学資保険だけで教育費を賄うことは可能か?

教育費は「人生の三大出費」の一つと言われていますが、では、子供の教育費は一体いくらかかるのでしょうか? そして、それをどのように準備したらいいのでしょうか?

世の中には、教育費に係る統計がたくさんあります。でも、その数字にはかなり幅があり、さまざまです。それは、統計をとる前提条件がさまざまだからなのです。

「幼稚園から高校まで」なのか?「小学校から大学まで」なのか?「中学校から大学まで」なのか?

それぞれ公立と私立とでは違いますし、大学も文系か理系ではかなり違ってきます。

さらに詳しく:子どもの教育費用はいくらかかる? 7進路別にシミュレーション

また、その内訳が学校に納める入学金や授業料等の金額なのか、校外活動費や習い事なども含めた金額なのかで数字はかなり違ってきます。

かなり大雑把に言えば、一般的に最低でも一人1,000万円~2,000万円かかると言われてはいます。二人、三人いれば、当然2倍、3倍かかります。子供が生まれれば、「将来子供にお金がかかる」ことは、まぎれもない事実です。

では、この出費に対して、どんな準備をすればいいのでしょうか。

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教育資金の準備は子供が生まれた時の親の年齢で異なる

まず言えることは、子供が生まれた時の親の年齢によって事情が違ってくるということです。

たとえば生計の担い手である親が25歳で生まれた子供は、その親が40代でまだ働き盛りのときに社会に出ていきます。 30歳で生まれた子供は、何とか親の現役時代の中で巣立ってくれるでしょう。

でも、40歳で生まれた子供は、一番教育費のかかる高校・大学の時期が親の定年等に重なり、45歳位になると、リタイア後も教育費と向き合わなければならない事態が予想されます。そうやって育てた子供が将来親の面倒を見てくれるとは限らず、親は、自分の老後の準備もできないまま老後を迎えることになります。高齢で生まれた子供の教育費を準備し尚且つ、親の老後の準備も必要です。

将来、月々の収入のなかで教育費が捻出できるのか否かを冷静に考えて、厳しいのであればそれなりの準備が必要です。お金を貯めること以外に、リタイアの時期を少しでも遅らせる、つまり、いかに長く現役を続けるかいかに収入を得る手段を確保するかも大切かもしれません。

若くして子供が生まれた場合でも、今は何があるかわからない世の中なので、「子供にかかるお金」は別枠で確保することが大切です。

教育費は、子供が生まれれば何年後にいくら位かかるかがある程度は予想できる出費です。覚悟を決めて計画的に行なえば準備しやすいお金と言えるでしょう。

学資保険だけで教育資金の準備は難しい

ではその手段ですが、一昔前は「子供が生まれたら学資保険」と言われていました。特に郵便局(現在のかんぽ生命)の学資保険は返戻率がよく、子供の教育費を貯める最適な手段の一つでした。

各保険会社からも学資(こども)保険が次々の発売されましたが、執筆時現在は、どれも返戻率が良いとは言えず、当サイト集計で人気1位のソニー生命でも、短期払10年にして約107%です。

支払った保険料よりも受け取れる満期金が少ない元本割れ商品もあります。これでは何のために加入するかわかりませんよね。意味を見出すとすれば、加入しなければ使ってしまうお金を保険料としてよけておくことができること位でしょう(保険の強制貯蓄効果)。

親が死亡しても、学資保険ならではの「保険料払込免除特約」が活き、満期時には契約通りの学資金を受け取れることがメリットだと言われていますが、これは親の死亡保障をしっかり確保しておけばいいことです。つまり、生命保険で代替できます。

そもそも学資保険はいくらまでかけられるか

学資保険の保険金額は、一般的に最大でも1,000万円が限度の保険会社が多いようです。また、よく言われている、 15歳未満の子供にかける保険は 1,000万円以下にしなければならないという規定は、学資保険に関しては当てはまりません( 1,000万円以上で加入できる保険会社もあります)。

確かに 15歳未満の子供を被保険者にした死亡保険の保険金額の引受限度額は通算 1,000万円ですが、学資保険の本体はそもそも「死亡保険」ではなく「生存保険」ですので、この規定には当てはまりません。

被保険者である子供が亡くなった場合は、死亡給付金が支払われますが、これは、契約終了にあたって今まで保険会社に支払った保険料を契約者に返すという意味のお金です(特約で病気やけがの死亡保障が付いている場合は、もちろん 1,000万円の限度があります)。

教育費は家計の収支とライフプラン全体で考える

大切なことは、教育費としてお金がかかる時期に、どれくらい別枠でお金が必要なのかを考え、可能な範囲で計画的に貯めていくことです。

小学校から私立に通わせるような、お金がかかるケースを除けば、準備期間は生まれてすぐに始めれば 10年超の期間があります。その期間を上手に活用し、学資保険の他に少しでも利回りのいい金融商品も混ぜて利用することが必要です。

そして同時に、「将来の家計全体の収支を考える」、「ライフプランをしっかり見つめる」ことが大切です。

大学生の 2人に 1人は何らかの貸与型奨学金やローンを抱えていると言われています。教育ローンは基本的に親が借り入れをしますので、親の老後を圧迫し、貸与型奨学金は学生本人が借り入れをしますので子供の負債になります。社会に出るときに、すでに借金を背負っているという現実はできれば避けたいものです。

自分たちで結論が出ない、第三者の意見も聞いてみたい場合は、保険の専門家やプロのファイナンシャルプランナーに相談するのも手です。学資保険選び一つにしても、さまざまな商品のなかから提案してくれますし、他の金融商品についてのアドバイスもしてくれるでしょう。

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