医療保険に入るより予防や健康づくりが大切保険はそれでも生じるリスクに備えるという考えで
自分がいつ病気やケガに襲われるか、誰にも予測できません。それだけに、万一の病気やケガに不安を覚えるのは当然のこと。そこで医療保険を……となる人も多いようですが、ちょっと待ってください。保険は何のためにあるのか、よく考えてみましょう。
アドバイスをいただきました
CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士
畠中雅子さん
プロフィール
大学時代にフリーライター活動を始め、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーに。新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などをおこなう。長女出産後に大学院に進学。修士課程では「生命保険会社の会計システム」、博士課程では「金融制度改革」の研究を行う。著書は、「貯金1000万円以下でも老後は暮らせる!」(すばる舎)、「結婚したら知っておきたいお金のこと」(海竜社)、「高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン」(近代セールス社)、「お金の不安がかるくなる30のヒント」(オレンジページ社・共著)など60冊を超える。新聞・雑誌など、メディアへの登場回数は7000回以上。
chapter 01
ケガや病気に不安を感じるという人は全体の9割
生命保険文化センターの調査によると、なんらかの形で「ケガや健康に対する不安がある」という人は9割います。
不安の具体的な内容を見てみると、ベスト3となったのは順に「家族に肉体的・精神的負担をかける」「長期の入院で医療費がかさむ」「後遺症や障害が残る」となっています。
健康は大切なものですから、それが損なわれることへの不安は誰しも持つものでしょう。そこで、医療保険やがん保険のことを考える人も多いと思いますが、「健康に不安を感じる」→「まず保険」となるのは、少し早計かもしれません。
保険はあくまでも、生じたリスクを経済的に保障するためのもの。いざというときに役には立ちますが、そもそも健康が損なわれなければ、それに越したことはありません。健康に不安を感じている人は、まずは健康診断を受ける、健康づくりをするなどの予防に勤しんでください。
そのうえで、それでも発生してしまう事態に対しては、保険で備えるのです。
chapter 02
医療保険は必須ではないが、もし入るなら早めの加入がおすすめ
医療保険・がん保険は、医療費を保障してくれるものですが、その必要性は人によってまちまちです。
高額療養費制度をはじめとする公的な保障も整っていますし、ある程度の貯蓄があれば過剰に医療費の心配はいりません。また、もし病気やケガで働けなくても、その間、収入や生活をサポートしてくれる家族がいれば問題ないでしょう。
ですので、どんな人にも医療保険が必ず必要ということはありません。
一方、「自営業のため公的保険に不安がある」「貯蓄額が少ない」「独り暮らしのため働けなくなったら非常に困る」といった状況があるなら、医療保険・がん保険で備えておくべきリスクを抱えていると言えます。
そして、医療保険やがん保険への加入を考えているのなら、できるだけ加入は早めのほうがいいかもしれません。理由は2つあります。
1 若いほど保険料が安い
一般に、保険料は年齢が若いほど安くなります。そのため、若いうちに加入するほど、月々の負担は軽いわけです。
保険料の支払いは、保険期間が続く限り支払い続ける終身払いと、一定期間で払込を終えてしまう有期払いがあります。年齢を基準に有期払いの設定になっている保険(60歳払済など)は、若いうちに加入するほど保険料の総額は安くなるのが、保険料を算出する際の原則になっています。また若いうちに保険に入ったほうが、月々の負担も少なくてすみますので、早めの加入がおすすめできます。
以下は、ある保険会社の医療保険について調べたものです。入院日額1万円の保障で、保険期間は終身、払込は60歳までとし、加入した年齢別に支払う保険料を見てみましょう。
加入年齢 | 月額保険料 | 60歳までの払込総額 |
---|---|---|
20歳 | 3,185円 | 152万8,800円 |
30歳 | 4,797円 | 172万6,920円 |
40歳 | 8,035円 | 192万8,400円 |
50歳 | 1万7,326円 | 207万9,120円 |
まず、同じ保障内容でも、月々の保険料がまったく違います。総額で見ても、20歳で加入したときと50歳で加入したときとで50万円以上の差があるのです。
2 がん保険には待機期間がある
がん保険には待機期間(または免責期間、不填補期間とも)という仕組みがあり、加入してから(正確には申込書の提出・健康告知書の提出・1回目の保険料の払込が完了してから)、3ヵ月の間は、もし、がんになっても保障されません。
そのため、なんらかの自覚症状を感じて、がんの不安にとらわれ、慌ててがん保険に入っても、3ヵ月以内にがんになってしまえば、せっかくのがん保険が無意味になってしまいます。 がんのリスクがあるという人は、できるだけ早めに加入しておくのがいいでしょう。
健康の不安を機に保険の見直し・新規加入をした人の声
婦人系の治療歴があり、今後の通院に備えておきたい
知らなかった保障の仕組みや、国の医療費制度も知ることができました
- H.Sさん(35歳・女性)
- 家族構成:私
- 世帯年収:~350万円
保険未加入のまま、健康状態に不安を感じてきた矢先、
保険相談ショップに行った知人に勧められ、半信半疑のまま保険相談を受けてみた
- K.Nさん(55歳・女性)
- 家族構成:私・夫・子ども2人
- 世帯年収:700~800万円