健康増進型保険は1つの商品ジャンルになったのか!?

健康増進型と呼ばれる保険の後発商品が出てきました。そこで、先発商品のおさらいと後発商品の概要を見てみたいと思います。そして、1つの商品ジャンルとして確立されたのかも考えてみました。

明治安田生命も健康増進型保険

《概要》明治安田生命は、健康状態によって保険料を割り引く「健康増進型保険」を4月2日に発売すると発表した。<中略>健康増進型の保険は生保各社が力を入れている。

目次

健康増進型保険の先発商品の概要をおさらいしてみると…

健康増進型保険は、加入時に、健康体割引のしくみを用いて健康状態を問う商品もありますが、契約後の健康増進の取り組みに重点を置いている商品の方が多い状況です。所定の取り組みをすると、保険料が割り引かれたり、キャッシュバックされたりという形で、健康増進の取り組みにインセンティブを与えることを目的としています。まず、先発商品の概要をおさらいしておきましょう。

東京海上日動あんしん生命の「あるく保険」

東京海上日動あんしん生命の「あるく保険」は、入院と手術・放射線治療を一生涯保障する終身医療保険に、健康増進還付金特約をつけた保険です。1日平均8,000歩以上歩くことが条件で、半年ごとに達成状況に応じて2年ごとに保険料の一部がキャッシュバック(健康増進還付金)されます。

ネオファースト生命の「健康年齢」

ネオファースト生命は、「健康年齢」という、今の健康状態を年齢で表した指標を用い、健康年齢が若いほど保険料が安くなるというしくみを取り入れています。特定生活習慣病入院一時金保険と7大生活習慣病入院一時金保険の加入者が対象です。3年ごとの更新時に算出し直され、更新後の保険料は、健康年齢が若いほど安く、健康年齢が上がってしまうと保険料も上がります。

住友生命の「バイタリティ―」

住友生命の「バイタリティ―」は、契約時に、健康増進乗率適用特約+健康プログラム契約(利用料月864円)で保険料が15%引きになります。その後、健康増進の取り組みに応じてポイントがつき、1年ごとにポイントを合計してステータスを判定し、翌年の保険料の割引・割増率が決まります。割引は-2%・-1%(割引上限は30%まで)、割引・割増なしの±0%、割増は+2%(割増上限は10%)の4段階のステータスがあります。特約がつけられるのは、総合保障タイプと医療保障タイプです。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「じぶんと家族のお守り・健康チャレンジ制度」

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「じぶんと家族のお守り・健康チャレンジ制度」は、契約後に、保険料が最安値の非喫煙健康体に該当しなかった場合、一定期間内に健康チャレンジできる制度です。チャレンジに成功すると、保険料率が変わり、以後の保険料が安くなります。加えて、契約時からチャレンジ成功までの保険料の差額がキャッシュバックされます。収入保障保険「じぶんと家族のお守り」と定期保険にセットできます。

後発の健康増進型保険は、毎年、健康診断を受けるのがポイント!

次に、後発商品の内容について見てみましょう。

アフラックの健康応援医療保険…アフラック

  • 健康年齢が実年齢より若ければ保険料の一部をキャッシュバック

2018年10月に発売されたこの保険は、健康年齢が実年齢より若ければ、健康還付金をキャッシュバックするネット専用の終身医療保険です。ネット専用の健康増進型保険は日本初だそうです。

この保険は、加入時は通常の告知で契約の可否が判断されます。契約後は、毎年、基本情報(年齢・性別)と健康診断結果(身長、体重、血圧、血糖値・肝機能に関する血液検査結果)を「契約者専用サイト」、または、スマホアプリ「ココからダック」で送信することで健康年齢が判定され、実年齢より若ければ保険料の一部を健康還付金としてキャッシュバックします。入院・手術の給付金を受け取っても、健康年齢が実年齢より若ければ、キャッシュバックを受けられます。キャッシュバック額は、年齢・性別で異なり、受け取れるのは60歳までです。

保障内容は、入院、手術・放射線治療、先進医療です。ただ、1入院の支払い限度日数は30日(がん・心疾患・脳血管疾患・肝疾患・腎疾患・膵疾患の重大疾病は120日)と、重大疾病以外の病気・ケガ入院は1入院の限度日数が短いことは要注意です。

キャッシュバックを受けるために、健康年齢を実年齢より若く保つアクションをし続けるインセンティブになるかもしれませんが、医療保険としての保障内容やキャッシングは60歳までの点が気になります。

ベストスタイル 健康キャッシュバック…明治安田生命

  • 健康診断結果を提出するだけで保険料の一部をキャッシュバック

2019年4月に発売される「ベストスタイル 健康キャッシュバック特約」をつけることで、保障に加え、「健康増進の取り組みを応援する機能」を提供するものです。

加入後、毎年、健康診断を受診し、その結果を提出すると、最大で保険料の1ヶ月分をキャッシュバックするとともに、健康増進に役立つ情報を記載した「MY健活レポート」が受け取れます。

健康診断結果はポイント化され、3区分のキャッシュバックランクを判定します。ランク1は保険料1ヶ月分相当、ランク2は0.5か月分相当、ランク3は0.1か月分相当です。ランクは、毎年の結果で変動します。健康診断書を提出しなかったら、その年はキャッシュバックを受けられません。病気をしたなどで数値が悪くなっても、提出さえすればランク3になり、0.1か月分相当のキャッシュバックを受けられます。

健康診断書を提出するだけで、前年より数値が悪くなってもキャッシングがあるので、かなり「ゆる~い」健康増進型といえそうです。

後発の2商品は、毎年、健康診断を受けるのがポイントです。

なお、日本生命でも、健康増進を後押しする「サンクスマイル」のサービスを提供しています。これは、「ニッセイみらいのカタチ 特定重度疾病保障保険”だい杖ぶ(だいじょうぶ)”の契約者向けで、健康診断・がん検診の受診、スポーツイベントの参加、1日8,000歩を月15日達成したと登録したなどのアクションごとにマイルが付与され、一定マイルになると賞品と交換できるものです。

まとめ

類似の商品がいくつ登場すれば1ジャンルといえるのかの定義は特にありませんが、日本生命の「マイルサービス」、第一生命の「健診割(健康診断割引特約)」も健康増進型の類型と考えると、住友生命、明治安田生命の大手4社が取り扱っていることになり、これはもう1ジャンルといってよさそうです。

ただ、対象になる保険種類も、しくみも見事にバラバラで比較は全くできません。

取り扱い会社の顧客であるとか、その商品の保障内容と保険料、健康増進のしくみに納得できる商品を選んでもらうしかありません。保険料の割引やキャッシュバックなど、何か、ごほうびがないと健康増進のアクションを継続できない人にはいいでしょう。

なお、健康増進型に入るかどうかは別にして、保険加入後も、健康を増進させないまでも、健康を維持する努力は継続していきたいものです。

参考

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この記事を書いた人

1994年、ファイナンシャルプランナー資格取得。その後、独立系FPとして、長年にわたって携わってきた一般誌やムック、単行本などの編集・ライターの経験を活かし、マネー系記事の執筆・監修の他、セミナー講師として活動。最近は、終活や生前整理など、人生のしまい方にもフィールドを広げている。

複雑でわかりにくい保険や社会保障制度など、身の周りのお金に関する様々なコトを「わかりやすくひも解く」がモットー。

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