海外旅行保険の「傷害死亡補償」とは、海外旅行中の事故によるケガが原因で、事故の発生日からその日を含めて180日以内に死亡した場合に適用される保険のことです。
傷害死亡保険金は被保険者の法定相続人(契約時に死亡保険金を指定した場合はその人)に支払われます。通常、死亡と後遺障害で一つの補償になっていて、後遺障害保険金が先に払われます。その後に被保険者が死亡した場合は、受け取った後遺障害保険金を差し引いた残りが支払われる仕組みです。
補償額は高額だが、そこまで重要視しなくてもよい
傷害死亡補償は補償額が大きく、それだけを見れば「高額な補償額が用意されているんだ」と安心しがちですが、そもそも、海外旅行中のケガによる死亡というのは確率的にかなり低いものです。もちろん0ではありませんが、ケガや病気で医療機関にかかる、携行品が盗まれるなどといったトラブルに遭う確率の方が高いでしょう。よって、医療補償や携行品損害補償に比べて、そこまで重要視する補償ではないと言えます。
補償対象はケガによる死亡のみ
とはいえ、旅先で何らかのケガによる死亡が不安だと感じているなら、もちろん加入を検討しましょう。ここで注意しておきたいのは、補償の対象範囲です。この補償は「傷害(ケガ)」のみが対象であり、病気(疾病)死亡では保険金が出ません。あくまでも「ケガ」による死亡補償だということは忘れないでおきましょう。疾病死亡は別補償なので、病気による死亡が気になる人は、こちらも必要に応じて検討してください。
もともと生命保険(共済)に加入していて死亡時には充分な保障が出るという人や、特に扶養する家族がいない人は、無理に加入しなくても問題ありません。
傷害死亡補償が付帯しているクレジットカードも多い
海外旅行に行くときに、クレジットカードを持って行く人も多いと思いますが、有料カードであれば海外旅行保険が付帯されているカードも多いです。カード付帯の海外旅行保険は傷害死亡補償がメイン補償で、それこそ補償額も高めに設定されています。
まずは、手持ちのクレジットカードに海外旅行保険が付いているか、傷害死亡補償がいくらセットされているのかを確認してみましょう。
医療補償や携行品損害補償であれば補償が合算できる場合もあるのですが、傷害死亡補償は他の傷害死亡補償と重複して支払われることがなく、いずれか金額の大きい補償のみが支払われます。クレジットカードの傷害死亡補償額が海外旅行保険と同じ金額、またはそれを上回るのであれば、海外旅行保険で補償を付ける必要はありません。
クレジットカードの補償で傷害死亡補償を賄うのなら、その補償が自動付帯か利用付帯かも確認しておきましょう。
テロで犠牲になった場合も補償される
免責になるものもありますが、テロで犠牲となった場合も補償される保険があります。下記はテロに遭遇しても保険金がおりないケースです。免責をよく確認して、テロに遭遇した場合でも補償されるものを選びましょう。
保険金をお支払いできない主なケース
- 故意または重大な過失
- 自殺行為、犯罪行為または闘争行
- 戦争、その他の変乱、核燃料物質等
- 頚部症候群(いわゆる「むち打ち症」)、腰痛等で医学的他覚所見のないもの
- 無資格運転、酒気を帯びた状態での運転または麻薬などにより正常な運転ができないおそれがある状態での運転
- 妊娠、出産、早産または流産
- 自動車、原動機付自転車等による競技、競争、興行(これらに準ずるものおよび練習を含みます。)の間の事故
- 歯科疾患
テロ行為(政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連携するものがその主義・主張に関して行う暴力的行為)は除きます。
引用:損保ジャパン
渡航先でテロに遭う不安がある人や、クレジットカードや生命保険で死亡補償が準備できていない人は、海外旅行保険でテロも補償対象の保険加入を検討しましょう。
まとめ
傷害死亡補償は高額な補償が設定されていますが、あくまでもケガが原因で死亡した場合のみに適用される補償です。カスタマイズができるオーダーメイドプランの保険を選ぶと、傷害死亡補償を外して保険料を抑えることも可能ですよ。
- 手持ちのクレジットカードに海外旅行保険があるかどうか確認する
- 傷害死亡の補償額をチェックし上乗せが必要なら検討
- 補償が十分であれば、海外旅行保険で傷害死亡補償を付ける必要はない
上記を抑えつつ、補償が重複しないようにするのがポイントです。