救急車が有料になるかも? 現実化する前に知っておきたい公的&民間サービス

だれでも、事故や急病などの際に真っ先に思い浮かぶのが「救急車を呼ぶ」こと。日本では無料ですが、これが将来有料になるかもしれません。

5月中旬に行われた国の財政の在り方について検討する財政制度等審議会において、財務省が示した案の中に「軽症の場合の有料化などを検討すべきではないか」という内容が盛り込まれたのです。

救急車:「有料化」提案 財務省、軽症者対象に

財務省は、5月中旬に行われた国の財政の在り方について検討する財政制度等審議会において、救急車の一部有料化を提案した。軽症にもかかわらず救急車を呼んだ場合、費用を請求する案などが浮上している。年間2兆円にものぼる消防関係予算を削減するのが狙いで、6月中にもまとめる政府の財政健全化計画に盛り込みたい考えだという。

 

増え続ける救急車の出動件数と呼ぶほどでもない?「軽症者」の利用

その背景として挙げられるのが、年々増え続ける救急搬送の現状です。

平成26年12月発表の統計によると、平成25年中の救急車による出動件数は約591万件、搬送人員は約534万人と、いずれも過去最高を更新。そして傷病程度別の搬送者を見ると、軽症が約半分(49.9%)を占めています。

この「軽症」とは、入院加療を必要としない、外来受診で治療が終了した状態のこと。要するに、自力で病院に行って治療を受けられる程度を指します。

平成元年以降の推移からも、軽症や中等度が増加する一方で、重症や死亡は減少していることがわかります(図表参照)。

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出典:総務省消防庁「平成26年版 緊急救助の現況」 //www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_3.html

 

驚きの理由で救急車を呼びつける‘トンデモ’利用者

さらに、軽症の患者さんよりも問題なのが、救急車の‘トンデモ’利用者の方々。

消防庁が作成した『救急車利用マニュアル』によると、常識では考えられない理由で救急車を呼ぶ実例が紹介されていました。

たとえば・・・

  • 蚊に刺されてかゆい
  • 海水浴に行って、日焼けした足がヒリヒリする
  • 紙で指先を切った。血は止まっているが…
  • 今日入院予定日だから、病院に行きたい

駆けつけた救急車の担当の方が気の毒になるような驚きの理由ばかりです。

どうやら、高齢者世帯の増加によって、日々の健康上の不安が高まり、ちょっとした身体の異変で救急車を呼ぶ傾向が強くなっていること。通院のタクシー代などの交通費を節約するために、救急車をタクシー代わりに利用する人が少なくないことなども挙げられるようです。

『救急車利用マニュアル A guide for ambulance services(総務省消防庁)』

救急車を呼ぶべきか迷ったら「#7119」「#8000」をプッシュ

一方で有料化すると、「軽症だと思っていたが実は重症だった」といった症状の人が救急車の利用を避け、重症化させるリスクも指摘されています。

そこで利用したいのが、短縮ダイヤル「#7119」です。

この番号にかけると「救急相談センター」につながり、常駐している医師や看護師が判断をバックアップ。24時間対応・年中無休で、応急処置の方法や夜間でも診察可能な医療機関を紹介してくれます。電話での聞き取りで容体などを確認した上で、緊急性が高いと判断されれば救急車が出動するしくみです。

なお、子どもの場合の専用ダイヤルは「#8000」です。お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科の医師や看護師からお子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や受診する病院等のアドバイスが受けられます。

民間保険の付帯サービス「健康相談サービス」も利用価値大

前掲の短縮ダイヤルは、私自身もピアサポートをしているがん罹患者やご家族にお伝えして、在宅で容体が急変した際の利用をお勧めしています。

ただし残念ながら、「#7119」は、東京や大阪、名古屋など一部の都市に限られているサービス(「#8000」は全国同一)です。

そこで、対象外の地域にお住まいの方などは、加入している民間保険の付帯サービスをチェックしてみてはいかがでしょうか?

ここ数年、多くの保険会社では、「医療・健康」分野の付帯サービスを充実させる傾向にあり、その中に、医師や看護師、保健師等による健康医療に関する電話相談―「健康相談サービス」が提供されていることがあります。

すべての保険契約者を対象にしているとは限りませんが、利用できるのであれば、活用しない手はありません。

もし有料化されたらその金額は?

今回の有料化の議論にあたっては、フランスの「重症者以外について30分あたり約34,000円」、ドイツの「基本料金約67,000円」など、すでに一部有料化している諸外国の例が挙げられています。地域や対象者などによってケースバイケースとはいえ、いずれも気軽に支払える金額とは言えません。

実際に有料化されるかどうは別にしても、とくに高齢者や乳幼児などの場合、休日や夜間、年末年始など、救急車を呼ぶべき状態かどうか判断が難しい場合もあるでしょう。

そんなもしもの時に備えて、ご自分が活用できるサービスの情報は、あらかじめ入手しておきたいものです。

参考

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