自転車保険とはどんな商品か? 意外と知らない自転車保険の仕組み

県や自治体が加入の義務化を導入・検討するほど必要性が注目されている自転車保険。しかし、その補償内容や商品構造について、きちんと理解している人は意外に少ないものです。

保険選びに役立つ基礎知識として、ここでは自転車保険の仕組みについて解説します。

目次

自転車事故だけを補償する保険ではない

自転車保険は、自分が怪我をしたときの治療費をカバーする「 傷害補償」と、第三者の身体や財物を傷つけたときの損害賠償金をカバーする「 個人賠償責任補償」の二つで構成されています。知っておきたいのは、どちらの補償も 自転車の利用において伴う損害でなくても構わない という点。自転車保険という名称ではあるものの、実体は「自転車事故を含む幅広い損害に備える保険」であるということです。(このことから、正確には「自転車向けプラン」 と呼ぶ方が正しい場合が多いですが、ややこしいため、当サイトでも各社・メディアにならって自転車保険で統一します)

自転車保険における「交通傷害保険」の範囲

自転車保険に付いている傷害保険は、「交通事故傷害保険」というタイプがほとんどです。自転車搭乗中に限らず、“交通乗用具に起因する事故”を対象にしているのがポイント。「交通乗用具」とは聞き慣れない言葉ですが、以下のような乗り物のことを言います。

  • 軌道上を走行する陸上の乗用具
    汽車、電車、気動車、モノレール、ケーブルカー、ロープウェー、いす付リフト
  • 軌道を有しない陸上の乗用具
    自動車、原動機付自転車、自転車、トロリーバス、身体障害者用車いす、乳母車、ベビーカー等
  • 空の乗用具
    航空機(飛行機、ヘリコプター、グライダー、飛行船等)
  • 水上の乗用具
    船舶(ヨット、モーターボート、水上オートバイ、ボートを含む)
  • その他の乗用具
    エレベーター、エスカレーター、動く歩道

たとえば、ソリで遊んでいたところ横転し、治療を受けた場合でも、下表のような保険金が受け取れるというわけです。

《一般的な傷害保険金》

入院保険金 ・事故による怪我で入院した場合、1日あたりに受け取れる保険金
・補償期限は入院1日目から最大180日までが一般的
・金額は1,000円~1万円と各社プランにより異なる
手術保険金・事故による怪我で所定の手術を受けた場合に受け取れる保険金
・手術の種類に応じて決められた倍率(10倍、20倍、40倍)が支給される
通院保険金・事故による怪我で通院した場合に受け取れる保険金
死亡・後遺障害保険金・事故による怪我で死亡または後遺障害が生じた場合に受け取れる保険金

「補償範囲が広くて使い勝手がいい」と感じる一方で、そのぶん保険料が上がるのがネックです。実は、かつては自転車搭乗中の事故だけに絞った保険も販売されていましたが、ビジネスとして上手くいかなかったことから、現在のような交通事故傷害保険+個人賠償責任保険のセット商品が主流となりました。

個人賠償責任保険の役割

先に触れたとおり、個人賠償責任保険は、日常生活において意図せず他人の身体を傷づけてしまったり、モノを壊してしまったりなどして法律上の賠償責任を負った場合、そこにかかる経済的負担をカバーしてくれる補償のことです。身の回りのトラブルで賠償請求にまで発展するなんて想像しにくいかもしれませんが、

  • ベランダから物が落ちて通行人に怪我をさせた
  • 飼い犬が他人を噛んで怪我させた
  • 子どもとキャッチボール中、ボールを取り損なって通行人に当たり怪我させた
  • 買物中に誤って商品や備品を損壊させた

など、思いもよらぬ不注意が大きな事故を招くこともあります。自転車による事故はこの代表的なケースといえるでしょう。日常的に乗用するなら必ず加入しておきたい補償です。

金額の設定はピンきりですが、昨今、問題になっている高額損害賠償事例を鑑みると、5,000万円~1億円以上が望ましいです。

自動車保険や火災保険で加入しても可

個人賠償責任保険は単独で販売されていません。そのため、他の保険の特約として追加する形を取りますが、自動車保険火災保険にも付帯できるので、既にそれらの保険に加入している人はそこにプラスしてもいいでしょう。月額100~200円程度で追加できるのが一般的です。

示談交渉サービスの有無は要チェック

第三者に損害を与えたときの賠償金は、加害者と被害者との責任割合で決定するため、示談交渉を行う必要があります。このとき、(ケースにもよりますが)当事者同士の話し合いは難航する場合が多く、弁護士や保険会社など交渉のプロを介して行うのが有利とされています。

万全の体制を整えたい人は、示談交渉の有無をチェックしておきましょう。

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