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がん保険に加入するなら終身型にするべき?

がん保険への加入を検討しています。保険の無料相談にいったところ、定期型のがん保険だと、年をとった時の更新で保険料がかなり上がる可能性があるので終身型の方が良いと薦められました。

ただ、私としては、将来の公的な医療保険制度やがん治療の状況もわからないため、終身がん保険に加入しても良いのだろうかという漠然とした不安があります。

がん保険は、終身型の方が良いのでしょうか?
選ぶポイントなどありましたら教えてください。

(28歳 男性)

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『終身』で『診断一時金』タイプを選べば、更新もなくどんな治療法にも対応できます!

  FP事務所エッグプラント 代表 下澤 純子

一生のうちにがんにかかる率は、男性58.0%、女性43.1%(公益財団法人がん研究振興財団、がんの統計)。更に、がんになるリスクは年齢とともに高くなります。単純に、このことだけを考えても、がん保険は終身で準備するべきでしょう。

保障が満了した直後にがんを発症、手術。経過観察中にがん保険加入の相談にいらした例がありましたが、FPにもどうすることもできません(更新可能な保険の場合は、がんになっても更新することが可能です)。

治療法はどんどん進化していく現状からみると、どの選択肢にも対応できる「診断一時金」のものが良いでしょう。更に言うなら、治療費はもちろん、仕事を休む際の住宅ローンや家賃、そして生活費もカバーできるぐらいの額で準備するというのがベストです。
その一時金は何に使ってもいいわけで、あらゆる治療法、手術、通院、仕事を休んだときの生活費の補てんとして使うこともできるということです。
そして、がんにならなければ、毎月払ったお金がある程度貯まっているというものが効率的です。
ただ、この一時金だけの保険、それもある程度の額の一時金の保険は見たことがない、という人が大半ではないでしょうか。

話が前後してしまいますが、がんに対する保障はどんな形で持つのが理想なのか。まずはそこに立ち返ってみましょう。

そもそも「がん保険」とはどういうもの?

「がん保険」とは、がんになったときにだけ使えて、本人も家族も非常に助かるもの。
逆に、がんにならなければ、使うことのないもの、毎月保険料を払うだけのもの(一部、死亡保険が付加できるものなど例外もあります)です。

がん保険の形を見ていくと、入院の日額を1万円や1万5千円などに設定ができ、その部分は無制限に保障され、入院日額の倍率で手術給付金や、がんと診断されたときの診断一時金が設定されるというのが一般的です。オプションで先進医療を付加できますが、この場合はがん治療を目的とした先進医療に使えます。医療保険に付加している先進医療の方が保障の範囲が広い、ということになります。

最近のがん治療法は、入院治療よりも通院治療が主流になってきていることもあり、ここ数年で発売になった新しいがん保険では、入院保障が通院時にも使えたり、基本保障の中に通院保障があったりと、現在の治療法に合ったものに変化してきています。
がんの治療法が進化していくとともに、新しい治療法に対応できる保険が新しく生まれ、当然のことながら、今後は今までの古いがん保険では対応できない治療法も増えてくるということになります。

治療法はどんどん優れたものに変わっていくという前提ならば、終身タイプにこだわらず、そのときの治療法に合ったものを定期(10年のものなど)で準備するといった考えもあると思いますが、こちらも一時金の保障さえあれば解決できます。

一番心配なのは、昔に加入したがん保険を、もったいないからという理由で見直していないことです。今の治療に対応できず、いざというときに給付されない方がもったいないですよね。保険は、毎月保険料を払うために加入するのではありませんいざというときに助かるために加入するものです。

今のがん治療にはどんなものがあるの?

現在のがんの治療法は大きく分けると3つ、「手術療法」「放射線療法」「化学療法」があります。これ以外にも年々新しい治療方法が登場していて、複数の療法を組み合わせて行うケースも増えてきています。
この3つの治療法のうち、「放射線療法」「化学療法」は入院しなくても受けられることがあります。また、「手術療法」についても、鏡視下手術など身体へのダメージが小さいものは同様です。「化学療法」については厚生労働省が外来化学療法を推進していることもあり、ここ数年、通院(外来)による治療が増えています。
このように、がん治療では、医療技術の進歩により、抗がん剤治療や放射線治療を通院で行えるようになったため、通院治療の割合が増加しています。また、中には転移などにより長期にわたる抗がん剤治療を余儀なくされ、通院が長期化することもあります。
 
反面、入院する場合は短期化しています。入院期間が長い白血病でも1回の入院期間は50日程度です。
昔に加入したがん保険と、現在のがん治療に大きなギャップが生まれてきていることがお分かりいただけると思います。

次に、最近では言葉としても世の中に定着した感のある、先進医療に関して見てみます。
先ほども書きましたが、がん保険に先進医療特約を付加した場合、がんの診断や治療で先進医療を受けたときに給付されます。

先進医療は、一般の保険診療で認められている医療水準を超えた最先端の医療技術です。その中でも、厚生労働大臣がその種類、医療機関を承認しているものを指し、対象となる医療技術、医療機関は変更されることがあります。
がん治療では、切らずに治療する方法である「陽子線治療」「重粒子線」などがあり、これらの技術は開腹手術を必要としないため、手術痕が残りにくい、身体への負担が少ない、術後の回復が早い、などと言われています(26年2月現在)。

今のがん治療をまとめると、「手術」中心から『手術、放射線治療、化学療法』を効率的に組み合わせた「集学的治療」が主流になったと言えそうです。不治の病から治せる病気に変わりつつあり、先進医療も含めたその治療法は、入院は短期化した一方、通院治療の割合が増加し長期化の傾向、多額の治療費がかかる、ということになります。

がんになったときにかかるお金って?

それでは、がんになってしまった場合、いくらあれば治療に専念できるのかを考えてみましょう。

公的な健康保険の制度の一つに高額療養費制度があります。医療機関(薬局含)で支払った額が1カ月(1日~末日)で一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給されるという制度です。ここで問題なのが、1カ月とは、1日~末日のことである、ということです。月のまたがった治療だと、それぞれの月ごとの計算になってしまいます。この制度のために、翌月の1日を待って治療を始めるのは難しいことです。

次に、先進医療の技術料ですが、陽子線治療が約260万円で、年間2,000件以上実施、重粒子線治療は、約300万円で、年間1,200件以上実施されています。これらの先進医療の治療は公的な健康保険が使えません。全額自己負担ということです

更に、治療の他にかかるお金はどんなものが考えられるでしょうか。
入院が短くても、通院のために仕事を休む方がほとんどだと思います。それも、通院は長期化する可能性があるということも分かりました。体の負担の少ない手術を受けたとしても、仕事を一日も休まなかったという人はいないでしょう。仕事が休める環境ではなく、会社に居づらくなって退職、面接で病気のことを話すと転職が難しく再就職ができないでいるという例も少なくないようです。
がんを原因として休職・休業を考えた経験のある人は59.3%(アフラック保険受給者調査より)。
こうなると、生活費という問題が出てきます。住宅ローンは万一のことがあれば団体信用生命が保障してくれますが、がんの場合も保障してくれるようなものに加入されている人はその分ローン金利の上乗せになるので、少ないと思います。がんになってしまうと、治療に専念するために、数か月分の生活費をカバーできるお金が必要になるということです。住宅ローンも家賃も病気だからといって待ってはくれません。
がん保険の中には、月の生活費を保障してくれる特約のあるものもありますが、毎月の支払いはかなりお高めです。

また女性が思いつくものとして、乳がんになってしまった際の乳房再建術の費用やカツラ代があげられます。再建術の金額は、術法や病院によって違いがあるようですが、保険がきかない方法ですと、片側で50~100万円ぐらいかかります。

このように、治療費、生活費、乳房再建術費用(女性の場合)などを考慮すると、一時金は100万円で足りるでしょうか? 細かい特約は付加しなくても、治療費と数か月分の生活費に当たる一時金と、先進医療特約が欲しいところです。先進医療は医療保険に付加されている方が保障範囲が広いので、がん保険としては、一時金だけのもの、それもある程度の額を準備するのがおススメです。男性の場合年収分ぐらいあると心強いです。ただ残念なことに、年収分ぐらいのがん診断一時金という保険は未だに見たことがありません。最高額でも300万円でしょうか。それも月の保険料はかなりお高めです。

そこで私は、積立型の、ある保険を案内しています。

特定疾病保険をがん保険として利用することの利点

特定疾病保険というものを扱っている保険会社は多いのですが、主力商品として扱っていない会社も多いです。理由を言えば、この保険がお客様にとって良い保険だからです。特定疾病とは、がん、心筋梗塞、脳梗塞のことで、死亡+この3つの病気で所定の状態のときに一時金がおりるという保険です。また、終身タイプですと毎月払った保険料が80%ぐらい(加入年齢により違います)貯まります。いずれかの形で必ず受け取ることができる保険ということです。例えば、1,000万の保障で設定したとして、毎月の支払が3万円だったとします(年齢性別により違います)。がんになってしまった時の1,000万円は心強くありませんか? 治療に専念できた上にしばらく仕事を休んでも生活費の補てんになります。月の支払は高いですが、80%ぐらいが貯まっていくので、無事に老後を迎えられたら切り崩して老後資金の足しに、という選択もできるわけです。貯まるのが80%で、残り20%を保障代と考えるのはいかがでしょう。
私も、このタイプの保険で貯金をしながら、がんの(死亡、心筋梗塞、脳卒中も)一時金の保障を持っています。

貯金の方法のひとつとして、銀行預金の毎月の積立の一部をこちらに充てると考え、がんの保障も持つ。貯金を利用して大きな保障を手に入れるのは、とても効率のいい方法です。
また、死亡保険を持ちながら、がん保障の準備もできているということにもなります。

十分な治療費と、住宅ローンや家賃の一時金を、ある程度の額で用意する、そして、使うことなく無事に老後を迎えられたら、貯金ができている保険。ぜひ、参考になさってください。

  FP事務所エッグプラント 代表 下澤 純子

組織の中で窮屈な思いをする"企業人"に嫌気がさし、自分の「やりたい!」を追求できる"起業人"を選び、充実した独立人生を歩んでいる。
シングルマザーとして苦労しながらも、子供を医大並に授業料が高額な体育大学まで卒業させる。
その過程で身につけた独自の節約理論と飾らない人柄が、多くの家庭の主婦から共感を呼び、口コミでファイナンシャルプランやセミナー講師の依頼が殺到している。
2014年5月に『働く女性がしたたかにしなやかに生き抜く仕事術』を出版。

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