仕事上のトラブルで訴えられるかも?! さまざまな専門職業の賠償責任保険とそのニーズとは

8月ももうすぐ終わり。小学生の娘がいる親としては、ようやく夏休みが終わってくれるとほっとしているのですが、学校に通う子どもを持つご家庭にあながち無関係とはいえないニュースが目につきました。

学校のトラブル「先生のせい」? 増える共済・保険加入

学校で起こるトラブルに備え、教職員賠償責任共済・保険加入者が増えている。その数は12年間で3.8倍。学校全体ではなく、一個人の責任を問われるかもしれないという不安が広がっているためだ。

最近、学校のトラブルで訴えられたり、賠償金を請求されたりする事態に備え、教職員向けの共済・保険加入者が増えているというのです。
全日本教職員組合共済会によると、2002年度から運営している「教職員賠償責任共済」の加入者が、初年度の4,827人から2014年度は3.8倍増の1万8,479人にのぼっているとのこと。
残念ながら教職員全体の加入割合のデータは見つかりませんでしたが、2007年7月12日付の毎日新聞記事によると、「東京都の公立校では教職員の3割強が加入」とあります。おそらく現在の加入割合は、さらに増えているのではないでしょうか。

まさか、こんな理由で学校を訴えるなんて!?

この教職員賠償責任共済・保険は、教職員が業務遂行に関して器物を破損させたり、父兄等に訴訟を起こされたりした場合の賠償金、訴訟費用などを補てんするものです。
実際の支払い事例をみると、次のようなものが挙がっています。

  •  運動会の組体操練習中に、生徒がメガネを外して足元に置いたところ、気付かず踏んで壊してしまった。
  • 卒業アルバム作成時に、生徒の名前に誤りがあったが担当の教員が発見できず、修復が必要となった。
  • 進学指導で生徒に私立X高校の受験を勧めて、X高校に合格した。数年後、親から「公立高校のY高校に進学させれば学費も安く済んだのに、進学指導は間違っていた」と訴えられた。

一昔前なら、学校や先生への責任を追及するなど想像しなかった事例も散見されますが…実際には、訴訟に至らないケースのお見舞金等も補償されているようです。

自治体や学校法人だけでなく、先生に対しても責任を求める動きが

この手の問題の論点となりがちな、学校と父兄のコミュニケーション不足や‘モンスターペアレンツ’の存在、教職員の質の低下などは、この際、脇に置いておくとして、どうやら「責任をだれに求めるか」ということの根本的な考え方の質が変わってきたと感じるのは私だけでしょうか?

基本的に、民法上の不法行為による責任(民法709条)の第一義的な責任は個人にあります。その拡大解釈が使用者責任であり、おそらく学校で何か問題やトラブルが発生した場合、従来であれば責任を問われるのは、学校の設置管理者である自治体や学校法人でした。
ただ不法行為責任を問う場合、訴えの対象をだれにするかは原告である被害者が決めることですので、それが最近、学校等だけでなく、教職員=個人にも責任を求めるようになってきたようです。
教職員賠償責任共済・保険の加入が増加しているということは、かつて‘聖職’といわれた職業であっても、自分の身は自分で守らなければならないという意識の高まりなのでしょう。

教職員以外にも、さまざまな専門職向けの賠償責任保険がある

職務遂行上、法律上の損害賠償責任を負担しなければならない職業は、教職員だけではありません。
いわゆる専門職向けの賠償責任保険には、医師、看護師、弁護士、公認会計士、司法書士、行政書士、公務員等々。専門職業資格を持つ人や専門的事業を営む人を対象とするものが多々あります。

以前、ある大学病院の勤務医の個人相談をした際に、生命保険とは別にこのような損害保険にたくさん加入しておられて、「お医者さまというのも大変なお仕事なのだなあ」と感じたことを思い出します。
これらは、おもに職業別の団体保険制度で運営されていますので、個人で加入することはできません。組合等が団体保険としての制度を導入し、その団体制度に加入する形になります。

私たちFPも、ある意味、お客さまの人生を左右する(かもしれない?)アドバイスをする立場にあります。現時点では、「FP向け賠償責任保険」というのは聞いたことがありませんが、すでにCFP®認定者も2万人を超えています。いずれ近い将来、日本FP協会に、団体保険として制度の導入をお願いする日がくるかもしれませんね。

参考

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