで就業不能年金を受け取れるのは、高度障害状態や身体障害状態といった重篤なケースに限られます。
就業不能年金は毎月◯円と決めるのではなく、受取総額から選びます。240万円(加入時点で45歳以上が条件)、360万円、600万円、1,200万円の4択で、そこから毎月10万円ずつ受け取る仕組みです。したがって、たとえば受取総額を360万円にすると、3年間でもらいきる計算になります。
確定年金なので、復職してからも受け取れるのが大きなポイント。年金形式ではなく、一括での受け取りや、一部だけを一括受け取ることも可能です。
ここでは、受取総額を600万円(=年金受取期間5年)とし、男女30歳~50歳、保険期間60歳払済、月払で見積もってみました。
詳細 | ||
---|---|---|
保険料 | 【男性】 30歳:3,255円 40歳:5,025円 50歳:8,335円 |
【女性】 30歳:3,020円 40歳:4,295円 50歳:6,635円 |
ご覧のとおり、思ったよりもお手頃な金額に。限定された医療保障と就業不能年金が、保険料に表れている気がします。
就業不能特約は、受取総額から受取期間が決まる仕組みですので、若くして就業不能状態に陥った場合、現役世代をカバーできない可能性もあります。受取総額を最大の1,200万円にしても最大10年間ですから、たとえば45歳で就業不能状態になってしまい、就業不能年金をもらいきった55歳以降も働けない状態が継続していると考えると、やはり「終身保障」に魅力を感じます。もちろん、その分、保険料が抑えてあるのですが。
以上のとおり、いくつか理解しておきたい点はあるものの、ストレス性疾患を保障対象としているスタンスは特筆すべきものがあります。精神系の疾患は症状が長引く傾向にあるため、そこに備えたいなら選択肢に入れていいのではないでしょうか。