就業不能保険(所得補償保険)とは?~基本的な仕組みを基礎から解説

就業不能保険の基本的な仕組み、医療保険との違いなどについて解説します。

就業不能保険は、生命保険から販売されている第三分野保険(生命保険でも損害保険でも取り扱える保険)で、損害保険ではこれを「所得補償保険」という名称で販売しています。生保と損保では趣旨が異なるため、給付金の出方などに差異はみられますが、”呼び名が違うだけ”だと考えてもらっても差し支えありません。

収入保障保険という保険もありますが、これはまったく別のものです。収入保障保険との違いはこちらの記事で詳しく解説していますので合わせて参考にしてください。

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病気やケガで働けず給料が出ないときの穴埋めに使う

就業不能保険は、その名のとおり「就業不能状態を保障する」ための保険です。病気やケガなどで働くことができず、所得(収入)が得られなくなったとき、復帰するまでの間を給付金でカバーすることができます。

給付金は、月額○○円などと定額を決める商品もあれば、現在の収入を基準に、その○%を確保という形で決める商品もあります。いざ支払事由を満たした場合、契約した給付額が月々支払われ、「最長○年間」や「○歳まで」など、保障期間がくるまで受け取れます。

基本的には定期保険で、長期間、加入するためには更新し続けなければならず、途中で解約しても返戻金はありません(掛け捨てです)。

実際の契約例

日立キャピタル損害保険の『長期所得補償保険』で見積もってみました。

契約者男性・30歳、会社員(営業職・販売職[危険物を除く])
保険期間5年間
支払対象外期間60日
保険金(補償内容)月額20万円(最長5年間)
月払保険料4,220円

病気やケガで働けなくなった場合、以後の最長5年間、月額20万円が給付される契約です。ただし、「支払対象外期間」があり、この例では働けなくなってから60日以内は保険金を受け取れません。これは、期間内は有給休暇や公的保険などで対応可能だろうという意味で対象外になっている模様です。

保険料は月払で4,220円と出ましたが、定期保険ですので更新するたびに上がっていきます。同じ商品・補償内容で見てみますと、35歳時の更新で5,040円、40歳時の更新で6,800円となります。また、ケガなどをしやすい危険な職業に就いている人は、保険料が高くなる場合があります(ここでは会社員(営業職・販売職[危険物を除く])で見積もり)。

「免責期間」「給付条件」「給付限度」の違いに注目

就業不能保険そのものは目新しい保険ではありませんが、保険会社が商品開発に力を入れだしたのはここ数年の話であり、そのせいか、商品スペックは各社バラバラであることが多いです。「精神疾患による就業不能状態は保障されるのか?」「妊娠・出産関連の傷病はどうなのか?」「免責期間は何日なのか?」等々、支払事由を満たす「就業不能状態」の定義にはじまり、「免責期間」や「給付条件」も違います。

参考までに、就業不能保険、または就業不能特約を販売している、ライフネット生命、チューリッヒ生命、住友生命、東京海上日勤あんしん生命、太陽生命のスペック表をまとめましたのでご覧ください。

単体で加入できる特約・セットプラン
会社名ライフネット生命アフラックチューリッヒ生命住友生命東京海上日動あんしん生命太陽生命
商品名就業不能保険
働く人への保険2
病気やケガで働けなくなったときの給与サポート保険働けなくなったときの生活保障保険
くらすプラス
Wステージ 未来デザイン 1UP
(生活障害収入保障特約)
家計保障定期保険
就業不能保障プラン
保険組曲Best
働けなくなったときの保険
保険期間55・60・65・70歳60・65歳終身(ストレス性疾病保障付就業不能保障特約は60歳)64歳主契約の保障期間満了まで10年(65歳満了)
免責期間60日・180日60日60日なし(介護は180日)60日(介護は180日)30日(介護は要介護2以上など)
給付条件入院または在宅療養入院または在宅療養がん・急性心筋梗塞・脳卒中・肝硬変・慢性腎不全で60日超の入院、または、就業不能状態、所定のストレス性疾病で60日超の入院などa)就労不能・介護年金(基本年金額)=障害年金1・2級認定、所定の就労不能状態など
b)就労不能・介護保障充実給付金=所定の要介護状態
c)特定障害給付金=精神障害で障害年金1・2級認定、180日以上継続入院
がん・急性心筋梗塞・脳卒中・肝硬変・慢性腎不全で入院または就業不能状態、所定要介護状態180日超継続がん・急性心筋梗塞・脳卒中・災害によるケガで入院または就業不能状態、要介護2以上認定など
給付金額月10万~50万円で5万円単位月5万~40万円(職業で異なる)、無事故支払金あり・入院61日目から180日目まで、入院給付金日額5,000円(1入院120日
・通算1,095日限度)
・月額10万円
a)基本年金額×生存の限り(64歳まで)
b)基本年金額×20%(最高5回・通算10回分
c)基本年金額×3年分(1回のみ
月額で設定月額で設定
給付限度額・年齢就業不能状態が継続する限り、保険期間が満了するまで支払い開始後、6か月間は職場復帰しても支払われる。7か月目以降は就労困難状態が継続する限り、保険期間満了まで年金受取期間5年(受取総額600万円)・
10年(受取総額1200万円)から選択
生存の限り64歳まで(最低支払保証期間5年)5年間(最低支払保証2年・5年から選択)65歳まで(最低支払保証期間5年・10年から選択)
※2016年8月28日現在の各社ホームページの情報をもとに作成。
※情報は一部です。詳細は各社HPをご覧ください。

各社でかなり異なることがわかったと思います。特に注目したいのは、「免責期間」「給付条件」「給付限度」の3つ。「なし」のものもあれば「180日」のところもあり、基本的に短いほうが有利かと思いきや、その代わり給付条件が厳しかったりします。給付限度は現役時代をカバーできるものが多いですが、チューリッヒのように一定期間から選ぶしかない商品もあり、ニーズと異なる場合は見落とし禁物!です。

また、スペースの都合上、表には掲載できませんでしたが、ライフネット生命は精神疾患が保障対象外、アフラックは妊娠・出産にかかわる傷病が保障対象外など、”守備範囲の違い”にも注目です。

医療保険とはどう違うの?

病気やケガになったときの保険なら、医療保険でいいんじゃないの?と思う人もいるかもしれません。

確かにそのとおりですが、医療保険と就業不能保険はそもそもの仕組みが違います。医療保険は、原則として入院した場合に保険金が支払われる保険です。言い方を変えれば、入院しなければ給付はありません。一方、就業不能保険や所得補償保険の場合、入院の有無にかかわらず、病気やケガで働けない状態になれば保険金を受け取れます。

入院して手術を受け、その後は自宅で療養する……といったケースでは、入院中は医療保険の給付を受け、自宅療養の間は就業不能保険から給付を受けるといった棲み分けになります。

また、医療保険の入院給付には支給される日数の上限がありますから、それを超えて入院が続いた場合も、就業不能保険が役立ちます。

このように、医療保険と就業不能保険は使い分けるか、互いを補うような保険だと言えます。両者の比較は、こちらの記事でも詳しく行っていますので参考にしてください。

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