薬代を地味に節約する3つの方法

医療費を少しでも抑えるために、医療費控除の申請や、高額な治療を受けた際に利用する高額療養費制度というものがありますが、「薬代」も意外とバカにならない出費です。

病院で処方される薬にはその都度、診察とは別にお金が出て行きます 一度なら大した額ではないですが、定期的に複数の薬を処方してもらうと、家計にとってなかなか痛いというのもまた事実です。

というわけで今日はそんな薬代を節約する3つの方法のお話。

目次

1、ジェネリック医薬品を検討してみる

ジェネリック医薬品とは、薬を製造した会社が持っていた薬の特許が切れたことで、他の会社がつくれるようになった、同じ成分・効果が見込めると考えられる薬のことです。欧米では一般的ですが、日本ではまだまだ、普及率が低いのが現状のようです。

図表9

//www.mhlw.go.jp/seisaku/2012/03/01.htmlより引用

このジェネリック医薬品は

1、研究や開発にかかる費用が圧倒的に安い
2、技術の進歩で、材料をより安く多くつくることができる場合がある
3、すでに審査を通った前例のある薬のため、国からの審査を通りやすい

などの理由で、通常の薬から2割~7割ほど、値段が安くなっています

<先発医薬品・ジェネリック医薬品の値段比較>

薬名先発医薬品価格ジェネリック医薬品
ロキソニン錠60mg(鎮痛剤)173円52~89円
セルベックス細粒10%(胃腸薬)202円110~144円
ミノマイシン錠50mg(抗生物質)229円139~159円

※一日一回服用・31日分で計算、窓口負担額

ジェネリック医薬品を処方してもらう方法ですが、難しい手続きはいりません。

病院で処方せんを書いてもらうときに、医者に訊くか、薬局で薬剤師の方にジェネリック医薬品にできるか相談するだけです。そうするだけで、同じ効果のジェネリック医薬品があれば変更してもらえます。

ただし、ジェネリックへの変更をお願いしても、やってもらえないこともあります。

たとえばまだ薬の特許が切れていなくって、ジェネリック医薬品がつくられていない場合。特許は切れていて、薬も作られているけれど、その製造量が少なくて、病院や薬局に薬そのものが置いていないなんてこともあります。

医師や病院の方針として、なるべくジェネリック医薬品を出さないようにしているところもあります。

ジェネリック医薬品をつくっている会社には大手の製薬会社よりも、小さな規模の企業が多いので、そのために薬の生産をする能力が低かったり、企業によっては実際、元の薬と同じ成分であっても添加物をたくさん入れていたりするので、薬を処方する医師たちからの信頼をあまり得られていないことがあるからです。

ジェネリック医薬品はまだまだ日本では発展途上にある制度です。実績も資料も、まだまだ少ないのが現状です。ですから、節約のためになにがなんでもジェネリックを、というのはNG。きちんと医師に相談して確認をしてから、納得できたものを出してもらうこと。そして止められたら、素直に従うことが大切です。

2、調剤料、調剤基本料を節約する

病院で出され、薬局で受け取る薬には、『調剤料』『調剤基本料』というものが設定されています。簡単に言えば前者は薬剤師さんに薬を出してもらうためのお金、そして後者は薬の調合や説明、飲み合わせの確認などを薬剤師さんがきちんとしたことをあらわす料金です。

それぞれ、薬剤師さんに対する手数料、確認料のようなものと思ってください。

・調剤料を節約するには、一度にたくさんの薬をもらう

まず、調剤料。こちらは、薬を何日分もらったかで、その額が変わってきます。

<調剤料の変化>※すべて、一剤(毎食後、食前など、同じタイミングで飲む薬をまとめて「一剤」といいます)あたりの金額。保険点数1点=10円

14日分以下21日分以下30日分以下31日分以上
7日目まで:1日50円
8日目以上:1日40円
710円(定額)810円(定額)890円(定額)

14日分までの処方では1日ごとの計算になりますが、それ以上なら何日分でも期間ごとに定額です。21日分の薬を、7日ずつ3回に分けてもらう場合(1050円)と、21日分として1回でもらう場合(710円)では、340円のちがいが、さらに31日分であれば最大、660円のちがいができます。

つまり、一度にたくさんの薬を処方してもらうほうが、何度も通うよりもお得であるということです。これは、病院への交通費や診察費にもいえますね。通う回数を減らせばそちらもしっかり節約できて、まさに一挙両得です。

一部の薬を除いて、何日分までしか薬を出してはいけないという決まりはありません。

ですが、処方せんの際に医師には何日分の薬を出すか決める権利があります(これを処方権といいます)。そのため、これだけの日数分の薬が欲しいといってもそのとおりにしてもらえないこともありますのでご注意を。

医師と相談してどれくらい出してもらうかを決めましょう。

・調剤基本料を節約するには、大型病院近くの薬局を狙う

また、調剤基本料についても、薬局の選びかたによっては他の薬局に比べて、安くおさえることができます。こちらの場合大事になるのは、立地条件です。

処方せんの受付回数が月に4000回以上であり、その70%以上が同じ病院からの薬局なら、ふつうは受付1回につき400円(40点)の調剤基本料が、240円(24点)になります。

主なところでは大学病院や、郊外の総合病院など、大型病院近くの薬局がこれにあたります。条件を満たしているかどうかはそれぞれの薬局の事情によるので、正確なところは各薬局に直接、事前の電話などで確認をしてください。

1回につき160円の違いは小さく見えるかもしれませんが、通院のたびに処方せんを受けていた場合、ひと月1回、10ヶ月通ったとすると1600円。調剤料といっしょに節約ができれば、それ以上の差が見込めるわけです。

3、院内処方を利用する

院内処方ができる病院では、処方せんが発行されないので、その分安くなります。

処方せんにはふつう、1通680円かかりますが、院内処方ではかわりに『処方料』という名前で420円(42点)を払います。この時点ですでに、260円ちがいますね。また、先ほどの調剤料や調剤基本料も、それぞれひと月90円(9点)、一回80円(8点)に固定されます。

全体では、院外処方よりも院内処方は2割~5割、つまりおおよそ300円~700円ほど薬代が安くなるという調査もあります。安く薬をもらいたいなら、「院外より院内で」ということですね。

ただし、この院内処方のデメリットは、薬局に比べて置かれている薬が少ないということ。ジェネリック医薬品もあまりないことが多いようです。

また、受付が病院の窓口と同じところは混みやすく、長い間待たされることもあります。
具合が悪いときには、待っていられなくなるかもしれません。

根本的な問題として、近くに院内処方の病院がないと使えませんし、院内処方をやっていた病院が、院外処方に切り替えてしまうことも。実際、うちの近所にはこの院内処方ができる病院がないので、この方法が使える方がなんともうらやましい。

まとめ

さて、ここまで挙げてきたものをまとめていきましょう。

1、普通の処方薬(先発医薬品)よりも、ジェネリック医薬品のほうが安い。
→鎮痛剤(ロキソニン)なら、31日間で先発医薬品(173円)のおよそ半額(89円以下)に。

2、薬はほしい分をできるだけ一度に出してもらったほうがお得。
→1ヶ月分以上を一度に出してもらえば、調剤料が最大660円お得。

3、処方せんを持っていくのは、大病院のそばの、利用者の多い薬局に。
→調剤基本料が1回につき160円お得。1年12回通えば2000円近い差(1920円)に。

4、院内処方をしている病院なら、様々な点で割引を受けられる。
→調剤料・調剤基本料など様々な料金が割引に。一回につき最大300~700円の差も。

たとえば鎮痛剤を1年間、毎月1回31日分ずつもらったとします。

院内処方の病院でジェネリック医薬品にしてもらえば、院外処方の先発医薬品より1年でおよそ4500円安くなります。

またこれほどではないにせよ、院外処方でもきちんと薬局や薬を選んだ場合と、そうでない場合との金額では、結構差ができることがわかります。

定期的に複数のお薬を処方してもらっている方は、薬代も継続的にかかってくる固定費となるので、少しでも工夫して節約しましょう。

 

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この記事を書いた人

ソクラテス編集部です。

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