子どもに医療保険は必要か?でも述べているとおり、子どもの医療保険は、
- 子どもの入院率がそもそも高くないこと
- 地域の子ども医療費助成が充実していること
の2点から、わざわざ単体の医療保険や特約を追加してまで備えるまでには至らないのではないかと思います。
■性・年齢別級別にみた受療率
| 年齢階級 | 入院 | 外来 |
|---|---|---|
| 0歳 | 1,062 | 6,691 |
| 1~4 | 170 | 6,778 |
| 5~9 | 92 | 4,422 |
| 10~14 | 92 | 2,649 |
| 15~19 | 117 | 1,937 |
| 20~24 | 165 | 2,240 |
| 25~29 | 241 | 2,716 |
| 30~34 | 296 | 3,086 |
| 35~39 | 304 | 3,280 |
| 40~44 | 330 | 3,382 |
| 45~49 | 427 | 3,827 |
| 50~54 | 591 | 4,664 |
| 55~59 | 772 | 5,361 |
| 60~64 | 1,064 | 6,514 |
| 65~69 | 1,350 | 8,039 |
| 70~74 | 1,820 | 1万778 |
| 75~79 | 2,635 | 1万2,397 |
| 80~84 | 3,879 | 1万2,606 |
| 85~89 | 5,578 | 1万1,373 |
※出典:平成26年の患者調査(厚生労働省)」内「性・年齢別級別にみた受療率」より抜粋
※詳細は、子どもに医療保険は必要か?をご覧ください。
1~9歳までの通院率はやや高いものの、それ以降は大人より低く、入院率は0歳を除いて全年齢で大人を下回っています。たとえ病院にかかったとしても、東京23区では、義務教育の間なら全区で医療費が無料、千代田区と北区に至っては高校生にまで助成範囲を拡げています。
【参考】子ども医療費助成(東京区)
| 港区 | 中学3年生まで | 台東区 | 中学3年生まで」 |
| 中央区 | 中学3年生まで | 大田区 | 中学3年生まで |
| 新宿区 | 中学3年生まで | 品川区 | 中学3年生まで |
| 千代田区 | 高校3年生まで | 世田谷区 | 中学3年生まで |
| 文京区 | 中学3年生まで | 目黒区 | 中学3年生まで |
| 渋谷区 | 中学3年生まで | 板橋区 | 中学3年生まで |
| 江戸川区 | 中学3年生まで | 練馬区 | 中学3年生まで |
| 足立区 | 中学3年生まで | 北区 | 高校3年生まで |
| 葛飾区 | 中学3年生まで | 中野区 | 中学3年生まで |
| 江東区 | 中学3年生まで | 豊島区 | 中学3年生まで |
| 荒川区 | 中学3年生まで | 杉並区 | 中学3年生まで |
| 墨田区 | 中学3年生まで | ||
※詳細は、東京区の子育て支援制度比較をご覧ください
東京23区だけの例ではありますが、当サイトで実施した子どもの医療費に関するアンケート調査でも、「医療費が負担になった」と答えた人は、全国で1割ちょっとしかいませんでした。
Q. お子様の医療費が家計の負担になったことがありますか。
| ある | 44人 | 14.7% |
|---|---|---|
| ない | 256人 | 85.3% |
※調査対象:全国の子どもを持つ20~40代の女性300人
1割強の人はなにが負担になったのか?
ほとんどの子育て世帯で子どもの医療保険が必要ないことが分かりましたが、少数とはいえ、「ある」と答えた人は14.7%います。
その人たちは具体的になにが負担になったのでしょうか?アンケートの結果は次のとおりでした。
| 理由 | 地域 |
|---|---|
| インフルエンザなどの診断費や入院費。助成制度はギリギリ利用できなかった | 北海道 |
| 出産後、退院前に黄疸の症状が出てたので、一日入院したときに10万円弱かかった。治療費の説明が無かったのでそこまでかかると思わなかったので請求書を見て驚いた。出産の助成費制度があったので、普通分娩でスムースにいったのもあり、その中でほとんど払えたので相殺するような感じでしたが | |
| 気管支炎、アデノウイルス | 青森県 |
| クローン病 | 宮城県 |
| 毎月決まって通院しているので、少しでも助成の対象になると助かります | 秋田県 |
| 喘息の治療と薬 | 茨城県 |
| 出産費用 | |
| 停留精巣で2泊3日の入院をしたが、高額医療費の助成制度を利用したが、一旦自分で払わなければならなかったので、あとで払い戻されるとはいえきつかった | 埼玉県 |
| 1回三百円ですがよく行くので結構重荷 | 千葉県 |
| 小児喘息がひどかった。時助成金等がなくて、医療費がかさんだ時期があった | |
| 急な発作で、救急病院へ入院したこと | |
| アレルギー | |
| トキソプラズマ | |
| 歯科矯正、100万以上はかかる | 東京都 |
| 足の骨折で通院が長引いたとき。助成制度はなかった | |
| 普通の風邪でも診察料や検査料、薬代などでそれなりにかかるので、負担は結構ある | 神奈川県 |
| 風邪等。川崎市。単身赴任で帰省費が支給されるが、給与に含まれ年収が上がり、乳児医療症返上となり手取り年収が減ったのに、医療費負担しないといけなくなったから | |
| 神奈川県相模原市では小学校3年生までは医療費が無料ですが(所得制限有)、それ以降は自己負担となるので、上の子供たちの医療費がかなり家計の負担になっています。風邪などの軽い病気では、病院に行くのを我慢して市販薬を使用したりしています | |
| 中耳炎。所得制限で助成なし | |
| 薬剤性肝障害、横浜市、高額医療費助成制度を利用したが、1カ月の入院、検査入院、その後の通院や服薬でかなり負担があった | |
| 肺炎 喘息で度重なる入院 | |
| 病気ではないが歯科の定期検診からの治療や、酷くないアトピーや鼻炎でも定期的に通っていると結構負担である。この地域での助成あるものの100%ではなく各医療機関につき月500円の手数料がかかり差し引かれる為残念な気持ち | 長野県 |
| 膀胱の病気で二度の入院。治療費は無料ですが食事代にお金がかかった | 岐阜県 |
| 骨髄異形成症候群、入退院を繰り返して個室を使用したので負担が大きかった | 静岡県 |
| 矯正 | 静岡県 |
| 虫歯 | 愛知県 |
| 骨折での入院費 | 三重県 |
| 小学四年生からは助成費制度がない為、アトピーで通院する際に3割負担ではあるが、頻繁に通院しているので負担になっている | 滋賀県 |
| 耳鼻科に3ヶ月通って一月3000円を超えた分はあとから申請すれば帰ってきた | 京都府 |
| てんかん、市での助成があることを知らず乳児医療が終わってから普通に払い続けてもうヤバいと思ったときに先生に相談したら助成を受けていると勘違いしていたらしい。約3年無駄にお金を払っていた。できることならさかのぼってお金を請求したい | 大阪府 |
| 今は医療費助成が延長になりましたが、以前は小学校入学時点から、大人と同じく医療費がかかったので困りました | |
| 妊婦健診の通院代、診察代 | 兵庫県 |
| 心臓病。紹介状なしで受診した為、負担が大きくなった | |
| 鼻炎アレルギーで薬代がかかった | 和歌山県 |
| 頭を打ってCTをとった時。助成は未就学児まで(所得制限あり)なので | 広島県 |
| 入院になった際に個室は高いので大部屋を選択するしかなかった | |
| 今まで医療費がかからなかったのに、一年生になったことでかかるようになった | 山口県 |
| 普通の外来。小学生になると助成がないので負担になる | |
| 県外受診で一時的な手出し | 愛媛県 |
| 骨折時の送迎 | 福岡県 |
| 月に何度も病院にかかったとき、助成がないので大人と同じ負担となり大きかった | |
| インフルエンザの予防接種、歯医者での虫歯の治療や矯正歯科代 | |
| 肺炎や胃腸炎での短期間の入院。助成制度で食費、雑費の負担だけであったが、個室のお金と働けなかっただけでなく、その間の付き添い人の食費にけっこーかかった | 鹿児島県 |
| 子供二人が一緒に体調を崩したり、同じ時期に歯医者など通って思ったよりお金がかかった | 沖縄県 |
アンケート結果から分かる地域格差
さまざまな意見がありますが、東京都でさえも「助成制度はなかった」とコメントがあるように、基本的には助成制度が充実していない地域があるに尽きると思います。所得制限がある、助成対象が狭い、年齢制限がある、完全無料ではないなど、各自治体の地域格差がなくなれば、子どもの医療費に負担を感じる家庭はもっと少なくなるのではないでしょうか。
そのため、自分の地域が安心できる水準にない場合や、子どもの身体が弱い場合は、家計を圧迫しないことを条件に医療保険に加入していても悪くはないと思います。共済で備えてもいいでしょう。子ども専用プランがあり、割戻金も貰えるため掛金がお得です。
ちなみに、「食費がかかった」という声がありますが、入院してもしなくても食費はかかるため、医療費とは特に関係ないとしておきます。また、「歯医者にお金がかかった」という回答については、健康保険内の治療ならきちんと助成制度を利用できます。歯列矯正は残念ながら自腹になりますが、民間の医療保険でも基本的には給付対象外であり、大人でも子どもでも治療費は同じなので、(おかしな言い方ですが)あきらめるしかありません。

