「ノーリタイヤ&公的年金を増やす工夫」は人生100年時代を生き切るための両輪!!

2017年9月、国は「人生100年時代構想会議」を設置、人生100年時代を見据えた経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインに係る検討を行い始めました。少し遅いような気はしますが、超長寿を前提にした国のシステムを構築しようという姿勢は評価できます。

一方、個々人も、厚生年金に加入したり年金を繰り下げたりして、長生きに備え始めたようです。ただ、その一輪だけでは人生100年時代を生き切ることは難しいと思われます。そこで、ノーリタイヤ(生涯現役)をもう1つの車輪として、両輪で臨むことを提案します。

公的年金 少しでも増やす
厚生年金加入や受給繰り下げ「人生100年」備え広がる

《概要》将来の年金額を増やすために厚生年金に積極加入したり、年金の受給開始時期を繰り下げたりする人が増えている。特に厚生年金の加入者増は国の予想を上回るペースだ。

目次

年金を増やす工夫をしている人たちが増えている!

厚生年金保険制度が改革され、2016年10月から加入対象者が拡大されています。主に、パートで働く主婦たちですが、厚生年金に加入を選んだ人たちは37万人(2017年末)だったそうです。厚生年金の保険料を負担しても、将来の年金を増やしたいという理由が多いとのことです。

また、定年後に継続雇用制度を利用して働き続ける人たちも増えています。定年前と同じように厚生年金に加入し続ければ年金額を増やせます。筆者の弟は、去年、60歳で定年しましたが、継続雇用制度を利用して同じ職場で働き続けています。今ドキの60歳は若くて元気です。引退生活に突入していいようには見えません。それに、満額の年金をもらえるようになるまで5年もありますから、「働き続けない」という選択肢はないと思います。

そして、65歳になって年金受給を繰り下げる人も、まだ少数ではありますが、増えているそうです。現段階では、年金は最長70歳まで繰り下げられ、繰り下げ月数×0.7%ずつ増えていきます。70歳まで繰り下げると、年金額は42%増になります。年金額が増えると、税金や社会保険料が増える人もいるでしょうから、受け取り額は42%増えるわけではありませんが、それでも、何割かは増えるのは心強いと思います。税金と社会保険料を負担すれば、支えられながら支えることにもなりますしね。

また身内の話で恐縮ですが、67歳になる姉(65歳まで会社員を務めあげている)は、2年前から年金の繰り下げ中です。今は、夫の給料(継続雇用で就業中)と自分のパート代、貯蓄の取り崩しで生活しています。たまに会うと、「貯蓄が減っていくから不安なのよね。そろそろ、年金を受け取り始めようと考えているんだけど」とこぼします。そのたび筆者は「今ドキ、月0.7%の利息がつく安全な金融商品はないんだから、もう少し頑張れば」とアドバイスします。姉は「それもそうね。もう少し頑張ってみるわ」と思いとどまってくれます。90歳超、ひょっとしたら100歳超の長生きをしそうな姉には、この調子で70歳まで繰り下げてくれることを願っています。ただ、貯蓄を減らし過ぎてしまうのも困るので、そのあたりはほどほどにした方がいいと思いますが。

ちなみに、筆者も来年から年金の繰り下げを開始し、70歳まで年金はもらいません。この5~6年で70歳過ぎても繰り下げられる制度ができるかもしれなので、できたら、さらに繰り下げるつもりです。

ノーリタイヤにこだわって働き続けよう

年金額を少しでも増やす工夫をする人が増えていることは喜ばしいことです。少子高齢化で年金額は減額されていくことは避けられない、予想以上に長生きをして老後資金が底をつく可能性があるからです。ですが、筆者は、それだけでは人生100年時代を生き切ることは難しいと思っています。そこで、ノーリタイヤを貫く覚悟と準備、60歳を過ぎたら実践することを提案します。年金増とノーリタイヤは、人生100年時代を生きるための両輪と考えるようになったからです。

筆者のようなフリーランスは、そもそも定年がないので、依頼主がいなくなるか、自ら「仕事はやめる」と宣言しない限り、引退生活には入れません。現状では70歳までは今の仕事スタイルを続けながら年金を繰り下げる計画です。70歳を過ぎても、今と同じような働き方を続けられるかは、体力・気力・能力の筆者側の問題、社会が筆者の能力やスキルを必要としてくれるかの問題があり、不透明です。ただ、ノーリタイヤにこだわって、できることは何でもするつもりです。

会社員だったら、継続雇用制度で働けるだけ働き、それも終了したら、別の職場でパートやアルバイトで働いてもいいですし、自宅を拠点としてフリーランス的な働き方をしてもいいと思います。どうしたらノーリタイヤでいけるか、そのために必要な準備は何かを、40代くらいから考えて定年までに準備をしたいもの。

ただ、人生100年になると、100歳過ぎてもノーリタイヤで働ける人は、極々少数の特殊な人だけだと思います。ですから、ノーリタイヤといいながら、実際は75歳や80歳くらいからは年金生活に突入せざるを得ないと感じています。そうなったときに、年金を増やしておく、ノーリタイヤで貯蓄を増やした・貯蓄を減らさなかったことが効果を発揮してくれるはずです。

参考

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この記事を書いた人

1994年、ファイナンシャルプランナー資格取得。その後、独立系FPとして、長年にわたって携わってきた一般誌やムック、単行本などの編集・ライターの経験を活かし、マネー系記事の執筆・監修の他、セミナー講師として活動。最近は、終活や生前整理など、人生のしまい方にもフィールドを広げている。

複雑でわかりにくい保険や社会保障制度など、身の周りのお金に関する様々なコトを「わかりやすくひも解く」がモットー。

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