「痴漢冤罪保険」が売れるワケ。今は「逃げずに弁護士」が常識!?

たとえ冤罪でも、痴漢で捕まって起訴されればほぼ有罪。これまでの常識は「捕まるな、逃げろ」というものでした。しかし、逃げたことで事故に遭ったり、監視カメラもあって逃げ切れなかったりと、逃げる方が結果を悪くすると知られるようになってきました。今は、逃げずに弁護士を呼ぶことがベストの方法になりつつあります。

痴漢冤罪の際に即、弁護士にアクセスできるサービスが付いた通称「痴漢冤罪保険」に注目が集まっています。

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痴漢冤罪事件が後を絶たない

それは、このコラムを書いている間にも起きました。6月3日午前0時すぎ、JR総武線平井駅で、女性が痴漢に遭ったと緊急停止ボタンを押し、警察官が駆け付ける騒ぎになったのです。男性は電車を降ろされ、連行されたと報じられました。

ところが、痴漢は冤罪で女性の勘違いだったことが判明します。周囲にいた人達は、男性が電車内で両手を上に上げてスマホを操作していたことを目撃していたのだそうです。

全く身に覚えのないことで警察に連行される瞬間の男性の心境を考えると、どれだけ不安だったろうと思います。思わず、「満員電車で両手は上だよ」と弟や息子に電話をかけてしまいました。冤罪であることが証明されなければ、人生が終わる事態にもなりかねないわけですから。

先月も、痴漢を疑われた30代の男性が逃亡を図って線路内に飛び降り、電車にはねられて亡くなった事件が報道されました。本当に痴漢をしたのか冤罪だったのかは不明ですが、もしも冤罪だったとしたら浮かばれません。家族もいたたまれません。

なお、リストラに応じない社員などを辞めさせるために痴漢被害を工作したり、示談金狙いで実際には起きていない痴漢被害を訴える女性もいると聞きます。そうでなくても、痴漢冤罪に巻き込まれるだけでも大きな問題です。痴漢冤罪は本人のキャリアに関しても、家族にとっても大きなリスクと言えます。

痴漢を疑われたら逃げない方がいい!?

痴漢冤罪というと、映画「それでもボクはやってない」(周防正行監督、2007年)を思い出します。主人公・金子鉄平が満員電車で痴漢に間違われ、話せば分かってもらえるだろうと駅事務室に行ったところ警察に連行、留置されてしまう。もちろん、身に覚えがない鉄平は納得できるはずがなく、家族や友人の協力を得て無罪を立証しようと奮闘するのですが……。痴漢冤罪の怖さが胸に刻まれた作品でした。

かつては、「痴漢は冤罪でも捕まったらおしまい。とにかく捕まるな」というのが、専門家のアドバイスの中心でした。多くの人の頭に刷り込まれていると思います。

しかし最近は、痴漢を疑われて逃げる中、前述のように電車の事故に遭ったり、高所から転落する事故も起き、問題になり始めています。また、容疑を否認している限り身柄の拘束が続く(最大23日間)とされていたものも、最近は勾留されないケースも増えているそうです。

いずれにしても、逃げても監視カメラの目があって逃げ切れなくなっています。罪状を増やさないためにも、冤罪であればなおさら逃げない方がよさそうです。

では、どうしたらいいのかというと、冤罪に巻き込まれた段階で逃げずにすぐに弁護士に連絡するか来てもらう、家族や友人に頼んで弁護士に連絡してもらうことが1つの方法だそうです。きちんと対処をすれば、タイミングによっては警察に引き渡されずに済む、あるいは勾留されないようにしてもらうことも可能だそうです。

「痴漢冤罪保険」とは?

痴漢冤罪に巻き込まれたときの「マニュアル」が書き換わる一方で、「痴漢冤罪保険」と呼ばれる保険が急激に契約を増やしています。実は「痴漢冤罪保険」はあくまでも俗称で、正式名称は「痴漢冤罪・被害ヘルプコール付き弁護士費用保険」。ジャパン少額短期保険が扱っています。

「弁護士費用保険」については、同社でも他の少額短期保険会社でも以前から扱っていましたが、ジャパン少額短期保険では、2015年9月以降に無料サービスの「痴漢冤罪ヘルプコール」と「痴漢被害ヘルプコール」を付けたことから評判に。痴漢冤罪だけでなく、痴漢被害に遭ったときでも弁護士を呼べるサービスです。特に「痴漢冤罪ヘルプコール」は、昨今の痴漢冤罪トラブルが報じられる度に話題として高まっています。

痴漢冤罪・痴漢被害が発生したときには、契約者は携帯電話やスマホのヘルプコール利用画面のボタンを押します。すると、位置情報などとともに登録された弁護士に一斉にメールが送信され、対応可能な弁護士が電話番号などをメールで送り、契約者が弁護士に電話をかけてアドバイスをもらうという流れです。必ずしも弁護士が駆けつけるわけではないようです。

事件発生後48時間以内の相談料や接見費用(交通費等含む)は保険で補償されます。ただし、本当に痴漢をした場合は補償されません。保険期間は1年で、ヘルプコールが利用できるのは年1回までです。保険料は月払で590円、年払なら6,400円。

知り合いに弁護士がいてすぐに相談できる環境があればこの保険は不要ですが、満員電車で通勤している男性会社員などはこのヘルプコールを目的に入る人もいるようです。年1回までしかヘルプコールはできませんが、そのための費用として6,400円が高いか低いか。検討してみるといいでしょう。

■「痴漢冤罪・被害ヘルプコール付き弁護士費用保険」の概要
保険金の種類弁護士費用等法律相談費用個人賠償責任保険料
保険金額最高300万円最高10万円最高1,000万円月590円
(年払6,400円)

<契約者の特典>

  • 痴漢冤罪ヘルプコール(年1回まで)
  • 痴漢被害ヘルプコール(年1回まで)
  • 弁護士無料相談(事件発生から48時間以内)

 

参考

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この記事を書いた人

経済誌・経営誌などのライターを経て、1994年より独立系ファイナンシャル・プランナー。FPラウンジ 代表。個人相談やセミナー講師の他、書籍・雑誌の記事や記事監修などを行っている。95年、保険商品の全社比較を企画・実行して話題に。「保険と人生のほどよい距離感」をモットーに保険相談に臨んでいる。ライフワークとして大人や子どもの金銭教育にも携わっている。座右の銘は「今日も未来もハッピーに」。

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