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学資保険は、教育資金の積み立てとしておすすめ?

先日、子供が生まれ、将来の教育資金をどうしようか悩んでいます。

学資保険でも、元本割れするようなものだったら考えものですが、最近では利率の高いものも販売しているようですし、コツコツ貯金する自信もあまりありません。

自分なりに少し調べてみたのですが、学資保険で利率の良いものか、終身保険で学資のかわりにするかと考えています。

「学資保険や終身保険で教育資金の積み立てをするか?」「いやそもそも必要ない、もっと別の貯蓄手段がある」など、もし加入する場合は、かけ金なども含め、ご意見をお聞かせいただけたら幸いです。

参考までに子供は1人目なのですが、できれば2人欲しいと考えており、子育てがひと段落したら妻も働き共働きとなる予定です。
年収は現在、手取りで、約500万です。

また、住宅ローンをかかえており、その返済が月9万ほどとなっております。
それ以外のローンはありません。

(36歳 男性)

推奨

高校以上で差が付く学資保険加入の有無。赤ちゃんのうちこそ、加入の“適齢期”です。

CFPR・1級ファイナンシャルプランニング技能士 畠中雅子

個人的な経験談になりますが、我が家では、子ども3人の教育資金のほとんどを、学資保険をはじめとする保険で準備しています。保険での準備を選択したことについて、振り返っても「適切な選択だった」と実感しています。

適切だったと思う理由を挙げてみますと、子どもの進学に合わせて必要となる教育費を自動的に準備できる点。私は貯蓄が苦手(FPとしてはあるまじき話ですが)なので、そんな私の性格に向いている選択だったと思います。我が家では、かなりの金額の学資保険に加入しているため、月々の保険料負担は軽くありませんが、強制的に引き落とされるため、貯蓄と違って「今月は貯めるのを辞めよう」なども起こらずにすみました。

現在私は、高校3年生と中学3年生の受験生の母。来春(2015年春)の大学進学と高校進学を控えているものの、2人分の進学費用のすべては、学資保険などからの保険金でまかなえます。受験生を抱えている時期は、塾代の負担もかかり、塾代を負担しながら、入学時期の費用を貯めるのは、かなり大変。そういう現実を踏まえますと、子どもが小さくて、家計が楽な時期からコツコツと準備ができる学資保険は、教育資金を貯めるにはおすすめできる準備手段です。

これに対し、終身保険で教育資金を準備する方法はあまりおすすめできません。加入後、払込保険料を超えた保険金が受け取れるまでの期間=解約できない期間が長すぎるからです。実際のご相談でも、お子さんが中学生や高校生になってから、保険料が払いきれずに元本割れを覚悟した上で解約するしかないご家庭をたくさん目にしています。元本割れを起こさずに解約できる期間で考えても、学資保険のほうがリスクは小さくなります。

返戻率の高い商品を選ぶのがポイント

学資保険に加入する際、ポイントになるのは「返戻率の高い商品」を選ぶことです。この2年くらいで、学資保険の返戻率はかなり改善してきています。

返戻率のアドバイスを数字に直してみますと、支払った保険料に対して「最低でも105%以上」になる商品を選びたいものです。返戻率の改善は、保険会社間の返戻率競争が熾烈になった結果生じたもので、中には返戻率が120%を超えるプランもあります。1年間の利益部分が50万円を超えなければ、利益部分は非課税という商品性もメリットといえます。

そんな学資保険ですが、少しだけ過去を振り返りますと、人気に影が差した時代もありました。たとえばわが家の末っ子(現在中3)が生まれた1999年頃は、ITバブル最盛期。当時は、「学資保険で教育資金を準備するのは非効率。運用して効率的に教育資金を準備するべき」とする考え方が拡がっていました。その影響からか、中学生くらいのお子さんがいるご家庭では、学資保険の加入率が低いように感じています。

ところが、中学生の子どものママたちに話を聞くと、「この子が生まれた頃は、学資保険は有利な商品ではないと聞いたので、学資保険には入らなかった。でも今、とっても後悔している」という話をよく耳にします。あるいは、「子どもが高校生くらいになると、どの家庭も家計が厳しいはずなのに、学資保険に加入しているおウチは大学の入学費用の心配をしなくていいのが羨ましい」といわれる機会も少なくありません。

教育資金準備をライフプランに沿って考えますと、「家計のやりくりが楽」で、「貯蓄だけでも教育資金を十分に貯められる」と思いがちな赤ちゃん時代は、頑張らなくても貯蓄を増やせるものです。ところがお子さんが成長するほど、たとえば塾に通い始める頃からはやりくりがきつくなり、中学生くらいになると貯蓄ができなくなるご家庭も少なくありません。大学時代の学費を貯めたい気持ちはあっても、現実には大学の学費まで手が回らなくなるご家庭が多くなるのです。

「貯蓄しづらい時期がおとずれる」ことを、お子さんが小さいうちは想像しづらいのも、教育資金準備の問題点。そういう意味で学資保険は、お子さんが高校生以上になって貯蓄しづらくなった頃、「加入していて良かった」と思える商品ではないでしょうか。

小学校や中学時代に保険料の支払いが終了するタイプがおすすめ

現在発売されている学資保険は、18歳などまで保険料を支払い、その後4~5年に分けて年金を受け取るタイプに商品性が変更されてきています。同時に保険料の支払い終了年齢を保険期間の終了時期と同じ時期ではなく、10歳、12歳、15歳などの早期に終えられる商品も出てきています。保険料の支払いを短期払いにすると、教育費負担が重い高校生時代に保険料を払わずにすみます。高校以降に保険料支払いがなくなるのはライフプランに合っていますし、保険料の支払い期間が短くなると返戻率がアップする点でも有利です。

保険料を支払い終える年齢が多年齢化しているいっぽう、最近は加入可能年齢が下がってきています。我が家の子どもが加入した際は、中学生でも加入できる学資保険がありましたが、今は就学前が加入可能年齢の目安になっています。ご相談者の場合、0歳のうちの加入がおすすめ。返戻率を挙げる意味でも、早く加入したほうが有利です。

また、1人目でたくさんの学資保険に加入して、2人目の保険料を負担する余裕がなくなるご家庭がありますが、学資保険の保険金設定は、2人目を多くしたいもの。1人目が大学に入られると、学費や生活費の負担で貯蓄が減ってしまうのが一般的ですし、2人目が大学生のときは、親の老後はより身近に迫っています。1人目のお子さんで頑張りすぎないのが、2人目の保険金を多くできるコツ。2人分の保険料負担のバランスを考えることも忘れないようにしましょう。

CFPR・1級ファイナンシャルプランニング技能士 畠中雅子

大学時代にフリーライター活動を始め、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などをおこなう。
長女出産後に大学院に進学。修士課程では「生命保険会社の会計システム」、博士課程では「金融制度改革」の研究をおこなう。
著書は、「結婚したら知っておきたいお金のこと」(海竜社)、「高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン」(近代セールス社)、「お金の不安がかるくなる30のヒント」(オレンジページ社・共著)など50冊を超える。新聞・雑誌など、メディアへの登場回数は6,000回以上。

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