学資保険に加入する際、契約者の名義を夫か妻かどちらにするかで悩むことがあります。保険料は、女性と男性とでは女性の方が安いため、パートナーが同い年なら女性が契約者になった方がお得です。
しかし、一家の大黒柱は男性であるケースが多く、学資保険の保険料を男性の収入から支払う場合は、男性にしておいた方が無難です。
学資保険とはの記事で解説したように、学資保険には、契約者が死亡または所定の高度障害になった場合、保険料の払い込みが免除される「保険料払込免除特約」があるため、夫に万が一のことがあっても、契約者が妻になっていると特約の恩恵が受けられません。パートナーを失って収入が激減し生活が一変、保険料も負担になり結局解約……なんて事態になってしまうと、それまで払い込んできた保険料はほとんどパアになります。
保険料払込免除特約を使うときのことも想定し、契約者は収入の多い方がなりましょう。
契約者を女性にするメリット
以上から、女性が契約者になった方が良い場合は、女性の方が男性より経済力がある場合です。保険料は割安になりますし、もし離婚しても妻が契約者の方がスムーズにいくことが多いです。
もう1つは、返戻率を限界まで上げたい場合。下表のとおり、女性の方が保険料が安くなるということは、わずかながら返戻率が上がるということですから、とにかく返戻率重視!という人は妻名義で契約しましょう。
条件 | 保険料(月払) | 返戻率(%) |
---|---|---|
子ども0歳、契約者30歳(夫 / 妻) | 1万3,190円 / 1万3,140円 | 105.2 / 105.6 |
子ども1歳、契約者40歳(夫 / 妻) | 1万4,200円 / 1万4,090円 | 103.5 / 104.3 |
保険料は、満期金の総額や払込期間のほか、子どもと契約者の年齢によっても上下します。
離婚でややこしくなる学資保険の行方
自動で親権者に名義変更はされないので、注意が必要です。
今や3組に1組といわれる離婚率ですから、万が一離婚した場合、学資保険が誰のものになるかも考えておきましょう。
離婚することで学資保険の所在がややこしくなるのは、財産分与があるからです。財産分与とは、簡単にいえば、夫婦で築いた財産を分配することで、学資保険がこの対象になることがあります。
学資保険の被保険者(保障の対象になる人)は子どもであり、子どもの財産は親権者が管理するものです。したがって引き取った方のものになると思いがちですが、法的には、契約者が保険会社に名義変更または解約しない限り契約続行となります。保険会社が事情を察して自動的に名義変更してくれるわけではないことを覚えておきましょう。
もともとの契約者が親権者になるなら、ややこしいことは何もありません。保険料を払い続けるのも解約するのも契約者次第です。しかし、親権者≠契約者になるときは、できるだけ親権者に学資保険の名義を変更しておきましょう(契約者の署名捺印が必要です)。そのままの状態では、学資金は契約者の方に振り込まれてしまうほか、勝手に解約されてしまうかもしれません。
きちんと話し合いができ、本当に信頼できるなら契約者と親権者が異なっていても問題はありませんが、後々トラブルにならないとはいえず、やはり離婚前に名義変更するか、または解約するかを決めておくことをお勧めします。
なお、解約で発生する解約返戻金は、夫婦2人で築いた財産と認められ、財産分与の対象になります。