2015年10月からスタート!マイナンバーで何が変わる?

突然(でもないのかもしれませんが)、日本国民全員に番号が付与されるというニュースを目にするようになったのが、今年の春ごろ。しかも10月早々にマイナンバー(個人番号)が通知されるというではありませんか!

はじめて「社会保障・税共通の番号制度の導入」について言及されたのが、2010年度税制改正大綱において。その後、2013年5月、参議院本会議でマイナンバー関連4法案が可決・成立するまでに、マイナンバー法は浮き沈みを続けた感がありますが、今年からようやく、本格的に社会保障・税に関わる番号制度(マイナンバー制度)が実現するというわけです。

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・マイナンバーを無料で管理 アカウンティング・サース・ジャパン(SankeiBiz
・マイナンバーで企業に大きな負担、個人資産は丸裸に!? (ダイヤモンドオンライン)
マイナンバー制度、「どう対応すべきかよくわからない」企業が77%(マイナビニュース)
・マイナンバー特需に笑う業者、泣く自治体(東洋経済オンライン)

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これらは、7月中旬のネット上のニュースの見出しの一部ですが、‘マイナンバー’で検索するとさまざまなニュースが出てきます。

こんなニュースを目にすると、マイナンバーについて今一つ分かっていなければ、いったい何がどうなっているのやら…一般消費者の多くは、疑問に感じておられるかもしれません。

そこでマイナンバーが導入されると何がどう変わるのか?ポイントをまとめてみました。

目次

2015年10月からマイナンバー(個人番号)が通知される

そもそもマイナンバーは、住民票があるすべての人に固有の番号(数字のみ12桁)を付して、社会保障、税、災害対策の3つの分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるもの。

今年10月、マイナンバーは、市区町村から10月時点の住民票の住所にマイナンバー通知カードが送付されます。ですから住民票と違う住所にお住まいの場合、それまでに移しておかなければ、通知が届かないなんてことに!ちなみに、通知カードは転送不要扱いですので、郵便局で手続きをしていても転送されません。

マイナンバーは、日本だけでなく他の諸外国ですでに導入されており、逆に導入されていなかった先進国は日本くらいなものかも。

アメリカでは1936年からSSN(社会保障番号)という名称でスタート。そういえば、アメリカに赴任した友人が、「この番号がなければ生活できない」と言っていたのを思い出しました。

 マイナンバーは、番号が漏洩し、不正に使われるおそれがある場合(そんなことがあると明記されていることが恐ろしいのですが…)を除き、一生変更されない、身近で非常に大切なものなのです。

マイナンバーはどうして導入されるの?

国が掲げているマイナンバーの目的は次の3つです。

  • 利便性の向上…さまざまな添付書類(例えば、住宅ローン控除の場合の住民票や社会保障を受給する際の所得証明書や住民票など)の削減が実現し、国民の負担が軽減。行政が持っている自分の個人情報を確認したり、行政からのサービスのお知らせを受け取ったりできる(情報提供等記録開示システム)
  • 行政の効率化…複数の業務の連携が可能で、従来の情報の照合、転記、入力に費やしている時間や労力等が削減できる。
  • 公平・公正な社会の実現…所得税の支払いや年金等の受給状況などが把握しやすくなるため、負担を不当に逃れたり、給付を不正に受給したり(例えば、生活保護の不正受給)といったことを防止できる。

加入している保険の保険金等の請求手続きが不要に?!

具体的に、まず想定されるのは、納税や社会保障の手続きのため勤務先や金融機関などからマイナンバーの提示を求められることでしょう。

例えば、厚生年金の裁定請求時や毎年6月の児童手当の現況届時など、年金事務所や市区町村にマイナンバーを提示します。

勤務先では、源泉徴収や雇用保険の手続きのために従業員の番号を確認しなければなりませんし、金融機関では、特定口座やNISA口座・ジュニアNISAなどの利用や国外への送金時に番号が必要となります。

保険会社等でも、生存情報や死亡情報が確認できることで、迅速かつ確実な保険金等の支払いや、適切な保全サービス、災害発生時の被災者に対する確実な保障の提供など、活用法やメリットは色々考えられます。

要するに、現時点では、個人のマイナンバーの情報を公的機関等でやりとりすることで、住民票や所得証明書などの添付が不要になったり、管轄の違う給付状況が把握できて、支給漏れがないかチェックできたりといったことが可能になるようです。

個人的には、公的・民間問わず、さまざまな保険給付はすべてセルフサービス、つまり自分で申請しなければいけなかったものが、給付条件に合致する場合、手続きを促してくれるような仕組みができることを非常に期待しています。例えば、病気で長期間入院して医療費がたくさんかかった場合に、高額療養費制度や傷病手当金、医療費控除、入院給付金・手術給付金が自動的に振り込まれているなんてすばらしいではありませんか!(さすがに‘自動的’はムリだと思いますが…)

ただし、年金情報流出問題のあおりを受けて、マイナンバー改正法案と個人情報保護法案は審議見送りに。私が思い描くシステムが導入されるまでの道のりはずいぶん遠そうです。

マイナンバーが導入されて、私たちは何をすれば良いの?

 マイナンバーが導入されることで私たち自身がやるべきことは、おもに次の3つです。

  • 受け取る…10月に送付されたマイナンバー通知カードをきちんと受け取ること。通知カードは世帯単位・簡易書留で送られてくるので、家族にも伝えておく必要があります。これがなければ、お子さんがお正月早々のバイトができなくなるかも。
  • 保管する…届いた通知カードを実際に使用するのは2016年1月以降。それまでに紛失しないよう保管しておきます(再発行の場合は有料)。2016年1月以降、通知カードとともに送付される申請書を郵送して手続きすれば、個人番号カードの交付を受けられます(個人番号カードの交付を受けるときは、通知カードを市区町村に返納)。通知カードは顔写真が入っていませんが、個人番号カードは本人の写真が表示されるので、身分証明書やe-Tax、自治体が条例で定めるサービス(印鑑登録証の発行など)に使用できます。保管方法は、基本的にキャッシュカードやクレジットカードと同じように取扱いを慎重に。
  • 利用する…勤務先、各市区町村、銀行・証券会社・保険会社などの金融機関へ提示します。将来的に、医療等(医療、健康、介護)分野の情報との連携が可能になれば健康保険証の機能も?

 

このように、マイナンバーは私たちにとって大変身近で、注意が必要なことがたくさんあります。メリットを最大限に享受するためにも、早めにしっかり内容を確認しておきましょう。

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この記事を書いた人

大学卒業後、大手シンクタンク勤務を経て、FP資格を取得。1998年FPとして独立。CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CNJ認定乳がん体験者コーディネーター。消費生活専門相談員資格など。新聞、雑誌、書籍などの執筆、講演のほか、個人向けコンサルティングなどを幅広く行う。「夢をカタチに」がモットー。著書に「50代からのお金の本」(プレジデント社)。

黒田尚子FPオフィス

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