熊本地震発生、ボランティアはボランティア活動保険に入ってから行こう!

このたびの熊本地震で亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまには心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を図るべく、国や金融機関は被災者支援を行っています。それらの主なものをまとめました(4/21現在)。また、個人でボランティア活動に行こうと考えている方がいると思いますが、行く前に入って欲しいボランティア活動保険を紹介します。

熊本地震、死者41人に…千人孤立・9万人避難(4/20現在)

《要約》16日午前1時25分頃、熊本県を震源とする地震があり、熊本市中央区や同県南阿蘇村などで震度6強を記録した他、大分県別府市、佐賀県で震度6弱~5強を観測し、その後も地震が断続的に発生した。~略~気象庁によると、(16日)午前1時25分頃の地震は震源の深さ約12キロ、地震の規模を示すマグニチュードは7.3で、14日の地震の6.5を上回り、今回の地震を「本震」として、14日の地震を「前震」と位置付けた。一連の地震は「熊本地震」と名付けられた。

目次

地震で被害を被ったら公的支援が受けられる

4月16日から熊本県・大分県で多発している地震は、改めて、日本は地震大国であることを再認識させられた大災害でした。4月21日付の日本経済新聞によると、熊本地震による死者は59人、損壊家屋は8600棟程度、避難者は約9万2000人と、甚大な被害をもたらしています。

地震発生直後から、国は被災者の救助・救援活動を行うとともに、生活再建のための支援策を次々と打ち出しています。支援策は省庁を横断する総力戦ですが、厚生労働省の支援策の中から、一般の人に関わりがありそうな3つをピックアップして紹介します。

避難生活が落ち着いたら、自治体の窓口などで確認して手続きが必要なことは手続きをしてください。

1.保険証なしで医療機関の受診が可能

公的健康保険証を持たずに非難された方が多いと思います。その場合は、窓口で指名・生年月日・連絡先などを伝えれば受診できます。

2.国民年金保険料の免除

住居・家財・その他の財産におおむね1/2以上の損害を受けた人は、申請より全額または一部免除が受けられます。

3.失業給付が受けられる

地震で事業を休止・廃止のために離職を余儀なくされた方は、事業再開後の再雇用が予定されていても、雇用保険の失業給付が受けられます。

今回の地震で亡くなった方の遺族、重度の障害を負った方には、国から資金的援助が受けられます(下表参照)。

災害弔慰金・災害障害見舞金の支給額
 給付対象等 災害弔慰金 災害障害見舞金
 受け取れる人  配偶者、子、父母、孫、祖父母 本人
受け取れる
金額 
 生計維持者 500万円 250万円
 その他の方 250万円 125万円

また、多くの住宅が損害を被っていますが、その場合、被災者生活再建支援制度による、被害程度と再建方法に応じた支援金が支給されます。

被災者生活再建支援制度による支給額

●基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給される)

 住宅の被害程度 全壊解体長期避難大規模半壊
 支給額100万円   50万円
●加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給される)
 住宅の再建方法 建築・購入補修賃貸(公営住宅以外)
 支給額200万円  100万円50万円

民間金融機関も被災者支援に乗り出している

被災者の生活再建には、お金の問題は避けては通れません。そのため、民間金融機関も、被災者支援策を打ち出しています。生命保険、損害保険、銀行の支援策をまとめました。

【生命保険】災害関係特約の保険金・給付金は減額されない

生命保険は、一般的に、災害関係の特約については保険金・給付金を削減または支払わない場合がある旨の規定を設けていますが、これまでの大地震においては、一度もこれを適用していません。今回の地震においても同様の対応で、保険金・給付金は100%支払われます。また、生命保険各社は死亡・入院給付金などの請求手続きの際、必要書類を一部省略するなどで迅速に支払う体制を整えました。さらに、被災契約者からの申し出で、保険料払込猶予期間を最長6か月延長します。

【損害保険】地震保険・特約による保険金の支払いを迅速に!

損害保険各社も、保険料払込猶予期間を最長6か月延長します。また、継続契約の締結手続きも、最長6か月の猶予期間を設けました。

【銀行】二重ローン問題に対応するガイドラインを初適用

今回の地震で保険金が支払われるのは、建物・家財に地震保険をつけているケース、自動車保険や傷害保険などに地震・噴火・津波による損害を補償する特約をつけているケースです。保険金の支払いを迅速に行うため、保険会社による立会い調査を省略することも決定しました。

被災住宅の後片付けを始める前に、全体や部分アップなどの写真をたくさん撮っておくといいそうです。

ここ数十年、地震に限らず、台風や集中豪雨など大規模な自然災害が何度も日本列島を襲い、住宅ローンを借りている被災者が住宅再建をするために新たに住宅ローンを借りる二重ローンが問題になっています。この問題を受け、全国銀行協会では、法的倒産手続きによらず、債務整理を申し出るための枠組み「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を作成し、熊本地震で始めて適用されることになりました。

ボランティア活動保険はボランティア活動中の様々な補償がある

被災地では災害ボランティアの募集を開始しました。ゴールデンウィークの長期休暇を利用してボランティア活動をしに行こうと考えている方もいるでしょう。そんな方は、ボランティア活動中の様々な事故によるケガや損害賠償責任などをカバーする「ボランティア活動保険」への加入をおすすめします。補償内容と保険料は下表の通りです。

ボランティア活動保険の補償内容・保険料(1人当たり)
項目AプランBプラン
ケガの補償死亡保険金1200万円1800万円
後遺障害保険金1200万円限度1800万円限度
入院保険金(1日)6500円1万円
入院中の手術保険金6万5000万円10万円
外来の手術保険金3万2500円5万円
通院保険金(1日)4000円6000円
特定感染症の補償上記後遺障害、入院、通院と同額
葬祭費用保険金
(特定感染症)
300万円限度
賠償責任の補償賠償責任保険金
(対人・対物共通)
5億円限度
タイプAプランBプラン
基本タイプ300円450円
天災タイプ430円650円

Aプラン、Bプランのどちらでもいいですが、地震・噴火・津波の補償がある天災タイプを選びましょう。Bプラン・天災タイプでも、保険料は650円なので、こちらの方がいいかもしれません。今回、入っておけば来年3月31日までは補償されるので、その間なら熊本県に何度行っても、他の地域に行っても補償されます。加入手続きは、最寄の社会福祉協議会でできます。

ボランティア活動に行く前に、被災地の情報をチェックし、「心得」を守って活動を行いましょう。

参考

  • 災害ボランティアについてはこちらで確認を(全国社会福祉協議会)
    //www.shakyo.or.jp/
よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

1994年、ファイナンシャルプランナー資格取得。その後、独立系FPとして、長年にわたって携わってきた一般誌やムック、単行本などの編集・ライターの経験を活かし、マネー系記事の執筆・監修の他、セミナー講師として活動。最近は、終活や生前整理など、人生のしまい方にもフィールドを広げている。

複雑でわかりにくい保険や社会保障制度など、身の周りのお金に関する様々なコトを「わかりやすくひも解く」がモットー。

目次
閉じる