大雨災害で生活再建のための公的支援や保険の効果とは?

ここ最近では地震や竜巻、大雨が多発している中、今年7月、西日本では記録的な豪雨で土砂崩れや河川の氾濫といった、過去30年の中でも最悪な洪水被害となりました。被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。

そして現在も被災者の方の生活再建が進められていますが、衣食住だけでなく仕事などにおいても今まで通りに生活に戻るまでには時間もお金もかかってくることでしょう。

国や自治体でどのような公的支援が受けられるのか、火災保険に加入していた場合の給付内容について見てみましょう。

目次

国や自治体による公的支援制度の内容

被害直後は最低限の衣食住の支給が行われ、自宅に戻れない場合には仮設住宅などでの生活の余儀なくされることでしょう。

さて公的支援としては、洪水や地震などの自然災害によって、住まいが全壊するなどの被害を受けた場合に「被災者生活再建支援金」、被害が一定で応急処置で住めるようであれば「住宅の応急修理制度」などの給付制度があります。また家族が亡くなったりケガをしたりした場合に生活を手助けする給付金として「災害弔慰金」「災害障害見舞金」もあります。

さらに給付制度だけではなく、お金を借りることができる「災害援護資金の貸付」や会社経営への債務返済の猶予、農林漁業者に対しての無利子の融資なども設定されています。

災害時期や地域によって各自治体の公的支援制度が異なりますが、主な内容をもう少し細かく見てみましょう。

住まいの損害をカバーする「被災者生活再建支援金」や「住宅の応急修理制度」

自然災害などの影響で住まいが全壊や半壊などの被害になった場合に、生活再建のサポートとして給付が受けられる制度です。この給付金は持ち家か賃貸かに関わらず給付対象となります。

以下表の通りで、住まいが全壊の被害の場合には基礎支援金が100万円、新たに建設した場合には200万円の支給でトータル300万円が支給され、被害の度合いによっても金額が異なります。また半壊や応急修理で居住できる場合は「住宅の応急修理制度」が支給されます。

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各支援金には住宅の被害度合いを証明する「罹災証明書」が必要になります。申請窓口は各市町村となり、時間もかかるために手続きできる方は早めにしておいた方が良いでしょう。

家族の死亡や重度のケガした場合の「災害弔慰金」、「災害障害見舞金」

自然災害によって世帯主やその家族が亡くなられた場合には「災害弔慰金」が給付され、死亡に至らなくても重度のケガをした場合には「災害障害見舞金」が支給されます。

給付対象となる「災害」とは、暴風・豪雨・豪雪・洪水・高潮・地震・津波その他の異常な自然災害により被害が生じた場合です。

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生活資金の借りることができる「災害援護資金の貸付」

自然災害によって住まいが全壊・半壊したり、家財の1/3以上の損害や世帯主が負傷した場合には、生活資金などを借りることができます(所得制限があります)。

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<会社経営や農業を営む方へ>

小規模企業共済の契約者への貸し付けの拡充などの金融支援措置を講じます。

  • 中小企業や小規模事業者…債務返済の猶予
  • 農林漁業者…災害関連での融資として5年間、無利子。

火災保険に加入することで経済的にどうカバーできる?

火災保険は建物および家財に対して補償する保険です。火災の被害だけでなく、落雷や水害、風災などをカバーし、ここ最近では自然災害での支払いが増加しています。

火災保険の補償内容としては「火災・落雷・破裂・爆発」、「風災・雹災・雪災」、「水災」、「電気的や機械的事故」が付帯できますが、今回のような大雨被害の場合には「水災」が付帯されていれば保険金対象となる可能性があります。

水災事故の場合の支払い例は下表の通りで、損害割合が一定の場合には「床上浸水」(もしくは「地盤面から45cm以上の浸水」)がポイントになってきます。保険商品によっても住宅火災などであれば水災が対象外になっていますし、保険会社によっても水災の査定内容に違いがあるかもしれません。

最近では、水災の他にも竜巻や風災、地震とった自然災害が多発していますので、火災保険に加入している方は、保険証券でご自身の補償内容を確認してみましょう。

損害保険会社の支払い例

損害保険会社の支払い例

また死亡やケガした場合には、一般の生命保険や医療保険などでもいくら位の保障があるか前もって確認しておくことも必要です。保険の対象となった場合には、公的支援とは別に経済面で助けになります。もし被害に遭って証券が紛失した場合でも無効にならないため、落ち着かれたら保険会社もしくは日本損害保険協会などに問い合わせが可能です。

【そんぽADRセンター】
受付時間 9:15~17:00(土・日・祝日および12月30日~1月4日を除く)
ナビダイヤル 0570-022808(通話料有料)

多発する自然災害に対してもどう備えていくかは各家庭によって違いはあるものの、いつ起こるかわからない災害に対して、経済準備もできるだけしておきたいものです。

もちろん上記のような公的支援の給付がされつつも、経済面で充分というとそうではありません。被災後の生活がどうなるかは自助努力で差が出てきます。火災保険で水災の補償が付けられていた場合、被害が全損になった場合には保険金で家を立て直すことも可能かもしれません。

もし災害に遭ったらどうすべきか…、他人事ではなく、震災グッズの準備や連絡方法のほかにも、わが家の貯蓄残高や公的支援内容、火災保険や生命保険などの経済面でのケアについてもトータルでチェックしておきましょう。

参考

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この記事を書いた人

大手損害保険会社を経た後にFPとして独立し、現在は企業研修やマネーセミナー講師、個人相談、執筆等で活躍する。女性がいつまでもキラキラ輝くための「稼ぎ続けられるキャリア形成&一生活用できるマネー知識」の普及を推進中。K’sプランニング

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