損害保険ジャパン日本興亜株式会社は、2017年4月26日、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下「フリーランス協会」)と連携して、フリーランス協会に加入している一般会員向けに、「ベネフィットプラン」を提供する、と発表しました。
【国内初】フリーランス向け福利厚生制度 『ベネフィットプラン』の提供開始//www.sjnk.co.jp/~/media/SJNK/files/news/2017/20170426_1.pdf
「ベネフィットプラン」とは、賠償責任保険や、所得補償保険などの各種損害保険商品や、さまざまな福利厚生制度のメニューをパッケージにしたサービスの総称です。
単独では福利厚生制度を享受することが困難なフリーランスに対して、協会の会員になることによって得られる新しいサービスが登場してきたと言えます。
「フリーランス」の定義は広がっている
フリーランスは、会社に所属せず、個人で仕事を請け負って行う自営業者という認識が強いと思います。しかし、最近では政府が推進する働き方改革により、柔軟な働き方を示す言葉となってきています。それは常時雇用されている人が副業としてフリーランスの仕事を行う人も含めるものとなっています。これを「広義のフリーランス」と呼んでいます。
ランサーズ株式会社の「フリーランス実態調査2017」(2017年3月31日発表)によれば、わが国の「広義のフリーランス」は1,122万人にのぼっています。
その内訳は、
- 「副業系すきまワーカー」:常時雇用されているが、副業としてフリーランスの仕事を行うワーカー
→458万人(前年416万人) - 「複業系パラレルワーカー」:雇用形態に関係なく、2社以上の企業と契約ベースで仕事を行うワーカー
→276万人(前年269万人) - 「自由業系フリーワーカー」:特定の勤務先はないが、独立したプロフェッショナルのワーカー
→61万人(前年69万人) - 「自営業系独立オーナー」:個人事業主・法人経営者でひとりで経営を行っているワーカー
→310万人(前年310万人)
となっており、「副業系すきまワーカー」の増加が顕著となっています。
この調査では、フリーランスは働き方について自分自身の裁量が大きく、自由に仕事ができるという点に高い満足感を得ています。一方で収入がなかなか安定しない、社会的な信用を得ることが難しい、仕事がなかなか見つからないなどの障壁を感じていることも見逃せません。
フリーランス協会が後押し
フリーランス協会では、前述のフリーランスが持つ悩みや障壁を解消するため、
- フリーランスの事業・スキルアップ・ネットワークなどを支援すること
- フリーランスに関する調査研究や情報発信
- フリーランスの信頼性の向上や労働環境向上に向けた政策提言
など、広い範囲にわたるサポート事業を行っています。フリーランスを個人会員とし、賛助企業を加えて構成されています。
ベネフィットプランの詳細
フリーランスの悩みとして、会社員・公務員が勤務先で享受できる福利厚生制度がないこともあげられます。そこで登場したのが、冒頭にご紹介したフリーランス向け福利厚生制度「ベネフィットプラン」です。
以下、ベネフィットプランの中身を見てみましょう。
第三者に対する賠償責任を補償する保険に加入できる
フリーランスとしての業務を遂行する際に、第三者に対する法律上の損害賠償責任が発生する場合があります。
例えば、業務遂行中に第三者に対して死傷させたり第三者の財物を損壊させたりした場合、納品物や製造物の不具合により第三者に損害を与えた場合、情報が漏洩した場合、納品物に瑕疵があった場合、著作権を侵害した場合、偶然な事故に起因して納期が遅延した場合、などが考えられます。
「ベネフィットプラン」では、フリーランス協会に所属するすべての一般会員を対象に、これらの損害賠償責任を負担することによって被る経済的な損失を補償する保険商品が提供されます。個人の契約では、この保険商品の引き受けそのものが困難であったり、高い料率となってコストが大きくなってしまうケースがあるのですが、このプランでは会員の料率で加入することができます。
割安な料率で所得補償保険に加入できる
病気やケガで仕事をすることができないと医師に診断された場合や、不慮の事故による傷害補償を行う保険商品に、一般の47.5%割引となる料率で、任意で加入することができます。
福利厚生サービス「WELBOX」に加入できる
すべての一般会員を対象に、福利厚生代行会社である株式会社イーウェルの福利厚生のパッケージサービスを利用することができます。これは、割引料金で人間ドックやフィットネスが利用できる健康管理メニュー、入会金無料の保育所・介護施設が利用できるなどの家族支援メニュー、割引価格で語学教室が利用できるなどの自己啓発メニュー、契約保養所・スパの利用などのレクリエーションメニューが会員価格で利用できるものです。
まとめ
雇用関係にとらわれず自らの裁量で仕事ができる自由度、仕事に対する満足感、健康であればそれを長く継続できる可能性など、フリーランスという働き方については、今後ますます注目されることになるでしょう。現状では不十分な労働環境のうち、福利厚生制度の面を充実させて、さらに魅力のある働き方を支援するという今回の取り組みに、注目していきたいと思います。
参考
- 「フリーランス実態調査2017版」を発表
https://www.lancers.co.jp/news/pr/12286/
- 副業者の人口・職種・年収・労働時間が丸裸|フリーランス実態調査2017
//www.lancers.jp/magazine/29878