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分譲マンションで地震保険は必要?

このたび、新築の分譲マンションを購入します。
火災保険の加入は決定していますが、地震保険には加入するかどうか迷っています。

迷っている理由としては、木造の一戸建などに比べれば被害はさほど大きくないだろうと思っている事。マンションは共有部分が多いので、持ち家ほど負担も大きくないと考えているからです。

地震保険は必要でしょうか?また、もし地震保険に加入する場合、注意点はおすすめの選び方などありますでしょうか?

(28歳 女性)

推奨

家財の補償まで考えれば、「地震保険」は意味がある。

ファイナンシャルプランナー 株式会社フォルテシモ 宮脇 英寿

地震、また地震による火災に対して、生活用品を含む家財を補償できるのが「地震保険」です。
地震災害は、一瞬にして、家族の財産に大きな損害をもたらします。経済的に余裕のある人を除けば、これに対する備えは、地震保険に頼らざるを得ない人が多いはずです。
私のお勧めは、家財までしっかり地震保険に加入しておくことです。

家財の地震保険の特徴

地震保険というと、阪神淡路大震災や東日本大震災でのテレビ中継を思い浮かべ、建物の倒壊をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし確率的には、そのようなケースは稀です。
一方で、建物に大きな損害がなくとも、家財に被害を被ることはよくあります。

地震保険は、火災保険など他の保険と違い、修理費用が補填されるのではなく、生活建て直しのための一時金、という役割を担っています。これが、損害査定が3段階(全損・半損・一部損)になっていること、また保険金額設定が火災保険の保険金額の最大50%まで、となっている理由です。

つまり地震保険では、20万円の家具が壊れたから20万円が支払われる、という訳ではありません。
地震保険の査定はまず、家財を「食器陶器類」「電気器具類」「家具類」「その他身の回り品」「衣類寝具類」などの5種類程度に分類します。そしてそれぞれをさらに細分化して項目ごとに分け、その項目に『いくつ』損害が生じているかをカウントしていきます。つまり、購入金額や購入時期が問題ではなく、何種類のものが壊れたか、をポイント加算していくのです。

例えば、「電気器具類」の項目は、電子レンジ、パソコン、テレビ、冷蔵庫・・・、などがあり、そのうちの何か1つが震災により使用不能になっている場合は、損害割合を2.5%とします。テレビとパソコンの2つが壊れた場合は2.5%×2=5%の損害割合となります。(最初に分類した種類ごとに損害割合は異なります。例えば食器陶器類なら1つ1%、家具類なら1つ4%となります。)
その合計が10%以上30%未満であれば一部損として地震保険金額の5%が、30%以上80%未満であれば半損となり保険金額の50%が、80%以上の損害なら100%の保険金が支払われるわけです。
逆に、10%未満であれば、例え損害があったとしても、保険金は支払われないということになります。

保険金の使い道は自由

特に、住宅ローンを組んで住宅を購入するような状況を想定します。万一被災して、一時的にせよ同じ場所に住めない状況になった場合、例えば他の賃貸物件や仮設住宅、ホテルに滞在するとなると、住宅ローンとの2重の支払いを余儀なくされることになります。そういったケースで、当面の生活建て直し資金を受け取れることは、経済的にも精神的にも、大変助かるのではないでしょうか。
地震保険で受け取った保険金は、使途は自由です。つまり、家財の損害によって受け取った保険金は必ず、実際に被害にあった家財を修理・再購入するために使わなければならない、という縛りはありません

資金的に余裕があり、いざと言う時には住宅ローンをほぼ完済できる、既に残債がかなり少なくなっている、または他に住む場所があるなど、被災しても最低限の生活には困らないという方であれば、地震保険は不要かもしれません。しかし、多くの方の場合、住宅購入時点で貯蓄額は大きく減っているでしょうし、手元に残している貯蓄も、教育資金や老後資金など、他に目的があって置いている方が多いのではないでしょうか。

地震保険とマンション

マンション固有の特徴をふまえて、地震保険について考えてみます。
マンションの建物は、共用部分と専有部分に分かれています。分譲マンションの各所有者が、自分で保険契約をするのは、一般的に「建物の専有部分」と「家財」です。
地震保険は、それ単独では加入することができないので、『火災保険』のみに加入するか、または『火災+地震』保険に加入するか、の選択になります。

ちなみに、マンション管理組合が適正に運営されているなら、一般的には共用部分については火災保険に加入しているはずです。加えて地震保険にも加入しているかどうかは、事前に確認しておくのがよいでしょう。これら共用部分の保険については、個人の選択ではどうにもなりませんが、加入内容を確認しておくことは必要です。
実際に被災して保険金が支払われた場合、その使途についてもめるケースがあります。共同住宅ですから、議論し、時には多数決を取ることもあるでしょう。いずれにしても、結論が出るまでには時間がかかります。住民ひとりひとりの希望は様々で、保険金を補修費や建替え費用の一部に充填して住み続けたい人もいれば、世帯に按分して現金として受け取り、その後の生活資金に充てたいという人もいるでしょう。とにかく時間がかかります。

一方で、「建物の専有部分」と「家財」についての地震保険は個人で受け取ることができます。
損害を被った建物や家財を、すべて元通りにするほどの資金にはなりませんが、傷ついた家族が気持ちを落ち着け、体を休め、前を向いて今後の生活を考える時間を作ることができます。
現状復帰に時間のかかるマンションだからこそ、必要な時に使える資金を受け取れるよう、準備しておくことが必要です。

ファイナンシャルプランナー 株式会社フォルテシモ 宮脇 英寿

1999年に法政大学工学部を卒業し、中学・高校数学の教員免許取得。2005年にファイナンシャルプランナーの資格取得。2006年に総合コンサルタントとして独立(株式会社フォルテシモ参画)し、現在に至る。

年金・医療制度など、社会保障制度のわかりやすい説明を心がけています。 小学生・幼稚園児の2男、1女の父。

人生に必要なもの、それは勇気と想像力、それとほんの少しの「お金」と言われます。お金ってどれくらい持っていればいいの?貯めたいんだけど、なかなか貯められない・・・。保険って必要なのかな?国の保険制度ってなに?お金が減るのはイヤだけど、資産運用にはちょっと興味がある。老後のためのお金を貯めないといけないらしいんだけど、どうしたらいいの?

どんな人生を送りたいか。それを実現するにはどれくらいお金が必要なのか。人はそれぞれ、生活環境や家族構成、また収入と支出のバランス、仕事や人生の価値観によって、経済的なプランもリスク許容度も、全く異なるはずです。皆さんお一人お一人が、何を達成するために、どんな準備が必要なのかを明らかにするために、一緒に考え、計画しましょう。保険を含めた金融商品は、目的を達成するためのツールに過ぎないのです。

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