日本のメディアではあまり報道されないのが不思議ですが、パリの同時多発テロの後も、各地でテロによる犠牲が止まりません。11月24日にエジプトで7人死亡、チュニジアでも15人死亡、そして27日にナイジェリアでも自爆テロがあり、21人が死亡しています。
そうした流れを受けて、アメリカ国務省が海外旅行に関して警告を発しました。
米国務省、全世界対象の渡航注意を国民に勧告
米国務省は23日、米国民に対し全世界を対象とする渡航注意勧告を出した。
米国務省の発表は「テロリストの脅威が増している」と指摘。イスラム過激派組織「イスラム国」や国際テロ組織アル・カーイダ、ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」などが「複数の地域でテロ攻撃を計画していることを示す情報がある」と警戒を呼びかけた。勧告の期限は来年2月24日まで。
これから迎える年末年始の海外旅行シーズンにあたり、海外旅行に出かける予定の人は、テロ発生の危険度情報なども加えて旅行先を慎重に検討する必要がありますね。また、テロに限らずとも、万一事件に巻き込まれた場合に備えて「海外旅行保険」も検討されると良いでしょう。
救急車1回の利用で8万円? 旅先で異なる医療費の違い
旅先で思わぬケガや急病で病院にお世話になった場合、簡単な治療で済めばいいですが、不幸にも入院や手術などが必要となると、国によっては大変高額な出費となる場合があります。例えばアメリカでは、救急車で運ばれただけでも5万円~8万円、骨折などで入院して手術ともなれば100万円~200万円も掛かってしまうことがあります(出典:外務省『世界の医療事情』)。
日本で加入している入院保険(医療保険)は一般的に「英文の診断書」などで保険金請求が出来ますが、数日の入院で100万円単位の費用がかかったのでは、日額数千円の医療保険では費用補てんには不十分ですね。
また、国の制度の社会保険(組合健康険保や国民健康保険など)でも、海外で治療を受けた場合に給付を受けられる場合がありますが、あくまで「日本で同様の治療を受けた場合」に換算した費用しかもらえないので、実際に掛かった費用よりも大幅に少なくなる可能性があります。
そんな事情もあるため、海外旅行保険では国内旅行保険にはない「病気の治療費の補償」がプラスされているのです(国内旅行保険は原則、ケガの治療に限定されています)。また補償額は入院日額1万円などの定額式ではなく、実際にかかった費用を補償するようになっています。補償額の上限によって保険料が変わるわけですが、旅行先の医療事情などを調べた上で、余裕ある金額にしておく方が安心です。例えば1週間程度のアメリカ旅行であっても、万一を考えて最低でも1,000万円くらいにはしておくべきでしょう。
さまざまなアクシデントも想定しておく
高額な治療費用以外にも海外旅行には様々なリスクがあります。
- 大きなケガや病気などで日本から家族が駆け付けた
- 遭難などによって捜索を受け救助された
- 飛行機の大幅遅延などで予定外の宿泊
- テロ事件などで帰国不能になり追加の滞在費用が発生
- うっかりして他人の財物を壊したりケガをさせて損害賠償責任が発生
- 加害者となったり被害者となって弁護士に依頼することになった
- 手荷物、携行品などが盗難に合ってしまった
- 現地でレンタカーを運転して事故を起こした
- 預けていたスーツケースが壊れてしまった
これらの事象については一般的な海外旅行保険で補償されるようになっています。
また、海外では言葉が通じないことから不都合が生じる場面もあるでしょう。海外旅行保険の加入者は、何かが起きた場合に日本語で電話相談ができる仕組みもあるので、お金の問題以外でも大きな助けとなるでしょう(殆どの会社で365日24時間受け付け可能です)。
例えば7日間の海外旅行保険保険、保険金額が上限いっぱいのタイプであっても、保険料は1万円程度です。世界のあらゆるところに行くようになっている日本人の海外旅行では、海外旅行保険は必須アイテムではないでしょうか。近隣の保険会社、保険代理店、旅行代理店でも扱っており、インターネットでの加入も可能です。
なお、出発直前に契約した場合などで、保険証券などが手元にないこともあるでしょう。少なくとも契約した保険会社の連絡先、特に緊急連絡先のメモを必ず携帯することをお忘れなく。
参考
- 米国務省、全世界対象の渡航注意を国民に勧告
//headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151124-00050152-yom-int
- 海外で急な病気にかかって治療を受けたとき
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3120/r138
- 海外旅行保険の教科書
https://hokensc.jp/kaigai/