保険料で税金が安くなるって本当ですか?

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保険料で税金が安くなると聞きましたが本当ですか?

保険に入ると税金が優遇されるそうですが、どういう仕組みなのでしょうか。詳しく教えてください。

本当です。自助努力の特典として税額控除が受けられます。

死亡や病気のために生じる経済的ダメージは、ある程度までは公的支援が受けられるものの、範囲を超えたものについては自分で負担するしかありません。このリスクを回避するためにあるのが民間の保険です。そこで国は、社会保障制度の補完のために自助努力している国民を支援するため、払い込んだ保険料に応じて「所得税」「住民税」を軽減する特典を設けているのです。

実際にどれくらい安くなる?

「生命保険料控除」として適用されるのは、「一般生命保険料」「個人年金保険料」の2つでしたが、平成22年度の税制改正で「介護医療保険料」が追加されました。これにより、平成23年12月31日以前の契約(以下:旧制度)と、平成24年1月1日以降の契約(以下:新制度)で内容が異なります。なお、24年以後に契約の更新や特約の追加などをした場合は、変更した月から新制度が適用されます。

(例)平成23年10月に契約し、平成25年10月に更新

→平成25年9月までは旧制度、10月からは新制度で計算

以下、新旧の制度内容を比較して解説します。

適用限度額が、所得税は5万円から4万円に、住民税は3万5000円から2万8000円に引き下げされましたが、代わりに介護医療保険料が新設されたので、保険で幅広くリスクに備えている人にはメリットがあります。これは、国が民間保険を積極的に活用して欲しいというメッセージでもあります。

新旧制度の詳細適用額は以下のとおりです。

【新制度】

所得税住民税
払込保険料額(年間)控除適用金額払込保険料額(年間)控除適用金額
2万円以下全額控除1万2000円以下払込保険料全額
2万円~4万円以下(払込保険料×1/2)+1万円1万2000円~3万2000円以下(払込保険料×1/2)+6000円
4万円~8万円以下(払込保険料×1/4)+2万円3万2000円~5万6000円以下(払込保険料×1/4)+1万4,000円
8万円超一律4万円5万6000円以下一律2万8000円

【旧制度】

所得税住民税
払込保険料額(年間)控除適用金額払込保険料額(年間)控除適用金額
2万5000円以下全額控除1万5000円以下払込保険料全額
2万5000円~4万円以下(払込保険料×1/2)+1万円1万5000円~4万円以下(払込保険料×1/2)+7500円
5万円~10万円以下(払込保険料×1/4)+2万5000円4万円~7万円以下(払込保険料×1/4)+1万7500円
10万円超一律5万円7万円以下一律3万5000円

特約保険料は保障内容ごとに控除される?

特約を付帯している場合、旧制度下ではまとめて一般生命保険料控除の対象でしたが、新制度下では、保障内容ごとに該当する控除枠に分類されます。ものによっては生命保険料控除の対象外になる場合があります。

控除が受けられる条件

どんな保険でも控除が受けられるわけではありません。対象となる保険の範囲はあらかじめ決められています。以下に、新・旧領制度に共通する事項を挙げていきます。

一般生命保険料控除・介護医療保険料控除

保険金の受取人が、契約者または配偶者、その他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)であるとき、規定の額にしたがって控除されます。ただし、団体生命保険財形保険、保険期間が5年未満の貯蓄保険は対象にならないので注意してください。

個人年金保険料控除

以下の条件を満たしたうえ、「個人年金保険料税制適格特約」を付帯する必要があります。

  • 年金の受取人は契約者または配偶者のどちらかである
  • 「受取人=被保険者」であること
  • 保険料の払込期間が10年以上(一時払は不可)
  • 受取プランが期限付きの場合、受取開始年齢は60歳以上で、かつ10年以上の受取期間が設けてある

個人年金保険料税制適格特約がない場合や、変額個人年金保険は、一般生命保険料控除の対象になります。

複数の控除を受けた場合の限度額

生命保険、医療保険、介護保険、個人年金保険のすべてに加入し、それぞれ保険料控除の条件を満たした場合、控除される額は次のように制限されます。

【新制度】

控除申請の数控除の限度額
所得税住民税
3種類12万円7万円
2種類8万円5万6000円
1種類4万円2万8000円

【旧制度】

控除申請の数控除の限度額
所得税住民税
2種類10万円7万円
1種類5万円3万5000円

控除を受ける方法

サラリーマンは、年末調整時に保険会社が発行する「生命保険料控除証明証」を添付して提出します(年収2000万円以上の人は確定申告になります)。自営業者は、所得税の確定申告時に生命保険料控除証明証を添付して控除を受けます。

さいごに

数字が並ぶので少し難しかったかもしれませんね。

さいごに補足ですが、保険料が税額控除の対象になる一方で、受け取る保険金や給付金には税金がかかる場合があります。契約者、被保険者、受取人の組み合わせ次第で変わるため、契約形態の基礎知識もひと通り抑えておきましょう。

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