病気やケガで働けない状態になったとき、保険金が継続して給付される就業不能保険(=所得補償保険)。ただし、いつ・どんな場合でも出るというわけではないのです。保険金を受け取るためには一定の条件があり、これをクリアしないと、たとえ働けなくて困っていても1円も保障されません。
いざというときにガッカリしないためにも、給付の条件について、きちんと知っておきましょう。
要確認!! 「就業不能」は各社により異なる
就業不能保険の火付け役ともいえるライフネット生命『働く人への保険2』では、給付の対象となる「働けない状態」について、次のように定義しています。
- 病気やケガの治療を目的として、日本国内の病院または診療所において入院している状態
- 病気やケガにより、医師の指示を受けて自宅等(国内。老人ホーム等含む)で在宅療養をしている状態
在宅療養とは、簡単にいえば自宅で治療に専念することをいい、簡単な家事や座りながらの軽労働もできない状態としています。もちろん自己判断ではなく、医師の診断が必要です。
ただし、就業不能の条件に当てはまっていても、次の原因がもとで起きた就業不能状態は保障しないと書いてあります。
- うつ病、統合失調症、社会不安障害などの精神障害によるもの
- むちうちや腰痛など、触診や画像診断などによって症状の裏付けができないもの
むちうちや腰痛などは、 本人の自覚症状はあっても、医学的にそれを証明することが困難なもの(医学的他覚所見がない)として、対象から外されています。精神障害は、就業不能状態が非常に長引く傾向がある(=莫大な給付金の準備が必要)ためNGなのだと思います。
しかし、チューリッヒ生命の『くらすプラス』では、”所定のストレス性疾病”と断りを入れているものの、次の精神疾患を保障対象としています。
気分[感情]障害/統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害/神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害/摂食障害/非器質性睡眠障害/胃潰瘍/十二指腸潰瘍/潰瘍性大腸炎/過敏性腸症候群/更年期障害
各社でスタンスが異なる他の例としては、ライフネット生命が妊娠・出産にかかわる疾病も保障対象なのに対し、アフラックの『給与サポート保険』では対象外としています。
このように、商品による細かな違いは比較すればたくさん出てきそうです。
各社共通の「支払いNGケース」は?
就業不能保険に限ったことではありませんが、保険にはほぼ共通の免責事由があります。簡単なものでは、たとえば
- 故意によって生じたもの
- 本人の犯罪行為に生じたもの
- 戦争や、地震などの自然災害によるもの
などですね。これらがもとで起こった就業不能状態はすべて保障対象外になります。
故意や犯罪によるものは、まあ当然として、戦争や地震が原因だと対象外になってしまうのは、統計的な予測の難しい原因によるものは保険料の算出に組み込まれていないためだと考えられます。
以上、よく理解したうえで、保険選びをしてください。