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プロFP10人に「学資保険の賢い選び方」について聞きました
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学資保険に加入する際は「満期の時期」「保険料の払込年齢」「月々の積立金額」など決めなければいけない項目が複数あります。どういう風に決めればいいのか、人によってアドバイスが異なるので、混乱する方も多いかと思います。
そこで当サイト『学資保険の教科書』では、学資保険・教育資金の積立について今まで複数の相談をうけてきたプロFPの方10人に「自分が加入するなら」という基準で学資保険のおすすめプランと選び方についてアンケートをとりました。
※取材協力10名:(50音順、敬称略)
井上信一、大木美子、小川千尋、城木きよ子、吹田朝子、豊田眞弓、中村宏、畠中 雅子、古川みほ、横川由理
目次
プラン選択について
受け取り・払い込み時期について
選び方・契約の注意点について
教育費について
1:学資保険は貯蓄型・保障型、どちらを選択しますか?

- 教育資金を貯めるのに元本割れしては意味がない 学資保険に保障を求めていくと、元本割れする可能性が高い。保障が欲しければ、単体でも、死亡、医療と必要に合わせて加入することができる。そもそも目的として学費を貯めたいのだから最低限として元本割れは避けたい。貯蓄性を重視する。(大木)
- ▼その他の回答
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- 保障部分は他の保険商品で補えばいい 金融機関の1つである保険会社に、保険料の一部を運用してもらえるところに学資保険の商品価値があると思っています。保障重視なら、学資保険以外のたくさんある保険商品から選びます。(古川)
- 貯蓄型が好ましいが保障型が役立つケースもある 私は貯蓄と保障を分けて加入したいと考えています。ただし、妊娠時または、子どもの誕生時に死亡保障を増額しないのであれば、保障型を選択するのもよいと思います。教育費を貯めるだけでなく、可能性はそう高くないものの「夫が死亡するかもしれない」という前提で保障額を設定すること大切です。(横川)

- 万一の備えが薄い人には合理的 そもそも契約者である親の死亡・高度障害保障を合理的に兼ねられる手段です。別途、親の死亡保障を割安に準備できる場合でない限り、使える機能は使うのが良いと思います。(井上)
貯蓄型派が圧倒的ですね。大学入学時など最も入用なときに、預けたお金がいくらになって戻ってくるかが重要なので、保障型より貯蓄に有利なタイプを求めるという意見が主流です。医療保障や死亡保障は他の保険で補えばいいでしょう。
もっとも、何らかの理由でそれができない、またはしない場合、保障型の学資保険で備えておくのも一つの手だとは思います。


2:学資保険の払込免除特約なしが選べる商品もありますが、どちらを選びますか?

- 学資保険の魅力が半減するから 学資保険の払込免除特約は、契約者である親が死亡または所定の高度障害状態になったときに、保険料の支払いが免除され、満期金がもらえるというもの。親が万一の場合も、子どもの学資準備が途切れることなく準備できるというのが、そもそもの学資保険のウリだと思うから。(城木)
- ▼その他の回答
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- 付けておいた方が無難だし安心 ご相談現場においては、「貯蓄が潤沢にある」、「死亡保障を十分に確保している」などのケースで、払込免除特約を付けなくてもいいのではないかと思われるケースも見かけますが、自分で加入するなら付けると思います。払込免除特約を外しても、それほど保険料が安くならないですし、親に万が一のことがあった場合は、教育費分をきちんと確保できる点で安心だからです。(畠中)

- 返戻率を下げる原因になる 払込免除特約は「あるといいな」な特約です。とはいえ払込免除特約をつけると割高になるので、学資保険を契約する
- 目的を貯蓄に定めるなら「なし」にします。二兎を追うものは一途をも得ず、です。(古川)

- 貯蓄性に影響を及ぼすかどうかで判断する 保障は他の保険で十分と思われるので、より貯蓄性が高い方を選ぶ。払込免除ありの商品より、他社の免除なしの商品の方がより貯蓄性が高ければそちらを選択する。貯蓄性が同じ2つの商品があったなら、払込免除ありの方が有利な商品と言えるのでそちらを選ぶ。(豊田)
保険料払込免除特約は、他の金融商品にはない学資保険ならではの仕組みなので、「当然付けるべき」という声が圧倒的でした。指摘されているように、払込免除特約を付けることで返戻率は下がってしまいますが、とは言っても微々たるものですし、その程度なら保護者の万一に備えた方が懸命だという意見が主流です。


3:学資保険に子供の医療特約は付帯しますか?

- 子どもの医療費はほとんど負担にならない 医療費助成制度は、ぜんそく医療費助成なども含め、自治体の制度も子どもに対しては使えるものが多い。なので、日常の予防などに気をつけて、あとは貯蓄でカバーする方法で備えれば良いと思う。(吹田)
- ▼その他の回答
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- 医療保障は単独で加入する 子が健常でない場合にこそ備えたいところですが、一般的に特約等は子の誕生後にしか付帯できず、しかも加入時に健康であることが条件です。どうしても不安なら、成人前に契約が消滅するような保険に付加するのでなく、単独の共済や保険で準備しておけばよいと考えます。(井上)
満場一致で不要という結論になりました。子どもの医療費は各自治体から助成が受けられること、医療保障を付帯すると貯蓄性が下がる(元本割れする)ことが主な理由です。ただし、医療費助成の内容は地域差が激しく、あまり行き届いていないところもあるため、子どもに医療保障が要らないというのは言い過ぎだと思います。もっとも、たとえ必要だとしても、単独の保険か共済で備えるのが賢明だというのがプロの考え方です。


4:保険料の払い込みは何歳で完了するプランを選びますか?
返戻率を重視するなら短期払が有利という声が多いです。義務教育の間はそれほどお金がかからないため、それまでに保険料を払い込んでおいた方が後々楽になるという意見も的を射ていると思います。全期前納払いで可能な限り返戻率を上げるという意見も見られますが、確かに、お金に余裕のある人には有効でしょう。 一方、短期払いにすると保険料がアップし、家計に負担を与えると警鐘を鳴らす声もあります。返戻率ばかりに目を奪われず、長いスパンで支払可能な額にすべきというごもっともな指摘です。


5:満期金をもらうタイミングは何歳のプランを選びますか?
回答から見えるポイントは「17歳満期を選べるかどうか」です。子どもの誕生日や入試形態によって満期金の受取時期を考慮しなければならず、どちらにも対応できる商品が好ましいです。 大学初年度だけでなく、次年度以降も満期金の一部を分割して受け取れるタイプがいいという意見も見られますね。確かに、大学は4年間通してお金がかかるものなので、少しでも負担が軽減されると助かるでしょう。満期時をいつにするかで返戻率が上下するため、じっくり決めたいところです。 主婦100人が実際に選んだ『2018年の学資保険人気ランキング』 の結果を見ても、そうした柔軟性のある商品が評価を受けています。


6:学資保険に加入する場合、妊娠中と出産後のどちらで加入しますか?

- 出産後だと得られないメリットがある 産前に契約しておくことのメリットとしては、出産前に契約者に万が一のことがあった場合も、その後の保険料の支払いは免除されたうえに、満期保険金等は予定通り受け取れること。さらに、出産後は行政への手続きなどもあり煩雑になるため、時間のあるうちに契約しておきたい。(大木)

- 加入は出産後、検討は妊娠中が安心 子どもが生まれると、何かと支出が増える。それを実感してから加入した方が、ムリのない計画を立てやすいのではないかと思う。(城木)
- ▼その他の回答
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- 一長一短あるが、出産後が好ましい 出産後に子どもの名前を決めて手続きしたほうが手続きは一回ですむが、ちょっと産後で忙しい。それに対して、妊娠中は産後より比較的時間に余裕があり加入手続きできるのは助かるが、子どもの性別や名前がまだ決まらず、出産後にもう一度連絡手続きが必要なので、どちらも一長一短。好みの問題かなと思う。(吹田)

- 出産予定日によって選択が変わる 大学時代に分割して保険金を受け取るタイプは、18歳、19歳、20歳・・・・の10月1日、11月1日、12月1日など、各保険会社が決めた日に学資金が受け取れます。どの時期に加入しても、学資金の受け取り時期は決められているので、加入時期にはそれほどこだわりません。とはいえ、学資保険から受け取るお金で、大学4年の秋の学費(最後の学費)を払いたいので、出産後に7~8月を迎えるなら出産後に、7~8月は妊娠中だとしたら妊娠中に加入します。 いっぽう、まとめて学資金を受け取るタイプを選択すると、満期時期は加入した時期の18年後などになります。こちらは推薦入試で大学に進学することも念頭に入れて、秋ごろが満期になるように加入します。この場合も、出産予定日によって、妊娠中に加入するのか、出産を終えてから加入するのかが変わります。(畠中)
出産後でも損をすることはありませんが、学資保険の仕組みとしては、妊娠中に加入する方がメリットを得られます。時間や気持ちの問題に加え、万一への備えまでできる点が大きいと思います。 加入する商品や受取プランに目星をつけている場合、出産予定日に応じて決めてもいいでしょう。いずれにしろ、学資保険は妊娠中からあれこれ検討しておくことをオススメします。


7:契約者は父、母、どちらで学資保険に加入しますか?

- 安定収入がある方が契約者になる 世帯主という視点で選び、出産当時の家計への寄与度から父親。契約者に万一の保険料払込免除を活用するなら、世帯主を契約者にすべきで、どちらが家計に寄与するかで決める。父親に安定収入がない場合は、安定収入がある母親側にすることも、もちろん検討する。(吹田)
- ▼その他の回答
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- 妊娠中の万一を想定するなら父 母の方が若く、女性であるため保険料は安くなると思いますが、妊娠中の契約者の万が一の保障に想定して加入するという意味から、父。(大木)

- 母の死亡保障代わりにする 父の死亡保障は他の保険で準備し、多くの場合年下である母が契約します。父より保険料が安いことと、子どもの小さいうちに母が亡くなったときでも子育てヘルパーさんにお願いするための費用などに充てられます。(古川)
- ▼その他の回答
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- 保険料が安くなる 一般的には父だが、貯蓄性を追求するのであれば、母を契約者にして加入するのも手。母が父と同程度の年齢か年下であるなら、保険料は安くなる。(豊田)

- 共働きなので、両方の名義で何本かに分けて加入する 我が家では1人の子どもに対して、複数の学資保険に加入しています。契約者も分けて加入していますが、その理由は保険料の払込免除の機能を死亡保障(の一部)と捉えているからです。(畠中)
性別の問題というより、安定した収入のある方が契約者になるのが良いという意見がほとんどでした。しかし、仮に一家の大黒柱が父としても、充分な死亡保障に加入している場合はこの限りではありません。


8:教育資金を学資保険で貯めるメリットは何だと思いますか?(※複数回答)

- 自動的に貯蓄できるうえ心理的に解約しにくい 貯金だと資金繰りがつらくなった時に取り崩してしまいがち。銀行引き落とし等で強制的に、さらに、“学資保険”という子どものため、というキーワードで手を付けることなく継続できる確率が高まる。(大木)
- ▼その他の回答
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- 「使い込み防止」の1点に尽きる 通常はなんとか貯金できていても、大きな買い物やレジャーなどが重なるとくじけてしまうかもしれません。多くの親にとって子どものための貯蓄は「聖域」だったりします。「聖域」であるだけに、決めた通りに貯められないと自己嫌悪に陥り、教育費貯められないストレスになってしまいます。給与天引きのように強制的に貯蓄するのと同様、多少無理矢理でも保険料として教育資金を準備できる点がメリットだと思います。ただし無計画な契約者貸付をしないよう、肝に銘じておくことも重要です。(古川)

- 被保険者と契約者の保障を兼ねた連生型準備手段である 保険会社の破たんや保険料負担の重さ等により中途解約をしない限り、親の万一の場合に関わらず、保険金を教育資金として確実に準備できること。もし、貯蓄等で行う場合には、必要額が貯まるまでは、別途、死亡保障の保険にも加入していく必要があります。(井上)

- 「子どものために」で頑張れる 貯蓄が目的なので、学資保険で準備しなければならないことはないが、学資保険は、被保険者名(子供)を指定するために、「子供のため」を意識しやすいから。また、貯蓄が苦手な人でも保険だと蓄えやすい。(中村)
圧倒的に多かったのは強制貯蓄効果でした。途中解約すると払い込んだ分がマイナスになってしまいますから、覚悟を決めて貯蓄するにはいい手段だと思います。 保険以外の金融商品を使ってもきちんと貯蓄できるという人は、わざわざ学資保険を選ぶ必要はないかもしれません。


9:学資保険に入る際、特に注意する点、気にする点はどこですか?(※複数回答)

- 支払い保険料総額と学資金の割合(返戻率) 教育費の貯蓄に目的を定めるなら、支払う保険料総額より学資金が少なかったら本末転倒。自動積立定期預金にでもしておく方がマシです。(古川)
- ▼その他の回答
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- とにかく商品比較に力を入れる満期金をどのように受け取れるのか?(一括受取?分割受取?)、満期金に対する保険料は?各種特約についてなど、各社の商品はいろいろだから。(城木)

- 払込期間・満期によって契約プランが変わる 保険会社によって、満期金が18歳時に一時金で支払われたり、22歳までの分割払いになっているケースもあります。当然、22歳までの分割払いにした方が保険料は割安になります。一時金で受け取っても、銀行に預けておくだけであれば分割払いを選ぶなど、工夫をすることが大切です。(横川)

- 保険会社が破綻しては元も子もない 貯蓄性の比較だけでなく、不確実性を残しながらも、貯蓄型保険の最大のリスクである保険会社の破たんに対しても、ディスクローズ等の確認もしておきたいです。また、契約時の利率が固定されるゆえ、市況も気にしておきたいところ。しかし、当該保険料が長期に渡り無理な額でないのかをキャッシュフロー表等で検証することが大切だと思います。(井上)
- ▼その他の回答
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- 格付けなどを確認しておきたい 教育費の貯蓄のために加入するので貯蓄性は何と言っても気になる。また、保険会社の財務状態が健全でないと破綻時の影響も貯蓄型保険ほど大きい傾向があるので、やはり確認が必要。格付けなどで確認してBB以上のところを選びたい。また、「いつもらえるか」についても、想定している進路にあっているかなど確認を。(豊田)
貯蓄目的である以上、返戻率が大切なのは当然ですが、学資保険はそれだけではありません。各社とも工夫を凝らした商品を販売しているだけに、比較すべき項目は多く、また保険会社そのものの財務状況など、複合的な視点で選ぶ必要があるということです。


10:教育資金の積み立てだと、学資保険 or 終身保険どちらを選びますか?
基本的には学資保険を推す声の方が多いですね。低解約返戻金型終身保険のデメリットとしては、保険料が負担になることや、解約したときのペナルティが大きいことが挙げられます。実際、途中解約してしまった契約者の方を何人も見てきたと証言するFPさんもいました。 とはいえ、無茶なプランを組まなければ問題ないわけで、終身保険派やケース・バイ・ケース派のコメントにもあるように、学資保険にはないメリットを活かせることもたくさんあると思います。


11:子供を公立中心の進路で大学までいかせるとして、教育資金として貯めるべき目標金額はいくら位だと思われますか?
かなり意見が別れました。子どもの学力や進路にもよりますが、私大に進学するとして300~400万円を見ておくのが妥当でしょうか。


12:Q11の目標金額のうち、どれくらいの割合を学資保険で積み立てるのが良いと考えますか?
目標金額にもよりますが、全額を学資保険で賄うとなると保険料の負担も大きくなります。最も回答が多かった50~80%を保険で、残りは貯蓄や他の金融商品でカバーするのが現実的ではないでしょうか。固定金利や保険会社の破綻リスクなどを考慮しても、学資保険一択はオススメしません。


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